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学園無双の勝利中毒者  作者: 弁当箱
第三章 勝利中毒者と零落少女の激怒
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第2話 根性の媚薬飲み比べ勝負



 テーブルの上のグラスに勢い良く手を伸ばし、中のそれを勢い良く飲み干す。

 二人の挙動はほぼ同時。重なりあう動きの中で、お互い視線は一切逸らさなかった。


 口の中に甘苦い風味が広がる。口当たりが良く、一度に飲み干すことに不快感は無かった。


「美味いな」


「うん」


 言いつつも、霧生は早速視界の端が歪んでいくのを感じていた。

 異常なほど巡りの早い術酒に驚かざるを得ない。流石は天上生ブレンドの媚薬といったところか。


 《抵抗》の有無に関わらず、霧生は有害な毒に対して様々な抗体を持つ。しかしこの媚薬はそう言った毒物とはジャンルが違う。

 これは魔術による付与効果が施されたあらゆる術酒を、一点に秀でるよう複数配合されたものだ。そもそも《抵抗》無しに人体が耐えられるような作りになっていない。

 目の前でポーカーフェイスを続けるユクシアにも当然効果があるに決まっている。


 近づいてきた唯華により、空いたグラスに再び媚薬が波々と注がれる。


「二杯目。これを飲めば記録と並びます」


 二杯目にして最高記録。

 このような勝負を行う者がそうそういないだけなのだろうが、それにしても宮殿名物と言っていたのはなんだったのか。

 とは言え、この勝負は媚薬を何杯飲むかではなく、いつまで理性を保っていられるかなのだ。

 媚薬が一層回ってきて、判断力が鈍っていく。思考停止は悪手だ。


「ああ、なるほど、へえ……」


「うん」


 試されるのは自制心、根性、メンタル。襲い来る衝動をいかにして御すか。

 霧生は歪んでいく視界の中、眉間をつまんで言った。

 心臓が強く脈打ち、体が火照っていく。


「……クソ、効くな」


「……うん」


 だがそれはそれ。

 霧生は新たに注がれた媚薬に手を伸ばした。同様にユクシアもグラスを掴む。

 術酒の効果は十分。競い合うに相応しい威力。

 そして負ける気が全くしない。

 ユクシアからも根拠の無い自信の気配が感じ取れる。

 しかし追い詰められた時、根性やメンタルがものを言うこの勝負においては霧生に絶対的な分があるはずだ。

 軟弱な内面を持つユクシアには難易度の高い勝負だろう。


 霧生はユクシアに意地の悪い笑みを向けながら、二杯目の媚薬を飲み干した。

 彼女の方も澄ました顔で悠然と二杯目を空ける。


 すかさず唯華がグラスに媚薬を注ぎ直し、霧生とユクシアは間髪入れずにそれを空にする。


「記録更新です!」


 小さく拍手が起こる。

 技能の研鑽には何の糧にもならない媚薬の飲み比べを、天上生達がこぞって真剣に観戦しているのが面白い。


 霧生は一度息をついた。再び満杯にされたグラスをユクシアが持ち上げれば、勿論それに応えるつもりだったが、彼女に動きは無かった。

 こちらにペースを合わせる作戦で来るらしい。


 歪んでいく景色に対して、ユクシアだけがどんどんクリアになっていく。

 視線を逸らさないユクシアに目を合わせていると、泉を思わせる瞳の中に吸い込まれそうになる。このまま身を委ねてみたいとも思う。

 霧生は今一度深く息を吐き、目を閉じた。


「……すまん、休憩させてくれ」


「ん、いいよ」


 ──《過域》


 澄み渡る湖面に岩石が放り込まれたかのような怒涛の《気》が立ち昇ると、それはまたたく間に頂点へ達し、霧生目掛けて降り落ちた。


 ストン。静やかな湖面が戻る。


 美しく、それでいて力強さもある《過域》にギャラリーは一度ざわめき、そしてなぜ今その技能を? と、遅れて気づいた異変に二度ざわついた。


「術酒を妨げる技能は禁止でも、促進させるものはルール違反でもなんでもないだろ?」


「えっと……まあ、はい」


 心臓を起点に、血流に従って体内を巡る《気》もしくは《魔力》は、当然それに作用する術酒の効果をよりハッキリと得られる。

 つまり、媚薬の回りが早くなる。


 これくらいの趣があってもいい。

 そんな意味を込めた挑発として《過域》を行った霧生だが、


「面白い試みだね」


 ユクシアも既に《過域》に至っていた。

 彼女の技能に気づいた者がこの場に何人いただろうか。霧生ですら、しっかりと目に捉えていなければ気付けなかったかもしれない。

 霧生の爆発的な行使の影でユクシアは見惚れるほど粛として《過域》に及んでいたのだ。


「流石に、流石だな」


「だって、私の方が上だもん」


「あ?」


 霧生が眉を顰めると、ユクシアがグラスが手元に引き寄せる。不意を突かれたが、霧生も追いついて同時に胃に注ぎ込んだ。


 グラスをテーブルに打ち付けると、先程連続で飲み込んだ媚薬が一気に回ってきた。

 《過域》も不味い。維持をすることには何ら問題は無いが、呼吸を少しでも早めると、《気》だけではなく血の循環も加速する。


 まだ一杯目から時間も経っていない。

 これは飲み比べだが、より多く飲んだ方が勝ちとされるかは分からないし、この媚薬は朦朧としたり意識を失うような代物でもない。

 健康を害さないのだ。

 故に、勝利の定義が決まっていない以上、先に敗北感を抱いた者が負ける。


「長引くぞ。ゆっくりやろう」


 霧生は唯華によって新たに注がれた媚薬に口を付けながらそう言った。

 同じく勝負の本質を理解している様子のユクシアはグラスを口にしながら快く頷く。


「長引かないと思うけど。キリューに合わせるよ」

 

 お互い半分ほど飲むと、霧生はグラス片手に席にもたれかかって足を組み、ユクシアはテーブルにグラスを落ち着けて両肘をついた。


 ここで争っても勝利に繋がらない。霧生は張り合うかどうかを考えて、控えめに首をかしげる。


「OK。じゃあ話すか?」


「うん、楽しそう」


 ユクシアの屈託の無い笑みにややクラリと来る。彼女は勝負を抜きにして、霧生と話したいという本心から嬉しそうにした。


 なるほど、媚薬だ。


 普段の霧生の頭には色情などほとんど生まれない。生まれたとしても霧生は常に勝負のことを考えているので、それが優先されることはあり得なかった。

 だが今は、これまで微動だにしなかった天秤が揺れている。 


 面白い。振り切れていたはずなのに、俄然勝ち気が溢れてくる。

 勝負に関すること以外にときめく感覚も新鮮だが、御せる。まだまだ理性で御せる。

 理性とは霧生の勝利に対する念の厚さであり、その強度の証明だ。

 燃えてきた。


「私に見惚れるのはいいけど、何か話してくれないの」


「見惚れてないし、お前が話せよ」


「お前、か。キリューって、私のことあんまり名前で呼んでくれないよね」


「…………」


 会話が止まる。というよりは、霧生が言葉に詰まった。

 この会話が周りに聞かれているのか。と、そんなことをなんとなく意識してしまい、その軟弱な思考に激しく苛立ってしまったのだ。

 霧生は自分像に拘りがある。こうあるべきだ、という自意識がある。故に、そうではない自分を見せることに羞恥を感じてしまう。

 大体、こんなことを考えている時点で自分らしくないのだ。


 考えを打ち切り、ユクシアに押された形となったが、リセットするための間を置いて、霧生は媚薬をクイッと飲み干す。合わせて彼女が飲み干すと、霧生は改めて口を開いた。


「そういえばお前」


「またお前って言った」


 霧生は顔をしかめる。

 そういう切り口で来たか。


 彼女も相当媚薬が回っていないとおかしいのだが、振る舞いに変化が無い。

 強いて言えば、目元が若干とろんとしていて頬が僅かに紅潮しているくらいか。

 とにかく平常心を保つことで、平常を保てなくなったら負け、とでも言いたげな対決のベースを作ろうとしている。


 いいだろう。受けて立つ。


 片手に持つグラスには唯華が勝手に媚薬を注ぐ。

 話している間にたっぷりと注がれた術酒を喉に流し込み、霧生は肩を竦めた。


「ユクシア。これでいいんだろ?」


「ううん、ユクって呼んで」


 間髪入れずにそんな言葉が返ってくる。

 不意を突かれた霧生はとうとう唇を真一文字に結んだ。


「困るとそうする癖、昔から変わってないね」


 ユクシアにはお見通しのようだった。

 これは霧生の一時最終防衛ライン。思考退化である。

 邪念の少ない幼少期に心を戻して敗北感を跳ね返す。


「私のことばっかり言うけど、キリューも意外とメンタルが弱いんじゃない?」


「……イヤ俺はサイキョウだ」


「私に中々会いにこなかった癖に。恥ずかしがって」


「……」


「あ、黙って逃げた」


 綺麗な声が頭に心地良く響く。

 こんな生意気で、強いのにどこか脆く見えて、霧生のことをよく理解し、顔が可愛いだけの女がやけに魅力的に見える。

 ユクシアの声を聞けば聞くほどユクシアのことしか考えられなくなっていく。


「ふふ、顔真っ赤だよ」


 どうやら思考退化による精神防衛は失敗だ。こいつに喋らせてはいけない。

 早い段階でそのことに気づいた霧生はスパンと思考を切り替え、攻めに転じることにした。

 ユクシアの言う通り、この勝負は長引かない。

 心臓の高鳴りは抑えられないし、《過域》のせいもあるが体温の上昇が止まらない。


 悠長に話をしている暇など無く、急がなければ媚薬の効果による理性喪失が近づいて来る一方だ。


 ユクシアは依然平常心を保ったまま。

 それだけユクシアの理性が強いのだろうか。

 理性においてはユクシアに──


 ッ!?


 今、何を考えようとした?

 血の気が引いていくことで、一気に現実へと引き戻される。

 ユクシアはこちらの心情が掌握しているかのように終始ニヤニヤしていた。


 意地でも焦りは表に出さない。

 霧生は杯を空けて誤魔化すことにした。


「だぁァッ……!」


 この際多少無理があっても関係ない。グイと煽り、無理矢理仕切り直した感を演出する。

 ユクシアは何も言わずそのままグラスを空けた。

 彼女は周りの目など一切気にせずに霧生との勝負を楽しんでいる。

 一方霧生は本調子が出せずにいた。それは相手がユクシアだからだ。媚薬を飲まずとも彼女が前に立てば、あらゆる感情が思いもよらぬ方向に舵を切ったりしてしまう。

 それが勝負に良いと、これまでは俯瞰で考えていたが、対面してみるとなんとも御しがたい。


 それにしても霧生とユクシアに身体的な差は無いはずなのに、媚薬の効能に差があり過ぎる。

 もう耐性が付き始めている、という説はいくらユクシアでも現実味が無い。術酒に対して抗体を得るのは、常用でもしない限りはあり得ないからだ。

 仮に、もしそうだとしたら霧生は別の勝ち筋を探さねばならなくなるだろう。


「……お前、本当に媚薬効いてるのか?」


 不安になった霧生は尋ねてみた。


「どうだろう、ただこれを飲んだ所で……霧生に対する想いはあんまり変わらないみたい」


 ユクシアは視線を逸らし、ほんの少しだけ恥ずかしそうに言った。


「……ッ!?」


 想定を超える最悪のケース。

 根源的に、媚薬が意味を為していないというパターンである。

 それがブラフにしても、今の言葉は霧生のハートを掠めた。

 霧生は心臓を押さえ、その場にうずくまる。手放されたグラスはとっさに付与された《強度》によって、割れずに付近を転がった。


「ハァ……ハァ……ぐぅ……、ぅぅぅおおおお!」


 たかが術酒。たかが媚薬。

 こんなもので勝利の念が崩れて良いはずがない。

 しかし分かった。認めよう。

 分が悪かったのが自分であることと、己の分析に見誤りがあったことを認める。

 どうやら霧生は恋愛事への耐性が限りなく低いらしい。ユクシアの感情が別のものであったとしても、考えてること自体が苦手だ。


「おあぁァァァァ!?」


 霧生は自分で《強度》を付与した床に頭を打ち付けた。

 ドン!

 部屋に大きな振動が響き渡り、霧生は転がっていくグラスを手に掴んで立ち上がった。


 すかさず媚薬を注ぎに来た唯華から新しいボトルを奪い取り、それを傾けて口の中に注ぎ込んでいく。

 飲み干すのには6秒の時間を用した。


「頭わる……」


 ギャラリーの中からそんな声が聞こえてきた。


「私にもボトルを」


「え、あっ、あの、少々お待ちを!」


 対抗するユクシアのため、唯華がキュリオにアイコンタクトすると、彼は猛スピードでどこかに走っていった。

 しかし彼が戻る頃には勝負はついているだろう。


 意識はハッキリとしているのに、グルグルと目が回っている。なのにその中心にユクシアがいる。

 流石に一度の摂取が多すぎた。


 霧生は力無く席に着く。

 勝負でこれ程までに追い込まれるのはエルナスとのじゃんけん以来だ。


 しかし勝つ。土壇場でも敗北など頭に無い。


 ユクシア、俺はお前に勝つためならお前を傷つけることだって厭わないぜ。

 できれば手を伸ばしたくなかった最終手段に手をつける。


「それで、ユクって呼んでくれないの?」


 煽ってくるユクシアに対し、霧生はふうと諦念を感じさせる溜息を吐いた。


「……ユクシア。お前を尊敬している。俺は……勝利に心を痛めるお前のおかげで変われたんだ」


「……」


 今度はユクシアが口を噤む。

 何か話そうと口を開いたが、遅い。霧生は逆転の一手に打って出る。

 これを克服しない限りは、これから先、お前が俺から勝利をもぎ取ることはないぞ。

 俺はお前がどんな相手と勝負しても心から楽しめるようになって欲しい。


「でも……勝てないな……。お前に勝つビジョンが、まるで見えない……。本当はこの前、再会した時からそうだったんだ」


 突き落とす。否、突き刺す。

 意気揚々と言葉を返そうとしていたユクシアの表情がピタリと固まり、その後ゆっくりと青ざめていく。

 そして顔が絶望に歪んでいき、取り繕うとしてもそれは敵わない。


「ぅ……、あぁ……、あああああ……っあああああ…………」


 悲鳴にもならない声を上げ、ユクシアは机にしがみつくようにして倒れ伏した。

 心臓にナイフを刺されたかのような鋭い痛みが走る。しかしこれはユクシアのためを思ってのこと、引いては霧生の勝利に必要なことだ。

 霧生は震える手を腕の下に隠し、ユクシアを見下し続ける。


 彼女の手から離れていたグラスが地に落ち、パリンと割れた。

 ユクシアはだらりとよろめきながら、体を小さく起こす。

 目には溢れ出しそうなほど涙が溜まり、今にも泣き出しそうなのを必死にこらえている。


「……キ……キリューだけは……、キリューだけは、そんなこと……言わないと思ってた。

 だ、だから私……ずっと……」


 ふるふると震える唇をきゅっと噛む。

 ユクシアが言葉を止めると、ざわついていた辺りにも静寂が訪れる。

 霧生には何度も頭にハンマーを振り下ろされるような衝撃と痛みが繰り返されていた。


 耐えろ、耐えろ、耐えろ。

 俺が勝つ。俺が勝つんだ。突き通すためだ。しかし。


 ──本当に合ってるか?

 勝利のため、相手のためとはいえ、深く傷つけると分かりきっている行為は。


「ち、違う! ユクシア、俺は!」


 ガタンと席から立ち上がり、霧生は声を荒らげた。

 覇気の失せた顔。まるで生気の感じられない瞳。


 そんな姿のまま──ユクシアはペロっと舌を見せた。


「……うん、分かってるよ」


 ──あ、こいつ。


 魔力が迸った。

 霧生は目を見開き、辺りを見回す。

 どういう訳か、膨大な魔力連絡が行われている。


「はぁ!? 待て、嘘だろ!?」


 そしてその自動的に消費された魔力が、自傷魔術の発動に力を貸した。

 馬鹿な。敗北を感じた……? この俺が!?


 否、これは誤作動だ。決して敗北感など無かった。俺はまだ負けてない。

 幸いにも本来これが起こる時と違うのは、霧生が万全であるということ。


 ならば、耐えるッ……!


 霧生は右足を後ろに下げて踏ん張りを効かせ、クロスした両手を前にバッと出す。


 《抵抗》の使用は禁止。受け流す……のは無理だ。

 耐え切れる、か? いける。耐え切らねば負けだ。


 その様子を見て一瞬怪訝な顔をしたユクシアだが、すぐに何が起きているのか理解し、笑みを向けてきた。


「"挑戦"はいつでも」


 霧生周辺の空間がグニャリと歪んでいく。

 自分でも意味の分からないくらい強い圧力が、抗う霧生の姿勢を捻じ曲げていき、《強度》が付与された床に右足が食い込んでいく。

 ユクシアは背後の生徒達に手振りをし、避難させていた。


 過去一のやつが来る。


「オォおおおおおおおおッッ! う、うぐあああああああああ!?!?」


 そして爆発が訪れた。


 バシュン。音速を超えた衝震。

 防御姿勢は全く意味を為さず、霧生は吹き飛んだ。


 ドゴォォン!


 柱を突き砕いて爆ぜた霧生は、結界の施された宮殿の壁にぶち当たることで推進力を失った。


「……ぐ、があ……」


 崩れ落ちるボロボロの霧生。

 何なんだこの魔術は。訳が分からない。


 体を起こそうとしても無駄だった。

 全身の骨は砕け、腱という腱が切れている。

 《抵抗》で補強すれば立ち上がれるかもしれないが、ルール違反になる。


 霞む視界に、遠方のユクシアが近づいてくるのが映っていた。


「私の勝ち」


 余程言いたかったのだろう、まだ遠いうちからユクシアは宣言した。

 霧生は悔しさにジタバタすることしかできない。


「うううあああ! あがぁぁぁあ!」


 嘘泣きも負けだろ!

 そう声を上げたいが、呼吸もままならない今、無理矢理手足を振り回して表現するのみに留まってしまう。


「言い訳言い訳」


 目の前まで来たユクシアが優越感に浸りきった顔で霧生を見下ろす。 


「あぐああァァァ……!」


 霧生は悔しさに身を捩りながら情けない叫び声を上げるしかなかった。


「ふふ、うふふふふ」


 足をパタパタと小躍りさせて笑うユクシア。

 目をぎゅっと瞑ると、全身の力が抜けていく。


「ふふふ。やっぱりキリューって頭おかしいよ」


 その言葉を最後に、霧生はあえ無く意識を手放した。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 俺はいったい何を見せられているんだ?
[一言] この話のサブタイは前の方が良かった
[良い点] ユクシアちゃん可愛すぎかよ.......
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