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第12話 借金 5080万8305ゴル

「しつこいんだよ!

 いい加減にしな!」


ギルド内に女性の声が響いた。


「そんなこと言うなよ〜!

 俺らのパーティに入れてやるって言ってるだけだろ?」


「女1人じゃ何かと心配だろ?

 ちょうど前衛を1人入れたかったんだよ。」


「私たちのパーティに入れば、依頼をこなすのもはかどりますよ?」



ニクラスが様子を見に行ってみると、3人の男性冒険者と言い争っているようだった。



「だから何度も断ってるだろ?

 あんたたちみたいな下心丸見えのパーティに誰が入るっていうんだよ。

 余計に心配が増えるよ!」


「そのプライドが邪魔してどのパーティにも入れてないんだろ?

 腕はあるのに、ギリギリの生活みたいじゃねえか。」


「プライドじゃなくて、スケベな野郎だらけのパーティには危なくて入れないって言ってんだ。

 アタシの生活の心配なんてしてくれなくて結構だよ!」



女性1人が言い寄られているシチュエーションで、誰かが助けに入りそうなものだが、その様子はない。


(なんで誰も助けないんだろう?

 僕たちの時…は、みんなに嫌われてたからしょうがないか…。)



「まあ、いいから!

 とにかく別の場所でゆっくり話そうぜ…!」


そう言って冒険者3人組の1人が女性の手を掴んだ。


「やめっ…」


「やめてください!」


これはやりすぎだと感じたニクラスは思わず間に入る。


一瞬たじろいだ冒険者たちだったが、さっき受付にいた【よた野郎】だとわかり、爆笑し始める。


「ガハハハッ…!

 笑かすなよ、お前!

 なんだ?

 助けにきたのか!?」


「テレージア、とうとうこんな【よた野郎】に同情されるようになっちまったな!

 あー、腹いてえ!!」


周りの冒険者たちも馬鹿にしたように笑い転げている。



「ちょっと、余計な真似するんじゃないよ!」


テレージアと呼ばれた女性冒険者がニクラスを突き飛ばす。


「ッて…。」


よろけたニクラスはそこで初めて女性冒険者の顔を見た。


(あっ!)


それは夢に出てきた火事で家を失った女性だった。


「あの!

 家は大丈夫ですか!?」


「…は?」


テレージアは怪訝な目でニクラスを睨む。


(しまった…!

 まだ火事になってないんだった…。)


夢の女性と思わぬところで出会ったため、焦って口走ってしまった。


「おい【よた野郎】!

 今俺らがこいつとしゃべってんだ。

 邪魔すんな!」



ドガッ



ひとしきり笑った後、冒険者3人組の1人がニクラスを蹴飛ばした。


レベルが上がったとはいえ、冒険者としては最低レベルの強さであるニクラスは簡単に吹っ飛んだ。



「…ふん。

 話すことなんてないよ。

 じゃあね。」


テレージアはそう言うとギルドから出て行った。


「あ、おい…!」


「…まあいいじゃねえか、明日には俺らのパーティに入れてくれってお願いしてくるさ。」


「そうですね…。」



3人組が話してる隙にニクラスもギルドを出て、テレージアを追いかけた。



「あの、テレージアさん!」


「…あ?

 気安く名前を呼ぶんじゃないよ、【よた野郎】。」


威圧的なテレージアに怯むニクラス。


それでも食い下がる。


「すみません。

 あのですね、テレージアさんの家が火事になるかもしれないんです。

 だから、気をつけて欲しくて…。」


「何言ってるんだい?

 あんた受付で話してたけど、この町にきたばっかりなんだろう?

 なんでアタシの家のこと知ってるんだい?

 …気持ち悪いねぇ…。

 

 アタシはね、人を騙していい思いをしようとする奴が一番嫌いなんだ!

 2度と話しかけるんじゃないよ!」


「で、でも!」


「しつこいよ!

 アタシは今から依頼で忙しいんだ!

 アタシに関わるな!」


「できれば今日は家にいて警戒してください!」


そう警告するニクラスだが、テレージアは返事もせずに歩いて行ってしまった。


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