開けちゃいけない扉があるようです
閲覧、ブクマ、評価といつもありがとうございます。
今回のお話は、緩いですがところどころに腐妄想的な内容がちまちまちま……とございます(^^ゞ
BLとして書いているわけではないのでご安心(?)を(^^ゞ
~開けちゃいけない扉があるようです~
昼食後。
前に兄さまに魔法を教わった時に使ったノートを持って、私はお父さまのお部屋へ。
サッシーはまだぐーすかぴーすか寝てたので置いてきた。
目が覚めた時に一人ぼっちで泣いてしまわないよう、ミッちゃんに側についてもらうようお願いするのも忘れない。
なんだかんだでミックに似て面倒見のいいミッちゃんも、それなりにサッシーを甘やかして構ってくれることが多いのだ。
素晴らしき兄弟姉妹愛ですな。
ミミックと笑い袋、という違う種ではあるけど。
面倒見がいい子がいてくれるおかげで、部屋を空けても何の心配もない。
心置きなく魔法の勉強に集中できるってもんです。
後でお礼のためにお菓子をもらってくることを忘れないようにしよう。
この後、午後の時間をめいっぱい使ってお父さまに魔法の基礎となる部分をしっかりと教えてもらうことになった。
座学でのお勉強だから苦戦することを覚悟していたんだけど、一つ一つを丁寧に説明して教えてもらえたためにそんなに苦労することもなかった。
お父さまって、ビックリするくらいに教え上手なんだよ。
これは仕事でも同じように部下の皆さんに指導してるよね。
楽しくて、集中しながらお父さまの話を聞き、疑問に思ったことは都度質問した。
そんな私の姿勢を嬉しく思ってくれたのか、お父さまも喜んで質問に答えてくれて、それ以外のちょっとした豆知識的なお話までしてくれた。
思わぬプラスアルファの情報に今度は私が喜ぶ、という感じでものすごく密な魔法授業を受けられたと思う。
お父さまって、絶対に先生に向いてるよね。
家庭教師をつけてもらうまではお父さまに教えてもらおうかなぁ。
お昼ごはんを食べ終わってから、実に三時間半ほど経過したところで魔法授業は一旦中断となった。
3時のおやつ……ではなく、お茶の時間をとっくに過ぎてしまっていたからだ。
詰め込みすぎるのも良くないため、一度休憩を挟んで頭の中をスッキリさせてからまた勉強を再開しようということになったのだ。
思いっきり集中していたからか、そんなに時間が経った感じはしなかったんだけれど、言われてみれば確かに小腹が空いてきた。
お父さまの言う通り、甘いものを食べて脳に糖分を補給してリラックスしよう。
それからまた思いっきり魔法の知識を詰め込むのだ。
ついでにミッちゃんのお礼用のお菓子も見繕っておくことにしよう。
あの子はクッキーが好きだから焼き菓子が良さそうだな。
サッシーはお花があれば喜んで食べる。
お花だったら何でもいいらしい。
ドライフラワーだけでなく生花でも喜んで食べてた。
ちなみにミックは男の子(?)だからか、お菓子は食べない。
その代わり、肉やら魚を喜んで食べる。
めっちゃ肉食。
見た目のまんま、大口開けてガブッといっちゃうんだよね。
食べたものがどこに行くかは毎回毎回謎のままだ。
しかも食べた張本人たちも分かってないらしい。
ますます謎は深まるばかり。
自分が魔法で喚んだくせに、その生態の一切合財が謎のベールで包まれている。
触れてくれるな、ということなんだろうか。
……よく分からんけど。
私の中ではサロンでお茶タイムという感覚だったんだけれど、どうやら移動はせずにそのままお父さまの部屋で休憩を兼ねたお茶タイムにするらしい。
呼び出しのベルを鳴らし、お父さまがお茶とお菓子を適当に見繕って持ってくるよう指示していた。
あんまり邸の中では見かけない顔だと思っていたら、普段はお父さまの仕事に随従している側仕えの人だった。
不思議そうな顔で彼を見ていた私にお父さまがそう教えてくれた。
その人の名は『グレン』といい、主に身の回りのお世話や、仕事のスケジュール管理をしてくれているらしい。
執事とはまた違う役割を担っているという話だけど、その違いはあんまりよく分からない。
とりあえず、お世話をしてくれているよ、という部分を分かっていればいいのかな。
じっと見ている私に気づくと、柔和な笑みを返してくれて、更には丁寧な物腰で一礼しつつ、お父さまから指示されたお茶やお菓子の用意をするために部屋を退出していった。
そんな彼の一連の動作を見ていた私は、思わず『ふわぁ~……』と感嘆の声を上げてしまった。
中性的でキレイな顔立ちと細身の身体つきという、見るからに美しい人の丁寧な所作を目の当たりにしたことで私の中にある『キレイなものは飽くことなく眺めていたい精神』がうずうずと刺激されたのだ。
────イカンイカン……
────自重しろ、私……
────行きすぎたら簡単に『腐』スイッチがカチッと入っちゃうぞ……
何を隠そう、このワタクシ。
ヲタはヲタでも何でもおいしくパクパク食べちゃう雑食なのである。
この世界の大元ともなった『恋メモ』こそノマカプで大ハマリしたわけだけれども、ノマだけに限らず腐も百合も夢も何でもイケちゃうクチだったりする。
要は面白ければ何でもオッケーという節操ナシなのだ。
ただし、不思議なことにノマでハマったものは他のジャンルでは一切食指が動くことはないのである。
ノマはノマのみオッケー。
そこに腐や百合や夢を混ぜる気は全くない、というわけ。
つまりは『恋メモ』の二次創作の面に関して言えば『ノマ以外は一切受け付けないよ精神』なわけだけど、ここはゲームの世界に酷似している世界であって、ゲームとは違う現実世界なわけだから、二次創作云々の考えが通じるかどうか分からないのだ。
何が言いたいかと言うと、ここが二次元じゃないゲームと酷似している世界である以上、自分の頭の中にある現実との境界線が曖昧になり、その垣根が取っ払われるんじゃないかということと、更にそこから飛躍して実物を目の前に『ノマ以外もぜぇ~んぶバッチコーイ!』な状態になるんじゃなかろうかということ。
要するに『ナマモノまでイケるようになったらヤバいんじゃね?』っていう心配をしているわけだ。
それくらいこの世界、美形率が高い。
もうね、普通ってどんなだっけ……ってくらいに普通の基準が分かんないの。
ほぼ邸内の人しか知らないとはいえ、美形じゃない人は誰一人としていないというほどの美形率なのだ。
どこを見ても麗しい人たちばかりなんですよ。
これで『普通です』なんて言われたら、私の頭の中の辞書から『普通』という単語が消えてなくなると思う。
……とりあえず、現時点で気をつけなきゃいけないのは、麗しの美形さんたちが一緒にいるところを見てうっかり『萌え~!!』という感情を抱かないようにすることだ。
単に目の保養ってなるくらいならまだしも、絡んでいるところを見て萌え悶えでもしたら完全アウトだわ。
────滅せよ!!
────私の中の腐女子魂よ!!
胸の上でグッと拳を握り締め、雑念を払うために固く目を閉じた。
────雑念以外にも煩悩やら『腐』的な妄想も全部じゃ!!
身近な人を見てそういう思考に陥るのはけしからんことだ。
────私はそこまでの節操ナシではない!!
……と、思いたい。
うっかりやっちゃった時のことを想像し、更にその後どうなるかを想像したことでぶるっと震え上がった私を見たお父さまが不思議そうな顔をした。
「どうかしたのかい、レーン?」
「……何でもないです」
「そう?」
声をかけられたことでじ~っとお父さまを見つめる。
ただただひたすらにじ~っと。
「レーン?」
『何でもない』とか言いつつ、無言でじ~っと見続ける私にお父さまが苦笑した。
「………………」
言うまでもなくお父さまは美形だ。
……ただ、中身が残念だけれども。
これはこれで、BLカプの片割れとしてはおいしいキャラ付けなんだよな。
こういうキャラがいたら確実に餌食になってるわけで。
そう。
実物ナマモノではなく。
ノマカプでハマった『恋メモ』でもなく。
上記以外のものであればほぼ高確率で餌食になっているはずなのだ。
残念なイケメンという枠は。
「………………」
見る。
尚も見る。
「レーン?」
……うん。
お父さまはやっぱお父さまだわ。
萌えるか萌えないかとか、そういう問題じゃない。
現実のお父さま相手に『萌え的』な何を求めてんだって話だよね。
そもそも美形だったら何でもいいってもんでもないし。
実在している人物を相手にそういう目で見るって非常識極まりないわ。
……うん、ない。
萌え以前に、申し訳ないという気持ちの方が真っ先に浮かぶ時点でたぶん私は大丈夫だ。
『腐』スイッチは入らないと信じたい。
……入んないよね?
ちょっと自信はないけれど、そうならないように気をつけよう。
うっかり萌えないように。
くれぐれも。
……くれぐれも!
目の前にいるのは残念なイケメンだけれど、私のお父さまだ。
決して、腐的妄想を掻き立てるような存在ではない。
未だ不思議そうな顔で私を見ているお父さまから『ふい……』っと視線をそらし、小さく深呼吸をする。
ゆっくりと落ち着いて呼吸を繰り返して、心を凪の状態に保たなければ。
ここは前世の世界とは違うんだし、ヲタ的なあれやこれやは嫌厭されるものだったとしても何らおかしくはない。
開いちゃいけない扉を開いてしまわないよう、それから、そっち方向へと思考が向いてしまわないように厳しく己を律せねば。
実際に見てキャーキャー言って萌えていいのはノマカプ……じゃなくって、現実の恋人同士───つまりはラブラブカップルだけなのだ。
というわけで、今生では王太子とリリちゃんとの婚約者カップルを存分に見て、心の中でキャーキャー言って萌えようではないか。
……よし!
落ち着いた。
やっぱリリちゃん最強だわ。
今度から思考がヘンな方向に傾きそうになった時は全てリリちゃんのことを考えることにしよう。
そうしよう。
そんなこんなで、私が頭の中の様々な妄想やら想像やらと戦っている間に、お父さまの側仕えであるグレンが戻ってきてお茶やお菓子の用意をしてくれた。
準備が終わったということで呼ばれて、ソファー席の方へと促される。
ちょこんと座った向かいにお父さま。
そんなお父さまの側には当然グレンが控えていて、細部に至って甲斐甲斐しくお父さまの世話を焼いていた。
普段からこうなのか、お父さまも言われるがままに世話を焼かれ続けている。
まるでオカンじゃねぇか、グレン。
なんかさぁ……うっかり腐的な妄想をしないようにって決意した矢先でこれって何なの?
狙ってるの?
そうなの?
こんなの見せつけてくるとか、二人して何か企んでんの?
……もちろんそんなことはないだろう。
あくまでも、二人にとってはこれが当たり前で普通なわけで。
しかも違和感なく自然にやっちゃってるわけだから、長年この状態が続いてるっていうのが簡単に分かっちゃうわけでもあって。
だから、さ……
「…………彼女かよ」
そうボソッと言っちゃった私は悪くない。
うん。
悪くないと思うんだ。
……が!
これが単なる『独り言』だったなら……という話であれば、だ。
全く。
地獄耳というかなんというか。
聞かなくてもいいことを都合よく拾っちゃうんですよ。
サラッと流せばいいようなどうでもいいことをですよ。
「レーン!」
「ふゎ?」
お茶を飲んでいる時に突然大きな声で名前を呼んでくれちゃうもんだから、思わず身体が跳ねちゃったじゃないか。
しかも呼んだ張本人、表情が何とも言えない微妙なもんになってますが。
「レーン、今……」
「はぁ……?」
『何て言った?』とでも続くんだろうなぁ。
こういう時のパターンは読めているのですよ。
「彼女って……」
なんだ、ちゃんと聞いてんじゃん。
聞き返したわけじゃないのか。
「一体どこでそんな言葉を覚えてきたんだい、レーン!?」
────……そっちかよ!!!
どこで覚えたって、そりゃ前世一択しかありませんね!!
この世界でも彼氏だ彼女だって言葉が通じるかはよく分かんないけど、少なくとも今のお父さまの表情を見ている限りでは通じていると取ったほうが自然だ。
それよりもお父さまは違うところを突っ込むべきだと思う。
普通だったら、言葉遣いのほうを指摘して注意するのが親としての正しいやり方なんじゃないのかね。
そんな私の心情など知る由もないお父さまは、さっきの私の『彼女』発言を否定するべくあれやこれやと色々言ってる。
分かってないなぁ。
そうやって否定すればするほど怪しまれるんだって。
腐女子的な思考を持っている人の目から見ればね。
っていうか!!
そういうとこ見せるから、自重しようと思ってんのにそっち方向に思考が傾くんでしょ!!
開けちゃいけない扉を開いちゃったらどうしてくれんだ!!
もしや開かせようとしてんじゃねぇだろうな、あぁん!?
……もうね。
脳内のヲタ思考が頭の中で大乱闘の大戦争中です。
一貴族家の令嬢として生まれたからには、やはりヲタ的思考は持たずにいるのが一番平和だと思うのです。
真っ当な、清らかな心の乙女でありたいとも思っているのです。
だけど。
前世が何でもパクパクおいしくいただいちゃう雑食性ヲタだっただけに、思うだけでヲタとは無縁の清らかな心の乙女になんてなれそうもないのです。
意識して、そういった思考を遮断して、努力の上に努力を重ねてなるしかない、というくらいに、まっさらな状態とズブズブに浸かって染まった状態とでは差があるのです。
雲泥の差ですよ。
天と地ほどの差があるのですよ。
つまり何が言いたいかというと。
『目の前であわあわしながら否定しつつもイチャつくな!』
……ということだ。
もちろん本人たちにその気はない。
だけど、私の腐的フィルターがかかりかけた目にはもうそのようにしか見えん。
片や残念でどうしようもなく世話が焼けるへなちょこイケメンと。
片やオカン気質の面倒見のいい、お節介な彼女的存在の中性的美麗イケメン。
────誰か一本何か書いちゃって~!
……って、思わず言っちゃうくらいに美味しい組み合わせなんですけど?
でもね!
私は!
こういった腐的思考は持たないようにしたいんですよ!
今生のワタクシめ、御年僅か4才ですよ?
4才で腐女子って有り得なくね!?
────萌えるのは王太子とリリちゃんのカプだけで十分だーーーーーーーーーーッ!!!
うぅ……リリちゃん、助けて……
今生で腐女子になんて目覚めちゃったら───しかもナマモノ対象───色んな意味で私は死ぬ。
特に攻略対象キャラたちであるイケメン集団にそんな思考が目覚めでもしたら、不敬罪どころじゃ済まされないってもんだ。
ゲームでの追放エンドという名の破滅フラグ以上に悲惨な処刑とか待ってるかもしんないんだぞ!!
違う方向での破滅フラグに戦慄している私の心境など露知らず、目の前のイケメンどもは相も変わらず世話を焼き、世話を焼かれ……とイチャイチャやっておりますですよ。
もうね。
無視することにしました。
多少どころかかなりはしたないけれど、ズズズ~ッと音を立てながらお茶を飲んでやりました。
出されたクッキーだって大口開けて一口で口の中に突っ込んでボリボリ食べてやりましたとも。
あ。
このクッキー、ミッちゃんが好きそう。
おみやげに持って帰ろう。
サッとハンカチを取り出して、いくつかお皿からクッキーを頂戴してササッと包む。
あと、珍しいものも発見した。
季節柄なのか、スミレの花の砂糖漬けが添えてあったのだ。
これはサッシーのおみやげに持って帰る。
……から、これもクッキーと一緒にハンカチに包む。
これを、堂々とお父さまとグレンの二人が見ている目の前でやってやったのですよ!
ええ。
めっちゃお行儀悪いですが何か?
けど知ったこっちゃないのです。
最後に、残ったお茶をまたもズズズ~ッと音を立てて飲み干し、ニッコリ笑顔で立ち上がることで私は退室の意を示した。
「……(色んな意味で)ごちそうさまでした。お部屋に戻ります」
「えっ!? もう帰ってしまうのかい、レーン?」
「はい。これ以上は(お二人の)邪魔になりますし?」
有無を言わさずにお勉強していた場所へと戻った私は、使っていたノートやら鉛筆やらをさっさと片付け出した。
「休憩の後に続きをするんじゃなかったの?」
「いえ。今日のところはもう十分です。お父さまも言ってくれましたよね? 入門編は完璧だと」
「そうだね。先にロイアスから手解きを受けていたからか、入門編の基礎部分は完璧にできていたと思うよ。通常であれば、この入門編の部分だけでも最低二週間はかかるものなんだけれどね。でもレーンは、これをものの数時間もしないうちに身につけてしまったからね。あまりにも飲み込みが早いものだから、この後は次の段階である初級編の基礎に入ろうかと考えていたところだったんだ」
「初級編の基礎……」
つまりはステップアップってこと。
やりたい気持ちはもちろんある。
────……休憩挟む前の私だったらな!
でも今の私はやる気ガリガリ削がれちゃってるから。
素直に『うん』とは頷けん。
「やっぱりやめにするかい?」
「……明日にしておきます。明日もまたお父さまの時間をいただけます?」
「もちろんだよ、レーン」
「ありがとうございます」
「でも、やっぱり残念だね。あれだけやる気に満ちていたというのに、ここで中断して明日に回すというのも」
「………………」
────私だって残念だよ!!!
余計なもん見せられて、これでもかってくらいに雑念を植えつけられて、挙げ句の果てにはアッチの扉をうっかり開きそうになっちゃったんだから!!
齢僅か4才で、前世みたいな嗜好が染みついたらどうしてくれる!?
後戻りできなくなっちゃうでしょ!?
────……ってなわけで、今日のところは終~了~で~す!!
「……明日また頑張ります」
「レーンがそう言うならそうしようか」
尚も残念そうに言うお父さま。
これがグレンに世話を焼かれながら言われたセリフでなかったらどんなによかったことか。
今も進行中でお父さまはグレンと仲良くしている───私目線で───ようにしか見えんのですよ。
残念なイケメンとオカン属性……
ヘタレと世話焼き……
くっそ……
くっそ~~~~~~~……!!
────雑念がちっとも消えないじゃないかぁ~~~~~~~~~!!
────勉強で脳内に詰め込んだ、魔法入門編の基礎が全部『腐妄想』で塗り替えられたらどうしてくれる!!
そうなる前に退散するのである。
早い話が腐妄想を爆発させるようなシチュからは一刻も早く逃げるが勝ちなのである。
「それじゃ、お部屋に帰ります。失礼しました!」
ニッコ~と不自然に引き攣りそうになりながら精一杯の笑みを浮かべつつ、私はお父さまの部屋から退避した。
静かに扉を閉め、できるだけ早足でお父さまの部屋から遠ざかる。
そうしてお父さまの部屋の扉が見えなくなるくらいの距離までやってきたところで、辺りを慎重に見渡し、人目があるかどうかを念入りに確認した。
右見て~。
左見て~。
もっかい右見て~。
同じくもっかい左も見て~。
「……よし。誰もいないな」
人の気配がないことを確認できたと同時にダッシュ。
本日のワタクシめ、はしたない、お行儀悪い、淑女らしくない、のフルコンボをぶちかましております。
でも気にするもんか!
煩悩を追い払うには、とにかく身体を動かして余計なことを考えないに限る。
ダッシュして、ダッシュして、何が何でもダッシュして。
そうして自分の部屋に辿り着く頃にはうまい具合に息切れして、身体も疲れてくれるだろうよ。
多少の酸素不足で脳が思いっきり疲労感じてくれたっていい。
とにかくあそこで見たもの全てが吹っ飛べばいいのだ。
まぁ、その場合?
お勉強した魔法のことも同時に犠牲になるかもしれませんが?
そん時はそん時ですよ。
また詰め込めばいいのです。
……だって。
思ってたよりも全然難しくなかったし。
寧ろ簡単すぎたと言ってもおかしくはないし。
まぁ、何と言いますか。
魔法の入門編の基礎ってやつ。
ぶっちゃけると、生活魔法なんですわ。
本ッッッ当の意味での、初歩の初歩という魔法ってわけ。
たぶん原理をコロッと忘れたとしても、また教本読み返しでもやってりゃ、再び脳内に詰め込むのは簡単にできると思うんだ。
『入門編』というだけあって、お子チャマにもちゃんと分かるような内容になってるわけだ。
例えるならば、小学校に入学したばっかで習う算数の足し算みたいなものだ。
ね?
簡単でしょ?
ただ、生活魔法だけに種類が多いってだけのこと。
通常だったら最低でも二週間云々……ってお父さまが言ってたのは、覚える内容が多いからというのが大きな理由なんだろうな。
でもワタクシめ、暗記は得意でございます。
あと、イメージで掴めてる分、更に効率はいいわけで。
実践してはいないけど、いざ『やれ』って言われたら、わりと簡単にできそうな気がする。
……と、そんなことをつらつら考えながら自分の部屋までダッシュしたら、いい具合に息が切れてきた。
おまけに身体も適度に疲労している。
なんて言ったって、着ている服───丈が長めのワンピースが動きづらくて、足元に気をつけていたら、身体に余計な力が入っちゃったみたいなんだよね。
でも、それがいい!
いい具合に身体が疲れてくれたから、余計なことを考えずに済む。
このままミッちゃんたちと一緒にお菓子タイムと洒落込もうじゃないか!
「たっだいま~! 帰ってきたよ、ミッちゃん、サッシー!」
『バターーーーン!!』と大きく音を立てながら扉を開くその仕草には行儀もへったくれもない。
ダッシュで帰ってきたのだから、その流れで勢いのまま扉を開け放ったまでだ。
普通だったら真っ先にメリダから叱責が飛ぶのだけれど、私の部屋には今誰もいないから無問題である。
いるのはミッちゃんとサッシーだけだからね。
《ヌっ!》
《ピッキュ!》
扉を開け放った時の大音量などものともせず、私の声に反応したミッちゃんとサッシーが部屋の奥から跳ねながらやってくる。
どうやら奥の寝室の方にいたらしい。
お昼前に寝かせた時はローテーブル側の長椅子のクッションの上だったはず。
もしかしたら寝相悪くて落っこちたかなんかして、ミッちゃんが寝室のベッドに移動させてそのまま寝かせた可能性が高いな。
じ~っとサッシーを観察するように見ていると、袋の口を縛っているリボンが心なしか緩んで見えた。
引っ張らない限り緩まないはずのそれが緩んでいるということは、どこかに引っ掛けたと思うのが自然だ。
でも普通にしてたら引っ掛けることもないので、やっぱり寝相悪くて長椅子のクッションから落っこちた拍子にそこらの飾りに軽く引っ掛けでもしたのだろう。
足元でピンピン跳ねているサッシーを包み込むようにして捕まえた私は、そのまま長椅子の方へと向かい腰掛ける。
膝の上にサッシーを乗せ、緩みかけたリボンを一度解いてから綺麗に結い直した。
それと同時に右隣を軽くテシテシと叩き、ミッちゃんに側に来るよう合図を送る。
呼ばれたことでミッちゃんは長椅子へと飛び乗り、おとなしく私の右隣へと寄り添うように寄ってきた。
「ねぇ、ミッちゃん」
《ヌっ?》
「もしかして、サッシー寝てる時にここから落っこちなかった?」
《!》
……と、私の左隣にあるクッションをぽふぽふと触りながら訪ねてみる。
すると案の定、ミッちゃんは頷くように軽く前傾した姿勢で蓋をパッタンと閉じた。
それからすぐにパコンと蓋を開けて覗かせたその顔は、何とも言えない表情を浮かべていた。
「……うん。落ちたんだね」
《ヌぅ~……》
《ピッキュ?》
心配そうにしているミッちゃんとは反対に、サッシーは緊張感もない声を出し、袋全体を横倒しにして不思議そうにしている。
おい。
アンタの心配をしてるんだよ、サッシー。
この長椅子の上から落っこちておきながら、恰も『自分のことじゃないですよ~』ってな雰囲気醸してんじゃないよ。
……全く。
アンタが寝相悪くゴロゴロしてる間、ミッちゃんがどんだけアンタの面倒を見てたと思ってんだ。
まぁ、全く空気読めない子だから、面倒見てもらってたことにさえ気づいてなさそうだけども。
《ヌっ……》
「ん? どしたの、ミッちゃん?」
何か言いたそうに箱全体をふるっと震わせたミッちゃん。
どうしたのか訊ねると、長椅子から『ミヨン!』と飛び降りて、そのまま床───というかカーペット───の上をゴロゴロと転がりだした。
時折、飛び上がるように跳ねる動きを見せたかと思うと、また再びゴロゴロと転がる、という動作を繰り返している。
そして最後の最後でじ~……っと私の膝の上のサッシーを見遣った。
「え、っと……?」
これってもしや……
「……こんな感じでサッシー寝てたの?」
《ヌっ!》
まさかの寝相の再現だった!
そうしてまたミッちゃんはサッシーの寝相を真似てか、その場でゴロンゴロンと転がり続けた。
いくら毛足の長い柔らかカーペットとはいえ、ここは床の上。
そこを何度もゴロゴロ転がるのはちょっとよろしくない気がした。
大した摩擦はなさそうだけど、ミッちゃんのベースは宝石箱だ。
ちょっとした引っ掛かりが、キラキラの装飾を傷つけたり剥がしたりする可能性は十分にある。
だから私は、未だ転がり続けるミッちゃんをひょいっと持ち上げて、ゴロゴロゴロ……を中断させた。
《ヌっ?》
「ミッちゃん、ダメだよ。せっかくの綺麗なキラキラ飾りがボロボロになっちゃうから」
《ヌヌ~?》
「女の子なんだから、綺麗なままにしておこうね?」
《ヌっ♪》
「ん、イイコ」
前にミックの口を強引に抉じ開けちゃって───しかも私だけじゃなく、お母さまもそれをやった……───あの後念入りにボディチェックしたんだよね。
どっか傷んだりしてないだろうか……って。
そしたら案の定、蓋と本体との繋ぎ目である蝶番が緩んじゃってて、慌ててガルドにお願いしてキュッと締めてもらったんだよね。
いくら元が無機物でも、魔法がかかった生きものとして活動している以上、ミックたちが痛みを感じないなんて保証はどこにもない。
だからなるべく、本体である身体は傷つけないようにしておきたいんだ。
ミックの蝶番といい、ミッちゃんのキラキラ飾りといい、皆の身体を作っている全ての物が綺麗なままの状態であってほしいと思う。
それが、皆の元気な証拠になるのなら……という、単純な考え方だけども。
「さて。イイコなミッちゃんにはお土産があります。サッシーの面倒を見てくれてたお礼でもあるね」
《ヌっ♪》
ポケットから包んだ状態のハンカチを取り出し、お父さまの部屋で調達してきたクッキーを取り出す。
それを目にした瞬間、分かりやすくミッちゃんがミヨンと跳ねた。
心なしか、箱の奥の目がキラキラ輝いているようにも見える。
そんなミッちゃんにクッキーを一枚差し出すと、長い舌で器用にくるんと巻き取り、そのままゴックンと丸呑みしてしまった。
パッタンと蓋を閉じ、軽くぷるぷると箱全体を震わせている。
どうやら気に入ってもらえたようだ。
「サッシーはこっちね」
《ピッキュ?》
「面白いもの発見したよ。なんと……」
《ピキュゥ~?》
「スミレのお花の砂糖漬けだよ~」
《ピッキュウ~~~~~~~♪》
差し出した瞬間、パックンと食いつかれますた。
私の指ごとしゃぶるように『あむあむ』とスミレの砂糖漬けを口に含んでいる。
「サッシー? 私の指まで食らっちゃイカンでしょ~?」
《ピキュ?》
指摘したら慌てて指を解放してくれた。
でも相変わらず、スミレの砂糖漬けを含んだ口はむぐむぐさせたままだ。
食い意地張ってんな。
……だけど。
ハンカチで包んで持ってきた数には限りがある。
クッキーもスミレの砂糖漬けも、それぞれが片手で足りるくらいの数しか持ってこれなかったのだ。
甘いものが大好きなミッちゃんも、お花好きなサッシーも、案の定あの数では足りなかったみたいで、なくなったと分かった瞬間しょんぼりとしてしまった。
────う~ん……やっぱ足りないよねぇ……
「……よし。サロンに行こう」
《ヌっ?》
《ピッキュ?》
「おんなじものがあるとは限らないけど、サロンだったらお菓子もお花もあるからね」
そう言って私は、ミッちゃんとサッシーを同時に抱えて席を立った。
迷わずに部屋を出て、サロンへ向けて一直線だ。
いつもだったらメリダかエルナのどちらかが一緒についててくれるんだけど、今日は一人だ。
たぶん今のこの時間もプレイルームのほうにかかりきりになってくれてるんだと思う。
ミックたちの専用の遊び場になるわけだから、少しでも早く完成させたい。
そのためにも、作業をいちいち中断させるようなことはしたくはないのだ。
だからこういった、お付きのお仕事よりもプレイルームのほうを優先してもらっている。
ここ数日の間はずっとね。
邸内だし、別に一人でウロウロしても何の問題もない。
まぁ、二人の目が離れている分、ちょっとワタクシめがやんちゃすることが増えつつあるのが難点っちゃ難点かな。
……さて。
そうして辿り着いたサロン前。
すりガラス製の扉をゆっくりと開くと、中ではお母さまがのんびりと寛いでいらっしゃいました。
午前中ぶりの顔合わせであります。
中に入ると同時にこちらを向かれて、目が合った瞬間ニッコリと笑顔を返されました。
私もニッコ~と笑いながらお母さまのほうへと近づきます。
「レーンもお茶タイムかしら?」
「はい。私の……というより、ミッちゃんとサッシーのおやつをもらいにきました」
「まぁ、うふふっ」
私の手の中のミッちゃんとサッシーを見てお母さまがニコニコ笑う。
優雅な手付きで隣に座るよう促され、私は素直にお母さまの隣へと腰を下ろした。
膝の上にはもちろんサッシー。
ミッちゃんも一緒に乗せていたんだけど、バランスが悪かったのか自分から下りて私の右隣へと身を落ち着けていた。
「お茶をどうぞ、お嬢様」
「ありがとう、ヴェーダ」
差し出されたお茶を受け取りお礼を言うと、ヴェーダが柔らかく笑んで一歩後ろへと下がった。
それから今度は数種類の焼き菓子を用意して出してくれた。
そこには先ほど私がお父さまの部屋から持ち帰ったのと同じクッキーと、スミレの花の砂糖漬けもあった。
《ピッキュ!》
お皿のスミレの砂糖漬けを認めた瞬間、サッシーが歓喜の声を上げて『ピンッ!』と跳ね上がる。
突然だったので、顎に軽い衝撃を食らった。
────おのれサッシー……!
────よもやママにアッパーカットをお見舞いするとは!
────油断していたとはいえ、やるな!
まぁ食らったところで本体はサシェだ。
痛くも痒くもないんだけどね。
「あら。サッシーはこのお花の砂糖漬けが気になるの?」
《ピキュ?》
「気になるんじゃなくて、気に入ったみたいですよ、お母さま」
「……ということは、既に食べたのかしら?」
「はい。さっき私のお部屋で食べてたんですけど、足りなかったみたいで。それでサロンに行けばあるだろうともらいにきたんです」
「まぁ、そういうことだったの」
「はい」
私はお父さまのお部屋で魔法の勉強していたことや、その後休憩のために中断したことをお母さまに話し、そこで出されたお茶請けのお菓子をミッちゃんとサッシーのためにお土産として少し持ち帰ったことを告げた。
それでサッシーがスミレの砂糖漬けを気に入ったことに納得してくれた。
けれど同時に、私が中断した魔法の勉強を再開させず、今ここにいることを疑問に思ったようだった。
「でも、レーン。魔法のお勉強を途中でやめてきてよかったの?」
「いいんです。やる気が削がれちゃったんです」
「あらあら。一度やりだしたことには集中するレーンが珍しいわね。それもやる気が削がれてしまうだなんて相当だわ。一体何があったの?」
不思議そうに問われて私は思わず顔を顰めた。
言ってもいいものかどうか迷ったせいだ。
あの、腐妄想を全開にさせる、お父さまと側仕えのグレンとのイチャイチャ遣り取りを目の前で見せつけられただなんて、本当に言ってもいいのか分からないのだ。
大体がさぁ。
『こんくらい自分でやれよ!』って程度のちょっとしたことを人に世話させる?
目の前にあるものくらい、自分の手を伸ばせば簡単に取れるじゃんよ?
それを先回りして世話して世話して尽くします、っていう相手と、それを当たり前のように受け取る相手。
しかもいちいち会話がアレなんだよ!
一回一回目と目を合わせて微笑むんじゃないよ、キーーーーーーーーーーッ!!!
「まぁ……旦那様とグレンは昔からああだものね。学院時代からちっとも変わっていないわ」
「……へ?」
脳内愚痴大会だったはずのそれにお母さまから思わぬ返事が。
『もしやお母さまってエスパー?』なんて思いつつ、気の抜けた返事とともにお母さまを見遣る。
「全部声に出ていてよ、レーン?」
「~~~~~~~~~~~ッ!!?」
声にならない悲鳴が漏れた!
なんてこったい!
脳内でグチグチグチグチ文句を言っていたつもりが、まさか声を『大』にして叫ぶように言い放っていたとか。
完全に無意識です。
やっちまったよ……とほほ。
「レーンが奇妙に思ってしまうのも無理はないと思うわ。だってお互いに尽くし尽くされが当たり前になっているし、何よりも距離が近すぎるのよね、あの二人」
そう!
それなんです、お母さま!
「意思疎通に大事なこととはいえ、目を合わせすぎるのも問題なのよ。それを周りで見てきた多くのご令嬢たちが、日々心掻き乱されていたことを知らずにいるのよね。だから自分たちがどういうことをして、どういう風に見られているのかも全く分かっていないのよ。それが当たり前になってしまっているから」
「え、っと……お母さま?」
「何かしら、レーン?」
「さっき、学院時代から……って」
「ええ、そうよ。あの二人は王立魔法学院に通っていた時からの関係なのだけれど。当時から常にあんな感じだったわ」
「……多くのご令嬢たちの心を掻き乱していた、というのは……?」
「そのままの意味ね。あの二人が近い距離でああしていることでご令嬢方は悲鳴を上げていたもの」
「悲鳴、ですか?」
「ええ。黄色い声、と言えば分かりやすいかしら? その他にも、違う意味での悲鳴を上げていた方も多かったようだけれど」
「違う、意味……?」
まさか……
「総じて貴族家の子息子女とは暇な人が多いのよ。色々な趣味嗜好の人がいる、ということよ。見目麗しい殿方が寄り添う姿なんて、それこそ色々な想像を掻き立てられると思わない?」
「あ~……っと……」
「学院時代は旦那様の他に、王太子時代の陛下もいらっしゃったし、ノーヴァ公爵様や現宰相のシルウェスター公爵様、オルフェンス宮中伯様も同輩でいらしたものね。その一学年後輩にはノースレイヴ辺境伯様も。グレンも旦那様たちより一学年後輩だったはずよ」
そしてお母さまは更にこう続ける。
「高貴な身の上の、見目麗しい殿方たちが同じ場に会して、それぞれに色々な遣り取りを交わす。周りでそれを見ている者たちは決まってこう思うものよ。『一体何を話されているのだろう?』『あの方々に、あのような表情をさせているのは一体何なのだろう?』。そういった好奇心が、様々な憶測を呼び、それから、様々な想像を掻き立てるのよ。例えそれが、有り得ない内容であったとしても、ね」
う~わ~……!
「お母さま、それって、もしかして……いえ、もしかしなくもないですが……その……」
「中には相当数いたでしょうね。彼らのうちの誰かに『男色の気がある』と勝手に想像して、勝手に盛り上がっていたご令嬢たちが」
「ひぃぃぃぃぃ!! それ、下手したら、不敬罪……」
「普通だったらそうよね。単純に失礼極まりないどころか不敬だもの。でもね。ある意味学院の中なんて無法地帯も同然よ? 学院内では貴賤を問うことなく生徒は皆平等に扱うものとされているのだから。だからかしらね。そういう風に見目麗しい殿方たちをそういう目で見て愛でるというか……一種の趣味として観察している方は少なくはなかった、ということよ。中にはそういう趣味を形にした物語なるものを作るような猛者も現れたほどだしね」
「……………………」
それ、同人活動や……
っていうか、この世界にもそういう趣味嗜好を持った人が一定数いるってこと?
ある意味すごくね?
それ以前に、物語にして作るって完全に同人誌じゃん。
しかもナマモノBL、腐ですよ、腐。
「当時とっても人気だったみたいよ、その物語なるものを作った方の作品は」
「……見たんですか、お母さま?」
「うふふ」
「え……?」
「うふふっ」
わ~……
ニッコニコ笑顔の『うふふ』が超怖いんですけど~?
っていうか。
笑って誤魔化してるっぽく感じますが、お母さま見てますね。
見てますよね?
だからさっきのこと、一部ぼかしながらもしっかり説明してくれたんですね?
もっと突っ込んで訊きたいけど、これ以上突っ込むのは危険な気がする。
それをやったら、確実に私は開けちゃいけない扉を開く。
ええ、確実に。
だって前世だってそうだったもん!!
……しかしまぁ、世界の広いこと広いこと。
ここでもそういう趣味嗜好はあるということは、それを確立させたであろう人もいる、ということ。
つまりは、だ。
隠れているだけで、この世界にも腐女子なる存在が一定数いるということになる。
更には絵か字かは分からないけど、同人誌を作った人も存在しているわけで。
────もしかして、お母さま世代に、前世日本人腐女子の記憶持ち転生者がいる、とか……?
────うわぁ~、めっちゃ気になるんですけど!!
果たしてそれが確実かどうかは不明なわけだけど。
その可能性がゼロではないかもしれないという事実を知った私は、色んな意味で戦慄したのだった……─────
このお話を書き終わって思ったのですが、母親世代に前世記憶持ちがいたら楽しそうだな~と。
いてもおかしくない気はします( ^∀^ )




