〜再開〜
第三話です!
悠大は飛び込んでくるなり、そのまま俺の拘束を解いていく。
「お前何やったの?」
「落ちて、気絶させられて、起きたらこうなってたよ」
「なんだそれ。ついてなかったな」
「お前は無事だったんだな。よかったよ」
「落ちたすぐそばに彼がいてな。運んでくれたんだ」
そう言い窓の外で浮遊している龍を指さす。深緑の龍はその様子を少し見た後、元来た方へと飛び立っていった。
「まあそういうわけで雨音が落ちた方に飛んでもらってなんかここにいる気がしたから突っ込んできた」
「相変わらず無茶だな」
悠大と会話をしていくと、さっきまでの緊張感はどんどん解けていく。知ってる人がいる安心感というものはなかなか大きいのだと実感する。
「いや、だがお前こんな状況になんでそんなに順応してるの?俺もなんだかおかしな気分というか感覚?があるにはあってなんだかんだこの状況を受けいれつつはあるんだけどさ、龍に乗ってくるとか明らか変だろ!」
あまりにいつものペースだったので受け入れかけたが、悠大の見た目も、龍がいることも、そもそもこの状況も意味がわからなすぎる。こんなことに意識がいくってもの今更すぎるが。
「確かに…ここどこだ?てかお前ちっちゃくね??なにがおきてんの???」
俺の発言をうけて悠大も状況のおかしさにやっと気づき始めたみたいだ。俺が言うのもなんだが遅すぎるだろ。そう思いつつ2人で話こもうとしていると王様がこっちに近づいてきた。
「貴方様は龍神様ですね!今からお迎えにあがろうと思っておりました。こうして龍神様自らおいでくださり、私どもは感謝の念が絶えません。どうぞこちらでそのご尊顔を私共に拝ませていただけないでしょうか」
「え?」
悠大は混乱しているが、王様たちがこのように感涙に咽びながら平伏するのもわかる。急に信仰対象が現れたんだから。
「そしてその者から即刻離れていただきますようお願い申し上げます。そのものは悪しきもの。我等人族と対等には生きられぬ雑種なのです。伝承の通り龍神様には我々を照らし救う光となっていただきたいのです」
ずいぶんな言われようだが俺もその人族ではないか?と思いながら悠大を眺める。彼の額の左側には一本のツノが生えていている。いやこいつは人じゃないな、なんて思いながらも自分にもあるかもと思って頭を触る。よかったツノは生えてない。そう安心しているときに、ふと気付いた。さっきあんなに強く殴られたのに傷がないし、ほとんど痛みもなかったことに。
「おい。こいつが雑種ってどういうことだ」
軽く怒気のこもった声で悠大が王様に詰め寄る。王様は慌てたようにしながらも雄大に対して先ほどの言い伝えを話し始める。だが今回は続きがあった。
「今この世界には魔王がいて我々の生活を脅かしております。古からの言い伝えによりますと、初代魔王を含む魔物たちは龍神様のお力によって倒されましたが、忌々しい奴らが最後の抵抗に龍神様を封印したと言われています。このように龍神様は我々の先祖を守り救い出してくださったのです。そして今また我々をお救いに戻られました。そして此奴がその魔物なのでございます」
「俺が魔物?どう見ても人っぽいが・・・っつ!!」
口を挟みながら考えていたら恥ずかしいことに口を噛んだ。だがそこで俺の八重歯が普通より長いことに気づいた。これってもしかして
「そのものは吸血鬼種。普通に生きることもできない劣等なコウモリなのです」
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