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最初は肩慣らし

「もしあなたが異世界転生され、異世界に飛ばされたとしたら、そこで待ち受けているであろう困難にどのように対処しますか?」

「はい?」

しまった。なんて返事をしてしまったんだ…。俺は今、面接の真っ最中で面接官と向かい合っているという状況だ。これまで面接を何回もやってきてはいたが、まだこの窮屈なシステムに慣れないままでいた。運が良かったのかどうかはわからないが、面接官は自分の発言をあまり不快に思ってはいない様子だった。

「はい、私がもし異世界に行ったら…。」

はあ。内心ため息をつきながら俺はこの世界を呪った。こんなにもおかしな質問をされるのは、別にこれが初めてというわけではないのだ。自分でもバカバカしいとは思う。だが、この事実は俺がどんなに頭をひねろうが変わらないのだ。

「失礼いたします。」

これでやっと苦しさから解放されたぞと、フーと息を吐きながらビルの出口へと向かった。

外に出るとまだ「あな」は一杯に広がっており、とても不気味だった。ドンッ。何かにぶつかり慌てて頭を下げた。

「すいませんでした。」

私が謝る前にその女性(女性とは行っても大学生くらいのようだが…)はそう言ってすぐにくるりと向きを変え、足早に走り去ってしまった。また、今度はもっと軽く、とん。という感覚で何かが膝のあたりにぶつかった。うわぁぁぁぁぁぁん‼︎下から大きな子供の泣き声が聞こえた。

「すいませんうちの子が。この子本当に不注意で。いつも周りを見なさいとは 言っているつもりなんですが。どこかお怪我はありませんか?」

…きれいだ。これは決して彼女の事を自身の好みだけで判断しているわけではない。彼女の容姿はまさに完璧という2文字以外何も当てはまらないほどに綺麗だった。顔から足にかけて無駄なラインが1つもなく、肌はシルクのように透き通っていた。俺の方に向けて必死に頭を下げて謝っているが、その愛らしくピクピクと忙しなく動いている猫耳の生えた頭からはとてもいい匂いが漂っていた。嗚呼、こんな綺麗な人の顔を見るだけで溶けてしまいそうだ。

ハッ…。既に美女はそこにはいなかった。また俺の悪い癖が出てしまった。おそらく、あの美女の家族(と、ここでは仮定しておく)はえるふという種族なのだろう。もちろん、ここは地球であり、今私たちが住んでいるのは日本だ。このあまりにも奇妙な出来事を、話すと長くなるのだが。まぁこの世界で今も現在進行形で行われていることに突っ込まない訳にもいかないので、順を追って説明することにする。そうだな、まずは自己紹介から始めるか。

今日も空には大きな穴がこの街をすっぽりと覆うようにしてこちらをみつめているかのようだった。

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