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異世界転生完了

目を開けるとそこには、ついさきほど、夢で見た世界が広がっていた。辺りは真っ暗で、何も見えなかったが自分の体だけははっきりと自分の目に映っていた。

「あなたが蟋蟀裕也ですね。突然ではありますが、あなたは今から主人公として世界を救ってもらいます。」

何だって?俺はどこからともなく聞こえてくる声に困惑を隠しきれなかった。

「あなたの転生の準備が整い次第、出発してもらいます。」

「ちょっと待ってくれ。それって異世界転生ってやつか?これから俺はどうなるんだ?」

「ええ、あなたは死んだので、これから異世界へ行ってもらいます。」

俺は心臓の鼓動が早まるのを感じた。

やった、やっと俺にもチャンスが来たんだ。転生率の高い高校時代を何も無しで過ごした時はもうダメだと思ったが、まさかこの歳で異世界に行けるとは…。家族は俺はことをどう思っているのだろうか。だか、これから俺は異世界へ旅立つんだ。美少女達に囲まれ、魔王を倒すために日々努力して生きていく。

俺はこれから起こるであろう異世界での大冒険に胸を膨らませていた。

「ところで、君って女神様?声だけ聞いてると女の子っぽいけど…俺に姿くらい見せてくれよ。」

「………」

神様?はこちらを無視していた。しまった、異世界に行けると思って気持ちが焦りすぎたか。

蟋蟀裕也は自分の調子の乗りやすさを反省した。

しばらく無言のまま時が過ぎるのを待った。するといきなり、真っ暗だった世界に異変が起きていることに気づいた。ひどい揺れが起き、黒色の空間に所々穴が空き、光が漏れていった。

するとどこからか、女神の呼ぶ声が聞こえた。

「いいですか、もう時間がありません。あなたにはこれからいくつもの困難があるでしょう。ですが決して立ち止まってはいけません。これからあなたを転移させます。まずは…。」

そこで一旦、声は途切れてしまった。

実は相当まずい状況なのではないのだろうか?

俺は目をつぶり、早く転生されるのを待った。

*****************

「うっ…つっっ…ここは…。」

目を開けると、俺はすでに異世界へ転載されたらしく、空が明るくなっていた。

すると、目の前に何か倒れているのが見えた。起き上がって見てみると、それはひとつでは

なく、いくつも無造作に転がっていた。

蟋蟀裕也は1番近くに転がっていたものを触ろうとした。

「ひっ!?」

思わず後ずさりした。そして胃から込み上げてくる吐き気に耐えきれず、その場で思いっきり吐いた。

(ひっ、人が…死んでる………。じゃあ、ここら一体に転がってるのは…人の死体か?)

そう思うと、吐き気は止まらず、ついには腹の物を全て出してしまった。

周りにはビルらしきものが立ち並んでいるが、そのほとんどがひび割れ、ガラスも割れて散乱しており、全壊している建物まであった。

どういう事だ…。俺は異世界に転生したんじゃなかったのか?

…ここは………どこをどう見ても…………いいや、間違えるはずがない。

(俺の住んでた街とおんなじじゃねぇか‼︎)

裕也には最悪の事態が思い浮かんだ。震える足を上げ、全速力で走った。見慣れた道路を通り、見慣れたコンビニの角を周りにの角を曲がり、一直線に走った。

がくん、と裕也は膝をつき、顔は青ざめていった。

「なんだよ…なんなんだよ……どういことだよ‼︎異世界転生じゃ……無かったのかよ………。」

目の前には、自分でも嫌という程知っていた、パン屋があった。だがその面影は既になく、1階は2階に押しつぶされ、跡形もなく崩れ去っていた。

「あ〜ら、こんなとこに人発け〜〜ん。ま〜だ残ってたんだ。」

左側から声が聞こえて来た。見るとそこには黒いマントに身を包んだ女が立っていた。

「お前が…おまぇが、こんなことをしたのか?」

「な〜にぃ〜?こんなことって。もしかしてここに倒れてる奴らのことぉ〜?」

そう言うと、黒マントの女は近くにある死体を足でつつきながら言った。

「悪いけどこんなに沢山のゴキブリ見るのだって嫌なのに、な〜んで私が殺さなきゃなんないのよぉ〜。まぁでも…こいつら意外と脆くて助かったわぁ〜。だって、あなたをこれから殺すのに手間取ったりしたら嫌だもの。」

瞬間、数メートルはあった間を一気に詰め、裕也の首をつかみ持ち上げた。

「ぐっ…。」

裕也は女を睨みつけた。

「なによぉ〜、その目。憎いのぉ〜?でもねぇ、どんだけ睨んだって、私は死んではくれないわよぉ〜?アーーッッッハッハッハ。」

「てめぇに、てめぇなんかに!殺されてたまるかぁ‼︎」

「ふふっ、ほんっと、威勢だけはいいのねぇ〜。じゃあね〜、ボーイ。」

パーーーーーーーーン

黒マントの女がトドメを刺そうとした瞬間、目の前に血が飛び散り、女が倒れていくのが見えた。

「誰……ぇ〜?」

女は頭から大量の血を流していたにもかかわらず生きていた。

俺はその場で前かがみになり、思わず咳き込んだ。

「やっぱり死なない。アンデットの部類のようね。」

「…あんた、……誰よ‼︎どっから湧いt」

俺の目の前に現れた少女は耳と目を塞ぐジェスチャーをすると女の方へ閃光弾を投げた。

「ああああああああああああ‼︎」

少女は、こちらを振り向き傷の(一時的ではあるが)手当てをしてくれた。

「あっ、ありがとう。」

「礼なら後よ、見たでしょ、あなたも。奴はいずれ回復して襲ってくるわ。その前に逃げましょ。」

俺はその少女のことをどこか懐かしく思った。

少し赤茶げた色の長い髪に、透き通ったような肌。大きな瞳は全てを飲み込んでしまいそうなほどに黒かった。

「でも、逃げるってどこへだ?」

「決まってるじゃない。シェルターへよ。まぁ、その前に1回行ってもらう場所があるけど。」

そう言って少女は俺の手をつかみ、立ち上がらせた。

「走れる?これからの道のりは、ちょっと長いわよ。」

「あの…名前、聞いてもいいかな。なんか呼びにくいんだよね。俺は蟋蟀裕也。そっちは?」

「鮎川凛。魚の鮎に川、りんは凛とするのりん。」

鮎川はそうとだけ言って歩き出した。蟋蟀は我が家を後に、鮎川と共に行動することにした。

やっと女の子出せた。


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