霧島研究室に行って見た
一話一話が短い……
約束の日曜日になった。
今週、翔達に
『《【アニメの中の能力をこの世界で作るには】の作者》って、お前のことだよな。』
などと言われ、その後も何かと話題に上がった。正直疲れた。まぁ、それはそれだ。今日は霧島優希さんと会うのだ。それも、霧島研究室で。
霧島研究室を見せてもらえるなんてそうそうあるものではないので、出来るだけ長く居ようと、10時前に着くように行った。
早く着いたが、霧島研究室には明かりが灯っており、中に人がいるようだった。
中を覗くと、“かわいい”というよりは“クール”に近い中学生と思われる女の子がいた。
クールな女の子だなぁ……
しばらくすると、中の女の子がこちらに気が付いたようだ。こちらに来た。
「どちら様ですか?」
「涼宮和樹と言います。優希さんはいらっしゃいますか?」
女の子の顔が明るくなった。まぁ、今までも暗くは無かったが。
「私が、霧島優希です。宜しくお願いします。お会い出来て光栄です。」
「これは失礼しました。こちらこそ光栄です。」
「いえ、仕方ないですよ。顔出してないんですから。」
そうなのだ。
霧島優希は記者達の前に出るときは、いつも、大きな黒いコートを着て、顔はいつもフードで隠しているのだ。
「あと、ため口で良いですよ。貴方に研究のきっかけと理論の基を頂かなければ、ノーベル賞など到底無理でしたから。」
また、言ってる。俺は何もしてないのに。
「そんなことないですよ。優希さんこそため口で良いですよ。」
「なら、どちらもため口にしましょう。あと、“優希”で良いですから。」
「良いの!?なら、僕も“和樹”で良いよ。」
正直に言おう。凄く嬉しい。だって、ノーベル賞受賞の決まっている人と、ため口で話せるなんてそうそうあることじゃないではないか。
「研究室を案内するから着いて来て!」
優希も嬉しそうだ。