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その後

 あれから五年の月日が経った。私は成人式には行かなかった。洋香に会うのが怖かったのだ。私には会わせる顔がない。

 あの日の電話以来、彼女には一度も会っていない。しかし、噂によれば彼女もまた、成人式には来なかったらしい。こんなことなら式に出ておけば良かったと思う反面、もしかしたら自分のせいなのではないかと少し不安になった。

 何故彼女は式に来なかったのか、今どこで何をしているのか、とても気になるが、正直もう会いたいとは思わない。幼い頃は、あんなに大好きだったのに。親友だったのに。


 十代の私は、伝えるべきことを誰にも伝えなかった。そして誰に対しても言うべきことを言わなかった。いくらでも叫ぶことができた。誰にでも不満をぶつけることができたのだ、心の中でだけは。

 思っているだけではなんの意味もないという、死ぬほど単純なことにすら気がつけず、私はずるずると無駄な時間を引きずっていた。いや、もしかしたら気がついていたのかもしれない。気がついていながら、自分を守ることだけ考え、何もかも溜め込んで、結局不幸になった。もっと早い段階であの環境から逃げ出す方法はいくらでもあったはずなのだ。

 事情を知っている人は、私のことを「かわいそう」だとか、「優しい」だとか言うが、それは違う。私はかわいそうではない。ましてや優しいだなんて大間違いだ。私は誰よりも弱く、誰よりも卑怯だったのだから。

 仕舞い込まれた感情を都合良く察してくれる人間など、どこにも居やしないのだ。


 それでも、私は人間と関わり続ける。これからもずっと。

 同じことを繰り返さないように。

元々プロローグとして載せていた部分を少しだけ書き換え、最後に移動させました。

近い内に他の章の話も改稿できたらなと思います。

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