夏希と莉菜IF
「また会ったね。夏希お姉さん、莉菜ちゃんを助ける未来に変えられなかったね・・・」
また夢の中で会える不思議な少年が夢に現れていた。私が莉菜を助けられなかった皮肉でも言いに来たのかと私は、内心怒っていた・・・
「もう決まった過去には、一度しか戻れないって、君が言ったはずなのに・・・まだ私に何か用があるの」
少年は、深呼吸をして、私の目をじっと見つめていた。
「変に焦らしたりするのは、苦手だから、単刀直入に言うね。最後にもう一度だけ、莉菜ちゃんを助けるチャンスがあるって言われたら、夏希お姉さんは、どうする?」
私は、頭に過ぎってしまった。仮にもう一度過去に戻れるとして、確実に莉菜を救う事が出来るのかな・・・もう二回も莉菜を失ってしまっている。私にもう一度、過去に戻って同じ過ちを繰り返してしまったとして、私は、正気を保っていられるのかなと・・・
「一日だけ考えさせて貰う事って出来るの?」
「一日だけなら、ギリギリ待てるよ・・・それ以上になると、二度と過去には、戻せなくなるから・・・良く考えてみると良いよ・・・また明日の夜に夢の中で会いに来るね」
少年がそう言うと、気付けば、朝になっていた。私は、過去に戻る事を真剣に考えたかったので、会社には、体調不良の為、休むと連絡をして、じっくり考えようと思っていた。
しばらく、一人で考えていても、過去に戻る気には、慣れなくて・・・気付けば、お昼になっていた。 何となく親に会いたい気分になったので実家に向かう事にした。
実家に着いて家に帰ると母さんと父さんが優しく出迎えてくれた。社会人になってから、バタバタと忙しかったので、一年ほど実家には、帰って無かったし、母さんと父さんが私に連絡をして来ても冷たい反応で返ししまったりしていたので、母さんと父さんには、悪い事をしてまったと思っていた。何度も冷たい反応で返していたのに、それでも温かく迎えてくれて私は、泣いてしまった。
「夏希も色々辛い事があったんだね・・・」
「夏希、父さんは、寂しかったぞ・・・」
両親は、そう言うと、私が無いている理由は、全く聞かずに優しく二人がぎゅっとしばらく私が落ち着くまで抱きしめてくれていた。
「夏希気持ちは、落ち着いたかしら・・・久々に夏希が帰って来た事だし、母さん張り切って、夏希の好きなオムライスでも作っちゃおうかな」
「父さんは、ローストビーフが食べたいな・・・母さん」
「夏希のは、作るって言ったけど、父さんのは、聞いてすらないないし、便乗したら買ってくれるかもみたいな雰囲気出すのは、駄目です。ローストビーフ買いません・・・」
「え・・・俺の中では、買って貰えるはずだったのに・・・」
父さんは、相変わらずマイペースだけど、何か憎めないし、ちょっと可愛い。母さんは、しっかりしてて、でも少し抜けてて二人は、本当にバランスが取れて夫婦だと思う。
そんな二人を見てて改めて両親の温かさを感じとって少し元気が貰えていた。
「私の大好きなトロトロオムライス作ってよ。母さん」
それから、オムライスを作って貰い、他愛も無い会話をして、気付けば夕方になっていたので、私は、自分の家に帰ることにした。両親から元気も貰ったので、もう一度だけ過去に戻る決心が出来た。たとえ失敗したとしても後悔の無いように全力尽くそうと心に誓った私がいた。
それから夜になって私は、眠って少年を待っていた。
「夏希お姉さん過去に戻る覚悟は、決まったかい?」
少年は、相変わらず淡々話している。
「決まったよ。私は、莉菜を助けたい・・・だから、お願いもう一度だけ過去に戻して」
少年は、私が絶対過去に戻ると確信していたかのように頷いていた。
「まあ、過去に戻す前に色々と言っておこうと思う事があるから少しだけ聞いて欲しい」
「前回と違って僕の過去に戻す力の全てを夏希お姉さんに使うから、これが最後に過去に飛べるチャンスになる・・・けれど、前回と同じでまず車に轢かれないように莉菜ちゃんを守ってもすぐに未来に戻る事は、無くて、一か月ほど、過去で過ごす時間が出来るから、その間に色々とやれる布石は、なんでも打つとお婆ちゃんを助けた後の未来が変わるかもしれない・・・君は、一人じゃない」
少年の話が終わった後、夢の中での私の意識は、ぼんやりと無くなり気付くと高校生の時の私に戻っていた。
「 夏希ーーーーーー学校に行かないと、もう遅れるよーー!」
「良かったまた戻れたんだ・・・本当に良かった・・・」
私は、本当にもう一度過去に戻れると思っていなかったので、安心していた。
「おーーーーい夏希ーーーーまだ寝ぼけてるの、早く着替えてよーーー」
莉菜は、その場で足踏みをしながら、携帯で時間をしきりに確認していた。
「莉菜、分かったよーなるべく速攻で着替えるから待ってて」
私も遅れる訳には、いかないので急いで着替えた。
「いつも言ってるけど、そんなに早く着替える必要が無いくらいには、もう少し時間に余裕を持って準備してくれるとありがたいのに」
少し呆れていても全く怒っていない莉菜を見てホッとしていた。やっぱり、この莉菜と私の二人でいる居心地の良い関係を守りたいから、今回は、もっと色々な事をやってみようと心の中で思っていた。
「本当にごめんって、莉菜が居てくれると遅刻しないで済むから本当にありがとうね」
「まあ、腐れ縁で親友だから、全然良いんだけどさ」
私の準備が出来たので二人で急いで学校に向かうことにしたけれど、このまま莉菜の運転する自転車の荷台に乗って学校に行って良いのかなと思ったけれど、私が先生に自転車の件で怒られている間は、珈琲店に行かないように莉菜に学校に残って貰えば良いと思ったので、私は、最初と同じで当たり前のように莉菜の自転車の荷台に座って、右手を握って空に手を挙げて出発の合図をしていた。
「久しぶりな感じがする二人乗りだけど、学校へ全力全開で進めーーー莉菜ーーーー」
「夏希、全然久々の二人乗りじゃないからね。毎日当たり前のように私の後ろに夏希乗ってるじゃん」
莉菜にとって毎日の事なので冷静なツッコミを入れられて私だった・・・
「良いの細かい事は、気にしないでよ」
学校に向けて出発してしばらく経ってから、自転車を運転してくれてる。莉菜の腰に腕を回していた腕をより力を込めて、ぎゅっと掴みなおしていると、気付けば私は、泣いていた・・・私は、こんな楽しい日がずっと続くって思ってたもん・・・ドラマで良く見る事故や病気での別れ何て全く無縁だと思ってた・・・それと、病気で余命が決まっている人も健康な人も時間の価値は、どんな過ごし方をしていたとしても、変わりなく一緒であることを考えてると、一日の価値って本当に大切だと、莉菜を失ってから分かった私がいた。色々な事を考えていると余計に涙が溢れていた。
「夏希、あんまりぎゅっとされるとめっちゃ運転しにくいから、少し緩めてくれるとありがたいかも・・・」
「ごめん・・・今だけは、許して欲しい・・・」
莉菜の着ているブレザーの背中が私の涙が濡らしていた。泣いている理由を莉菜は、一切聞いて来ないのは、多分莉菜の気遣いと優しさだった。
私が落ち着いてきたタイミングで莉菜は、私に話しかけていた。
「夏希落ち着いた?後、五分くらいで学校に着くからね。目を腫らしてたら、みんなに笑われちゃうぞ」
莉菜の気遣いが優しすぎて、男の子でも女の子でも惚れてしまうカッコ良さが莉菜には、あると思う。
「多分、目は、腫れてないと思う・・・だから大丈夫・・・莉菜、最後にもう一回だけぎゅっとして良いかな?」
もう一度だけ莉菜をぎゅっとしたくなったので駄目元で言ってみた。
「良いよ。親友の頼みは、聞くもんでしょ」
「莉菜暖かいね。めっちゃ落ち着く」
莉菜には、私を落ち着かせる効果があるのかもしれない
「そりゃあ、私は、生きてるから暖かいでしょ」
私と話しつつも莉菜は、急いで自転車をペダルを回していた。
「確かにそうなんだけど・・・多分莉菜には、分からないかも」
「ふーーん、そっか。学校着いたよー急いで教室に向かわないと」
こういった少しの会話ですらも、私に安心感をくれていた。
莉菜と私は、急いで自転車を駐輪場に置いて、教室は、三階にあるので、急いで駆け上がっていた。教室のドアを開けて私と莉菜は、一言大きな声で言った。
「間に合ったーーーギリギリセーーーフ」
「もうちょい夏希の準備が早ければ、階段を駆け上がる事は、無いんだからなー」
担任の先生とクラスメイトは、私たちのやり取りを見て笑っていた。
「夏希さん莉菜さんギリギリ遅刻だぞ。いつも先生が大目に見てやってるから遅刻になってないだけなんだぞ、他の先生なら遅刻扱いにされてるから注意な、俺が担任である間は、大目に見るからそこは、安心しなさい。」
やはり先生は、優しい所は、過去に戻ってもやっぱり変わらないなと思っていた。
「話が変わるけど、それは、そうと夏希さん、体育指導の先生が放課後に来いって呼び出ししてたぞ…絶対二人乗りの件だと思うけど……」
「分かりました。放課後に行ってきます。」
やはり、大人になっている私なので、怒られると分かっていても、全然心構えが違うというか、全然怖気づいてない私が居て、怒られるのは、良い事では、無いけれど、以外と大丈夫なんだと思っていた。
「いつもの夏希なら、怒られるの絶対嫌・・・逃げようかなとかって言うと思ってたけど・・・少し大人っぽく見えた」
「まあ、私も色々気付いた訳ですよ・・・逃げても結局怒られて倍、怒られるなら素直に怒られようかなと・・・」
「まあ、夏希さんの言うように素直に怒れる方が傷は、少なく済みますからね」
HRが始まるので、私と莉菜は、席についていた。私は、夢の中の少年が言っていた。「君は、一人じゃないと」いう言葉を思い出して、何が言いたかったのかと考えていた。過去に戻っているのは、私だけなのに一人じゃないってどういこうことなのかな・・・そこからは、私の憶測だけど、私一人で、莉菜を守るんじゃなくて、他の人にも莉菜の事を気にかけて貰えるようにすれば、莉菜を助けれるっていう意味なのでは、無いかと勝手に思うようにした。
放課後になり、私は、怒られに行く前に莉菜に珈琲店に先に行かずに私を待っていて欲しいと言うと全然待つから良いよって言われたので、体育指導の先生に安心して怒られに行って、その日の夕方に莉菜が車に轢かれるという事を防ぐことに成功していた。
それからは、莉菜と色々所に遊びに行きつつ変わった事をしないと、未来で莉菜がお婆ちゃんを助けて階段から落ちる未来は、変わらないと思ったので、積極的に、色々な事を試そうかと思っていたので、ちょうど綺麗な桜が咲いてる公園を知っているので、莉菜と一緒に行くと、私たち同じ学校で同じ学年の女の子が桜の木の下で泣いていた・・・その子は、とても綺麗な顔立ちと綺麗な茶色のロングヘアが軽く風で揺れているのが、桜の木とマッチしていて、物語に出てきそうな子だと思いながら私は、少し見惚れていた後・・・思わず、右手と左手の指でファインダーを作り、その子と桜を見ていると、莉菜も私に釣られて同じようにしていた。
「とても綺麗・・・写真に残しておきたいくらい・・・」
私は、思わず言葉が出ていた。
「夏希、あの子と桜が綺麗すぎて何か鳥肌が立ってきた・・・ 」
すると、こちらに気付いたその子は、急いで涙を拭いていたので、私は、その涙の理由が知りたくなったので、その子に駆け足でその子の元に行った。
「君、泣いていたけれど、大丈夫?私たちで良ければ話聞くよ。同じ学校みたいだし」
ひと時の間が空いた後、その子は、悲しげな様子で口をゆっくりと開いた。
「この公園の桜を見れるのが今日で最後なんです・・・明日には、切り落とされて撤去される予定らしいです。私のとても大切な場所だったから、色々と想いが込み上げてくる物があって泣いていたんです・・・」
「そっか。私もこの公園には、綺麗な桜の木があることは、知っていたけど、今日が最後なんて、勿体ないな・・・」
私も釣られて泣きそうになってしまった・・・
「じゃあさ、夏希と私と君と桜で、写真撮ろうよ。最後なら写真に残しておけば何時でも思い出せるでしょ・・・写真撮る前に自己紹介するね。私は、莉菜で、隣に居るのが私の親友の夏希ね。後、君の名前を教えてくれるとありがたいかも」
莉菜は、初対面の人でもガンガン仲良くなろうと出来るところは、やっぱり頼りになるなと感心していた。
「あ・・・私は、神崎 那緒って言います。那緒で良いです。よろしくお願いします。写真を撮っていただけるのは、凄く嬉しいです」
那緒ちゃんは、桜と写真を撮れるのがとても嬉しいのか、少し体が弾んでいるような気がした。
「私たちに同じ年だから敬語何て要らないから。仲良くしようね」
「分かった、夏希ちゃん莉菜ちゃん」
私は、こんな可愛い那緒ちゃんを今まで知らなかった事に少し後悔をしていた。過去に戻れて少し時間に余裕があるとこんな変化もあるのだと、驚きつつ、もしかしたら莉菜を救えるかもしれないと言う希望が少し出て来ていた。
その後は、桜の木をバックに色々な角度で三人で写真をたくさん撮ったり、時には、二人で撮ったり、最後は、一人ずつで撮ったりして桜の木との思い出を形に残す事が出来たと思う。写真をひとしきり撮った後は、三人で色々な事を話して帰るまでには、すっかり那緒ちゃんと打ち解けていた。
そして気付けば、夕方になり夕日が沈みかけていたので私たち三人は、そろそろ帰ることにした。
「夏希ちゃん莉菜ちゃん今日は、ありがとう。色々元気貰ちゃった」
「私は、もう那緒と友達だからね。休み時間とか遊びに行くから」
悲しい表情をしていた。那緒も少し元気になったみたいで、私は、嬉しかった。
「夏希ばっかりずるい・・・私も那緒の友達、なんなら、もう親友だから」
莉菜は、腰に手を当てて、私より、那緒と仲が良いんだぞと、私に見せつけて来ていた。少し可愛いなと思ってしまった。
那緒は、もう少しだけ桜に挨拶だけしてから帰ると言っていたので私と莉菜は、先に帰ることにした。
「那緒が貸してくれた『私と君との30cmの距離』を今日帰ってから、すぐに読んでみようかと思う。めっちゃ良さそうだもん」
「夏希が読み終わったら、那緒に連絡して私も貸して貰って私もすぐ読むから貸してよね」
それから、数日が経ち、私と莉菜は、那緒と色々話していく内に那緒の家も私たちと近かった事もあり、毎朝私の家に集合してから一緒に登校することになった・・・私は、相変わらず莉菜の自転車の後ろに乗せてもらい、那緒は、それに並走する形でゆっくり運転してくれて学校に行く日々がより一層楽しいものになっていた。
「こないだ那緒が貸してくれた、『私と君との30cmの距離』読んだよ」
「夏希が読んだ後、私もすぐに夏希の家に行って借り行って読んだから、後で那緒に返すね」
「二人ともどうだった?」
二人ともちゃんと読んでくれたんだ・・・凄く嬉しいな感想を言い合える関係が欲しかったから、かなり嬉しい
私は、莉菜の顔を見合わせて感想を一緒に言った。
「せーーーの」
「キュンキュンしちゃった」
「キュンキュンしたよ」
私と莉菜の意見、全く一致していたので、三人で笑っていた。
「私もあんな恋が出来たらな・・・って思っちゃった」
「そうだよな・・・良い人見つかると良いな」
「そうだね」
私たちは、色々と理想の恋について話し合いながら登校していた。顔が良い方が良い、性格良い方が良い、面白い方が良いとか、色々好みを言い合いをしていると、気が付けば学校についていた。最終的には、私たちが辿り着いた答えは、一番自分を大切に思ってくれている人が良いという答えに決まっていた。
それからは、三人で過ごす時間が増えて、沢山遊びに行ったりしていると、気が付けば、あっという間に一か月が過ぎ去ろうとしていた。今日は、私が過去に居られる最後の一日なので、私たちが出会って始まった、公園の桜の咲いていた場所に私は、莉菜と那緒を呼んでいた。
十分ほど、待っていると二人が一緒に公園来たので早速は、本題に入った。
「ねえ、この桜の木のあった場所で親友の守りの誓いをしない?」
私は、過去に戻ってここまでの事を忘れたくないので、形にのこるものじゃないけれど、ずっと、三人の心に残る出来事を作っておきたいと思っていた。これで現在に戻ってどんな結果が待っていても後悔のないように・・・
「夏希良い事言うんじゃん・・・何か良さそう」
「何か良いね。心に親友の守りの誓いを刻み込もうよ」
莉菜も那緒もノリノリだったので、ひとまず安心出来た。子供っぽいと言われてしまうかなと少し不安もあった・・・
親友の守りの誓いとは、言ったけれど、私は、何も考えて来てなかった・・・けれど、私と莉菜がお互いに守ると言い続けていた所から閃いた言葉を言ってみた。
『君は、私がどんな事があっても全力で支え守り抜きます。私が不安で負けそうな時、君は、私を全力で支え守り抜いてみせます』
「こんなのどうかな?私の考えた親友の守り誓い」
私は、莉菜と那緒の顔を伺っていた。
「最高にカッコイイと思う。めっちゃ騎士みたいで良いね」
莉菜は、テンションが上がって何度も連呼をしていた。
「私も凄く好き。他のみんなに無い私たちだけのカッコイイ合言葉になるね」
那緒も私たちだけのカッコイイ合言葉になると嬉しそうだった。
「じゃあ、決まりだね。三人で一緒に言おうよ」
私は、莉菜と那緒に合図をした。
「せーーーの」
『君は、私がどんな事があっても全力で支え守り抜きます。私が不安で負けそうな時、君は、私を全力で支え守り抜いてみせます』
親友の守りの誓いを言った後に目の前が急に真っ暗になり、気が付けば、現在に戻っていた。私の思っていたよりタイムリミットが少し早かったみたいだった・・・私の過去でしたかったことは、ほとんど出来たと思う。後は、莉菜に電話を確認をしてみる事かな・・・
恐る恐る携帯を確認すると莉菜と那緒の電話番号があったので、過去は、変わったと安心出来たけれで、電話をするまでは、莉菜が本当に大丈夫かは、分からないので、深呼吸をして呼吸を整えてから、莉菜に電話をかけた。二十秒ほど電話を鳴らしてみてるけど、出る気配が無いので、切ろうかと思っていると、莉菜が電話に出た。
「どうしたの夏希?また私に会いたくなったとか?」
莉菜は、冗談っぽく私にそう言っていた。
「莉菜に会いたいよ・・・那緒にも会いたいよ・・・三人で会わない?」
私は、電話越しで、泣いてしまっていた。莉菜が生きててくれて良かった・・・過去に戻ったのは、間違いじゃなかったとようやく思える事が出来たから
「夏希泣いてるでしょ・・・夏希が泣いている理由は、聞かないで置いてあげる。私が那緒には、連絡しておくから、私たちの親友の守りの誓いをした公園に集合ね」
莉菜は、そういうと通話を切っていた・・・那緒には、莉菜が連絡してくれると言っていたので、私は、身支度をして、親友の守りの誓いをした公園に向かっていた。 すると莉菜と那緒は、すでに公園で待ってくれていた。
「莉菜、那緒と久々に会う気がする・・・」
過去では、あっていたから、久々では、無いけれど何となくそういう気分になっていた。
「私たち昨日も会って色々話したでしょ」
「そうそう、夏希は、相変わらずたまに不思議な事を言うよね」
そんなことを言いつつも二人も楽しげだった。
「じゃあ、いつもの親友の守りの誓い行くよ」
莉菜がそう言った。
「せーーの」
『君は、私がどんな事があっても全力で支え守り抜きます。私が不安で負けそうな時、君は、私を全力で支え守り抜いてみせます』
「大人になっても親友の守りの誓いってカッコイイと思うし、有限実行出来たもんね。」
那緒は、満足気にそう言っていた。
「どういう事?」
私は、那緒の言っていたことが分からなかったから反射的に思わずに聞いてしまった。
「高校の時の帰り道で歩道橋で私がお婆ちゃんを 助けようとしたら、お婆ちゃんを助けれたんだけど、助けた拍子に私が後ろに倒れて頭を打ちそうになった所をたまたま近くにいた那緒が支えて助けてくれたんだよ。那緒が居なかったら私は、ここにいなかったかも…」
「たまたま近くに居て莉菜を助けられて良かったよ。助けれた瞬間、親友の守りの誓いの力だと思ったもん」
それを聞いて私は、安心をした。あの時、那緒と知り合いになってから、少しのきっかけが少しずつ全てを変えてくれたんだと思った。どんな悪いことも少しのきっかけで良くなると思わせてくれた。那緒に心から感謝しないとね。
それから、三人で他愛ない話をして家に帰って、ベットで眠っていると夢の中で現れる少年姿をみせた。
「夏希お姉さん、莉菜ちゃんを救えて良かったよ…心残り無く僕は、旅立てるよ…」
「あなたは、何者?」
気になっていたので率直に聞いてみた。
「僕は、君が学校帰りに怪我をしている僕が車に轢かれそうになっているところを助けて貰った猫だよ…あの後、怪我が酷くて夏希お姉さんに病院に連れて行って貰ったけど…死んじゃったんだ…どうしても恩返しがしたくてね…もう時間無いから…夏希お姉さんさようなら」
「本当にありがとう…猫ちゃん」
私は、夢の中で猫にお別れを告げた…
それからは、莉奈にも那緒にも悪いことは、起きて無いけれど…いつ事故や事件や病気になったり巻き込まれたりするのかは、誰にも分からないけれど、そんな事ばかり考えすぎても人生は、楽しくない…健康な人でもそうで無い人でも時間の価値は、同じだから、生きている、この一瞬に私は、全力を注いで生きるしかないと思った。