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血の兄弟ーローマ教会の秘宝  作者: F.Y.ホルムスキー
2/21

Freatheric 1

 ロンドンを去って約1週間、僕はアイルランドに来た。僕は2000年以上前にエジプトで生まれ、1000年以上ヨーロッパで暮らしている。だが、ここには訪れたことがなかった。

 僕は今まで何度拠点を移しているんだろう。一般的に吸血鬼は10年以内に引っ越す。隣人が10年以上姿が変わらないのは奇妙だ。特に僕の場合、見た目が成長期だから3年で姿を消す必要がある。

 ロンドンには結局1年半しか留まらなかった。実際、僕は荒れすぎていた。フランスでの失恋を引きづり、とにかく誰かをずたずたにしたかった。切り裂きジャック事件の犯人について諸説言われているが、やったのは紛れもない僕だ。あわれな被験者の内蔵を引き出しているとき、昔、蘇生術を学んでいた頃を思い出し、心が安らいだ。しかし、しばらくすると喪失感に襲われ、仕方なく死体の血を抜き、肉を切り取り、空腹を満たした。一度は自殺を試みて大英博物館へ足を運んだが、神像に触れようとしたとき、係員に妨害され外につまみ出されてしまった。

 結局、今はもう死にたいとも思わず、過去は過去とわりきっている。

 アイルランドは空き家を探すのにたいして苦労はしない。郊外に適当なものが何軒かあったので、一番綺麗な家に荷物を置いた。そして、裾の長いスカートに着替え、つばの広い帽子をかぶった。別に趣味ではない。このほうが効率的に獲物がとれる。ただそれだけだ。

 霧が濃い今晩は狩り日和だ。しかも、ロンドンよりこの街は暗い。

 しばらく歩き回っていると、後ろから人の気配がする。経験上、多分男だろう。ここらで一度は獲物を引きつける必要がある。

 しゃがみこんでいると案の定声をかけられた。その後は何百年もやってきたやり方だ。しかし、今回は何かいつもと違う気がした。波長の重なりのようなものを感じる。超能力者だろうか。角を曲がって振り向いた。

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