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後藤田くみが御教授してあげるわよ
しようがないわね。
女社長の懇願を無碍には出来ないわ。
「うっす」
了解を伝えて、事務所を出て、私は試飲井戸水の設置場に向かうわ。
試飲井戸水は、さっき私が掃き掃除してた売店の前に在るの。
売店入り口の横よ。
あらその試飲井戸水に人影が有るわ。
看板娘として、明るく挨拶よ。
「はざぁすっ」
「うぁ!びっくりした!ヌァ、ヌァアニィー!?」
人影は、この造り酒屋の副社長、女社長の長子の藤田富士太だったわ。
ある意味ではイケメン扱いされる事もある存在よ。
「ヌァアニィー?何?ここの看板娘の後藤田くみっす!」
訂正はしっかりしないとね。
「後藤田くみぃいい!?頭!何でそんな高校球児みたいな頭にしてんだよ!?」
大きな目をさらに大きく広げて、富士太が喚いたわ。
「乙女にゃぁ、気分転換が必要っす」
乙女が解らない奴には教授しないとね。