えっ、中学校を知らない?!
一通り見終えたので、駄弁っている。
「ところで、優希って、何処通ってるの?」
「何のこと?学校ならもうないでしょ?」
「義務教育はどうした!?」
「義務教育?そんなの小学校まででしょ?!」
「中学校もあるよね?」
「中学校?何それ?」
もしかして、本当に知らないのか?
「小学校の次に通うことになる、12歳から15歳までの人が通う学校だよ。一応、義務教育の一部です。」
「そんなのあるんだ。初めて知った。私も和樹の学校なら行きたいな。」
「そう言われるのは嬉しいんだけど……。俺の学校、男子校なんだよね。」
「そっか〜。残念。」
「ところで、この近くの学校じゃ駄目なの?」
「だって、友達がいないもん。」
「そうか。」
俺は内心凄く嬉しかった。だって、ノーベル賞受賞者に特別扱い受けてるみたいだったから。
その後も話を進めると、意外と俺と優希は共通点が多いことが分かった。IQを測った経緯も同じだった。集団行動が下手でクラス内で浮いていたので、特徴を知る為に測ったのだ。その時なんだとか。国が優希に声を掛けたのは。もともと優希は捨て子で、孤児院に居た。それで国は小学校を卒業したらすぐに、研究者として引き取ったのだとか。
「楓、どうしてるかな……」
「えっ、何?」
「ううん、何でもない。気にしないで。」
何か優希が呟いた様な気がしたけど、独り言だったみたいだ。でも、なんか気になるんだよね……まぁ、本人に言う気がないなら無理には聞かないけど。
そんな話をしているうちに13時を過ぎていた。
「もうお昼だね。何が良い?」
「悪いよ。俺が作るよ。」
優希が作ってくれるみたいだけど、なんか作らせるのは悪い気がして、つい、“俺が作る”なんて言ってしまったけれど、よく考えると他人の台所で勝手に料理するのはまずいような気もする。
「なら、初めてだから手伝ってくれる?」
「良いよ!」
初めてで良く一人でやろうとしたな……びっくりだよ。優希に常識は通用しないな。て言うか、優希って本当に頭良いのか?いや、天才には常識は通用しないんだっけ?