公園まさよし
僕の名前は関田洸
お父さんの仕事の都合で小福町に引っ越してきた
11歳小学5年生。
今は桜の木のトンネルを車で通過しているところ
「ごめんな~、ヒロ。急に引っ越しなんて。友達と離れてさびしいだろ?」
父、関田健一が言う
「大丈夫だよ。心配しないでよ、父さん。すぐ友達できるから。」
なんて言っているが、前の学校ではいじめられていた。
クラスの人気者だったやつが人をいじめるのが好きなやつで、いつも誰かをいじめていた。
ぼくはそういうのが嫌いだったし、周りも迷惑しているだろうと思い、注意した。
でも人間っていうのは訳のわからない生き物で、
「俺はこいつをいじってやってるの。別にいじめてないし、周りだって面白がってるだろ?
あーあ、お前のせいでしらけた。」
なんて言って、僕を横目でにらみつけた。
周りの人も面白がっている人もいれば、これ以上うるさくしないでくれって感じだったのを覚えてる。
いじめられていたやつも、迷惑そうな顔をしていた。
正しいってなんだ?善ってなに?悪ってどんなの?
僕はわからなくなってしまった。こんな奴だから、ノリが悪いといじめられていた。
「お父さん、そこの角は右じゃなかった?」
母、関田佳代子は不安そうに言った。
「大丈夫だよ。ほら、無事着いた!」
僕の家は二階建てで、前の人は畑をやっていたらしく庭は広い。
「いろいろ作業があるから、遊んできてもいいよヒロ。ちょうどこの先に公園があるから、行ってきな」
父がタオルを頭に巻きながら言った。
ここにいても邪魔になるだけだし、少し探検してみたいとも思った僕は首を縦に振り、歩きだした。
5分ほど歩くと、小さい公園を見つけた。
滑り台、ブランコ、ジャングルジム、回転ジャングルジム…
滑り台の上に人がいるのに気がつかなかった。
そいつはハンチング帽をかぶった背の小さいやつで、なにか口にくわえていた。
「おめー見ねぇかおだな。どっからきた」
滑り台から滑ってきてこっちにあるいてきたそいつは、男の子で口にくわえていたのはお菓子のタバコシュガレットだった。
「ぼくはここに引っ越してきたヒロ。」
「ふーん、ヒロっていうのか。おれはマサヨシってんだ。何年生だ?」
「5年生だけど…」
「あ、俺といっしょか」
不思議なやつで、とてもなまっていた。こんなに馴れ馴れしいやつなのに、どこか憎めない、そんな印象をうけた。
「君、よくここに遊びにくるの?」
「ぼちぼちね」
「小福第一小学校の人?」
「ひみつ~」
会話が続かない…
困った僕は
「ひ…引っ越しの手伝いがあって…ま、またこの公園で会えたら、遊ぼうね!」
なんて言って逃げてきてしまった。どう接したらいいのかわからなかった。
また、前の学校のように迷惑そうな顔をされたり、面白くないと思われるのが怖かった。
少し過ぎた後、後ろを振り返ってみた。マサヨシ君は見えなかった。
帰ったのか、それとも見えない位置にいるのか。
どちらにせよぼくは家に帰るしかなかった。
春の日差しが頭に降り注いでいたが、心の中はいまいち晴れない、ジメジメした感じだった。
「…もうちょっと話してみればよかった…」
心の声が小さく口からこぼれたのにびっくりしたぼくは、家に着くなり手伝いをしてその後悔を忘れようとした。