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第7話 借金 5080万8305ゴル

「ぐあああああ!!」



突然、うろの外から叫び声が聞こえた。


「しまった!!」


目が覚めたニクラスはすぐにうろから飛び出した。



そこには ”旋風刃” を持った冒険者と、Cランクモンスター、<ヘルハウンド>がいた。


冒険者は背中に深い傷を負っているようで、すでに満身創痍だ。


(なんでこんなところに、あんな強いモンスターが…!)


想像よりレベルの高いモンスターに一瞬躊躇するニクラス。


しかし、冒険者を救うにはためらってる暇はない。


腰袋から1本の瓶を取り出し、ヘルハウンドへ向かって投げつけるニクラス。


ヘルハウンドは余裕を持って瓶を避ける。

瓶は冒険者とヘルハウンドの間で割れ、中身が飛び散る。


すると、ヘルハウンドが突然情けない声を出して転がり出した。


かと思えば、走って逃げて行った。



「大丈夫ですか!?」


冒険者へ駆け寄るニクラス。


支えてゆっくりと近くにあった岩にもたれかけさせる。


ものすごい出血量だ。


「ああ、どうしよう!

 すみません!!

 僕がもう少し早く気付いていれば!!」


「き…みは…?」


「僕はあなたを助けようと思ったんですけど!

 つい寝てしまってて…!

 ごめんなさい…。

 ポーションも買えばよかったけど、お金が足りなかったんです…。」


ニクラスは動揺しすぎて、自分でも何を言っているかわからなくなった。


冒険者も状況が全然飲み込めないが、小さな少年が自分を助けようとしてくれたことだけはわかった。



さっき少年が投げつけたのはおそらく聖水。


Cランクのモンスターに効果がある聖水となれば、それなりの金額になる。


だが、少年の身なりはどう見ても裕福ではない。


それどころか、いわゆる乞食といった格好。


そんなことを考えた末、


「せい…水…、たか…かった…ろ?」


もうすぐ死にそうだと自分でもわかってるのに、間の抜けた言葉が口から出てくる。


「両親が何かあった時のために残してくれてたんです…。

 せっかくモンスターは逃げたのに…!」


おそらく満足に食事も取れてないのに、大事なお金を自分を救うために買ってきてくれた少年。


しかし、見覚えは全くない。


なぜ自分をと思うが、それよりも少年に何か報いてあげたかった。


「ありが…とな。

 こ…のバッ…グを、外して…くれな…いか?」


「これですか?

 もしかしてポーションが!?」


ニクラスは冒険者が腰につけていたバッグを外し、手渡す。


冒険者が目を閉じて何かを念じている。


すると、バッグが一瞬淡く光った。


「よ…し。

 これを…や…るよ。」


「これは…、もしかして…。」


「それ…か…ら、その剣…も。」


冒険者は近くに落ちている剣を指さした。


「僕に…、くれるんですか?

 ポーションは…、ないんですか?」


ニクラスは冒険者がもう助からないことを悟った。


「別の…剣を…。

 危ない…から、逃げ…な。

 あり…が…と……な…。」



そう言って冒険者は息を引き取った。


「うわぁああ!!」


助けられたはずの人を助けられなかったニクラスは寝てしまった自分を責めた。


しかもその人は追放されてから両親以外で自分に初めて親切にしてくれた。


助けたかった。


しかし、ぼーっとしているとさっきのモンスターやバルドゥルたちがくるかもしれない。


ニクラスは街へ戻ることにした。



「…別の剣を、って言ってた。」


その意味を考えるニクラス。


『死体を見つけたら報告の義務があります、ってか!』


確か、夢の中でバルドゥルたちがそんな話をしていた。


しかし、死んだ冒険者が武器を持っていなかったらおかしい。


だからこそバルドゥルたちは報告をしなかったのだ。


怪しまれないよう、別の剣を置いていけ、ということだったのだろう。


「でも、僕は剣なんて…。」


そう思ったがふと、冒険者から譲り受けたバッグを見る。


「あの時の光、このバッグはもしかして…。」


ニクラスがバッグを持って意識すると、突然頭の中にアイテムリストが現れた。


「やっぱり…!」



このバッグは異空間にアイテムを収納できる “マジックバッグ” だったのだ。


ただ、持ち主しか使うことができないので、冒険者がさっきバッグを持った時淡く光っていたのは所有権をニクラスに移してくれていたのだ。



「あ…、剣がある…。」


マジックバッグには “黒鉄の剣” が入っていた。


それを冒険者の近くに置いた。


「冒険者さん、すみません…。

 ありがとうございます…!」


ニクラスは “旋風刃” をマジックバッグにしまい、マジックバッグは腰につけた。


そして、モンスターに注意しながら街へ戻っていった。





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