告白
「俺と付き合ってください!」
目の前にいる少年が私に向けて言い放った。涼しさが寒さに変わり始めている季節。カップルが増えてくる季節だ。
この少年はこの季節だからと言ってこ恋人がほしいなどと言って告白なんてするタイプの人じゃないことは知っていた。
きっと本気だ。
少年はそう言うと、頭を下げ手を伸ばしてそのまま動かない、彼のことだ、きっと悩みに悩みぬいてそれでも私に思いを告げてくれてるんだと思う。
正直に言うと嬉しい。私は彼のことが好きだから。はい。って今すぐにでも泣いて手を取ってもっと近くに行きたい。
なぜかわからないけど私の中の私がそれをさせてくれない。告白されたことが嬉しい。嬉しくて嬉しくて、目から今にも流れ出しそうなのに、同時に私の心は『手を取らないで』って叫んでるの。わからない。
目の前の少年は今、顔を真っ赤にして目をぎゅっと瞑り、唇をかみしめ勇気を振り絞っている。その気持ちに勇気に、応えたい。これ以上彼を待たせるわけにもいかないよね。
私は覚悟を決めた。彼に聞きたいことがあるから。
「私のどこが好きなの?」と振り絞って言った。
言い終わると同時に涙が溢れてきた。
目の前の少年は私のどこが好きなんだろうって。考えるだけで涙が止まらなかった。
少年は頭を下げたまま答えた。
「全部好きだ。俺の心にいつの間にか寄り添ってくれた、お前のその優しさも、普段俺を絶えず困らせた行動も、出かけるときの服装も、俺のクソくだらない言葉に一挙一動して笑ってくれた笑顔も、全部好きだ。それじゃダメか?」
少年は最後に少し顔をあげ、こっちをみた。その目はこっちをまっすぐ見ている目だった。私を好きだって目をしていた。
それでも、私は思ってしまった。このまま彼と一緒に入れるならそれでもと。日本語は最後に言う言葉が重いと知ったうえで。涙を拭きながら答えた。
「私でよければ、お願いします。」心が痛むけどきっとこれは気のせいだ。私は私らしく振舞っている。妹は関係ない。関係ない。