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一人を楽しむ。クリスマスオンライン2

続きです。

 一晩明け、イブからクリスマスになる。

 クリスマス当日はギルド戦はないが、0時から23:59分までのイベントが開催されていた。


「よし、流石に今日はネネリアの周りも人が多いな?」


 俺は“エリスファンタジーオンライン”でクリスマスを満喫している。


 まぁ簡単に言えばクリスマスボッチなのだ。いい歳こいて、オンラインにハマる俺に浮いた話が有るわけもない、寧ろ社畜生活から逃げたくてオンラインにハマった俺だからリアルは散々なのだ。


「おやびん。お疲れ様です」

「お、同じボッチ仲間が増えた笑」

「ボッチ万歳! イベント万歳!」


 どうやら、俺は今日も賑やかに楽しめそうだ。


 朝7時に目を覚まし、即INをして2秒でパーティーが完成。まさに大型ギルドあるあるだ。


 更に数チームが同時に活動し、団体戦モードに切り替えれば準備完了だ。


 俺のキャラはガーディアン。名前の通りディフェンダー役だ。只、単なるディフェンダーだと他の火力の強いプレイヤーの攻撃を取れないのでかなりヘイト値をあげてある。敵集めガーディアン仕様になっている。

 ※ヘイト値……敵のターゲットを向きやすくさせる数値。


 つまり、今居る3パーティー分のモンスターからタゲを集めねばならないのだ。

 ※タゲ……ターゲットの略語。


「少し待ってて。一気に行くから」


 俺はガーディアンスキル【敵意集中】と【ターゲット挑発】を発動しながらフィールドを走り回る。

 その間にカウンタースキル【シールドラッシュ】【大いなる針の盾】を発動し敵にダメージを与えていく。


「お、親分スゲー笑」

「確かにマスターのあのやり方パナイわ」

「俺なら1分でチンだわ」


 俺が帰ってくるタイミングにウィザード(魔法使い)のメンバーが大型範囲魔法【フレイムバースト】を一気に発動する。一撃は其ほど強力ではないが3パーティー分の火力になれば話は別だ。


 一回に50匹のイベントモンスターを狩りながら、俺達はモンスターの復活を待ちモンスターが沸いたら、ビショップの強化魔法を掛けて貰い再度、モンスター集めをひたすらに繰り返していた。


 そのうち別のメンバーも合流し、団体戦モードに加わるとネネリアのフィールドを一斉に大型範囲魔法が焼き尽くす。


「旦那もエグい作戦考えるよな?」

「おやびん頭いいよね?」

「確かにイベント発生時にネネリアがモンスターハウスになるの計算してるし」

「親分はネネリアの王だな!」

「帝王? 国王? 魔王だな笑」


「すまない。飯落ちするわ」


 俺はそう言うと、朝昼兼用の昼食を済ました。メインページからイブにIN出来なかったメンバーを探しプレゼントと書き込み、イベント参加賞アバを添付した。既に何人かが同じように参加賞を渡してくれていたのであっさりと作業が終わった。


 再度ログインをすると、イベントボスタイムに突入していた。


「「「「お帰り」」」」


「今戻りました。ボスタイム?」


「おやびん、こいつランダムボスみたい」

「魔法耐性が強すぎてダメが当たらない」

「HPヤバすぎ運営鬼畜ワラタ」


 どうやら、不味いらしい、うちはウィザードの塊みたいなギルドで魔法耐性があるモンスターはまさに天敵だ。


「キャラチェンジするから15秒待ってくれ」


 ガーディアン職は裏を反せばファイターになる。

 ファイターは魔法攻撃に弱いが魔法耐性のあるモンスターに対しては滅法強いキャラだ。


 更に言うならば、元々ソロ時代はファイターのみを使いこなしてきた。


「久々に本気モードに!」

「ランキング5位のファイターキターー」

「ギルドの剣頑張!」

「おやびんソードキターー」


 言いたい放題たが悪くないな!


「ウィザードは全員で弱体化魔法対象は物理耐性で頼む。ガーディアン達はタゲを回しながら防御、ビショップはガーディアンの回復をメインに」


「「「了解」」」

「「「らじゃ」」」

「「「あいよ」」」


「残りのファイターは全員一斉に攻撃! 範囲攻撃に注意。レイド級の攻撃だと思うように!」


「「「オッケー」」」

「「「ラじゃ」」」

「「「行きます!」」」


「全員死ぬなよ! ポイント取り損ねるぞ!」


 全員に指示をだし、一斉に発動する弱体化魔法、それに対しタゲが代わると即座にガーディアンがタゲを奪い回していく。

 タゲが移る度に敵の攻撃は振り出しに戻るつまり、タゲを回し続ければ、ハメ殺しが出来る。


 卑怯だが、運営のミスにいちいち付き合う気はない!


「一気にスキル発動! 行くぞッ!」


 ファイターのスキル【ギガスラッシュ】が一斉に発動するとダメージが次々に表示される。一気に5分の1を削り更にガーディアンのスキル【シールドタンク】を一斉に発動する。


 【シールドタンク】によりモンスターが麻痺状態になると魔法耐性は発動しない。その一瞬にウィザード最大攻撃呪文である【エクスプロージョン】を炸裂させる。


「派手な花火だなぁ。しかし、うちのギルドウィザード多すぎ」


 気づけば夕食の時間になり、次々にログアウトするメンバー。


 俺も飯だ。リアルは昨日の残りチキンをご飯のおかずに一気食い。更にデザートにケーキを食べて、満腹になれば、イベント終了残り2時間を満喫する。


 そして、イベント終了。順位は上位500名に俺を含むメンバー30人ほどが名を並べ、中間5000以内にメンバーの大多数の名が表示された。


 ギルド全体ポイント数だけみたらダントツ1位であり、大満足の結果に終わった。


「皆おやすみ。明日から社畜に戻ります笑」


「マスターおやすみ」

「親分おやすみ!」

「イベお疲れ様」


 俺はログアウトをして目覚ましをセットする。


「なんだよ、寒いと思ったら雪かよ? 電車止まらないよな?」


 明日、と言うか今日も頑張るしかないな。最高にボッチで最高に暖かいクリスマスを過ごしたんだ。頑張るしかないな。


 明日が楽しくなるようにおやすみ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これこれ、こんな感じが好きなんです。 キャラ説明なんてほぼないのに、世界観がすっと入ってくる感じ。 読んでいて、いきなりフィールドにほっぽりだされるような感覚になれました。 話の長さもち…
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