死にたがりは考えていない
頭の中で考えていることを文章にするのに悪戦苦闘しています…。
英雄たちのように死のうと決めたのはいいが、いいのだが…。
「なにをすればいいんだ…!」
考えていなかった。うん、なにも考えていなかった。死にたいとばかり考えて肝心の死に方、その死に方までに辿り着く方法を考えていなかった…。
「うーん、都合よく魔物の集団が村を襲ったりしないもんかね…冗談だが」
今オレ がいるのはザラハサ大陸…小鳥の片翼のような形をしている大陸。その西端のちょうど翼の付け根辺りの村…ムハ村の宿に滞在…引きこもっている。ザラハサ大陸の西側は山岳地帯が多く、旅行者や冒険者などの人が来づらい。魔物も普通に生息しているが、人を襲うより自然で獲物を探したほうが食えるので人里を襲わない。絶好の引きこもりば…げふんげふん、平和な地域なのである。
「とりあえずなんかしないといけないな」
考えなしで決めた英雄たちのようにかっこよく死のうなんていう最期(予定)だが、なにをすればいいのか皆目見当がつかない。
「誰かに聞いてみるか」
勿論、馬鹿正直に英雄みたいに死ぬ方法を聞くつもりは毛頭もない。
英雄のように死ぬためには、まずは英雄みたいにしなければならないという考えは今考えた。だが、英雄というのは強敵と戦ったり困っている人のために戦うなど苦難の道を行く者たちであり、多くの人々に認知されたりされていたりする(イメージ)。つまり、人が集まって(そこの人々が困っていればなおよし)、人々が脅威と認めるものが存在する(引き立て役などいるとより良い)場に行かねばならないのではないだろうか。
だが、残念ながらザラハサ大陸についてオレは全く知らない。形とか引きこもっていたこの村の近くのことなら少しは知っているけれど。誰か案内役とかいてくれるとオレ的に楽なんだが。
こんこんこん…。
「す、すみません!いらっしゃいますか?」
「ん?」
久々に聞く人の、恐らく女性の声だ。宿の宿泊費はたしか一週間ほどは払っていたと思うが…考え事をしているうちにもう過ぎてしまっていたのだろうか…。今まで座っていたそこそこ寝心地のいいベッドから降り、ドアのほうへ向かい、開ける。
「すまない、考え事をしていて出るのが遅れた」
「あ!あ、あっと、えっと、ええと…」
ドアを開けた先にいたのはオレがちょっと下に目線やらなければならないほどの身長の少女だった。少女の髪は艶のある黒髪は腰辺りまであり、前髪は目元を隠すぐらいあった。前髪があるからよくわからないが隠れている顔はきっと可愛いであろうと予測できる。
その少女は人見知りなのか混乱しているようでオレの顔を見て顔を真っ赤にさせて必死に喋ろうとしている。
「えっと、その…、あの…!」
「ふむ…」
ちなみにオレが考え事をするときは清潔にしなければ落ち着かないので身だしなみはきちんと整えている。なので、オレが汚くて臭くて困っている…ということはないはずだ…はずだよな?心配になってきた。
「い、いつきゃっかん!?」
五日間と言いたかったのだろうと思う。噛んでしまって恥ずかしがっている少女は可愛かったので、ここは聞かなかったことにしよう。
「すまない、ちょっと考え事をしていて聞いていなかった。もう一度言ってもらえるか?」
「えっ!?あ、…は、はい!」
噛んだのを聞かれなかったのを安心したのか先ほどより混乱が収まっているようで落ち着いた口調ではなしだす。
「い、五日間部屋に籠りきりだったようなのでお客様がいらっしゃっているか、確認にまいりました!」
どうやら引きこもり過ぎてしまっていたらしい。この宿に泊まりだしたとき、オレは精神的につらい状態だった。わざわざ確認がくるということは、オレは接客した従業員からみてもやばかったのだろう。
「心配をかけてしまい、申し訳ない」
「いえ、…あの、大丈夫ですか?」
「ああ、少し考え事が長くなってしまっただけだからな。大丈夫だ」
体調的にも精神的にも健康そのものだ。
「あの、お腹空いたりしていませんか?」
「そういえば、こもりきりだったからな。腹が減ってしょうがない」
情報を集める前に、まずは腹を満たさないといけないだろう。
「今ならまだお料理でると思いますので、一階の酒場のほうにいらしてくださいね!」
「ふむ、ありがとう」
そういうと少女は一階のほうにいくらしい階段に走っていった。
今日は情報を集めて、明後日には人の集まる場所にいけるといいなと思いながら酒場のほうへ向かうのだった。
次回予告的ななにか
とりあえず情報を集めて行動することにしたクルイ。腹が減ってはなんとやらと食事をしにいくみたいですね。おや、宿屋の少女がクルイを見ているようですよ…?
思ったより場面が進まず悩む作者。戦闘シーンを書きたいなぁ…。