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ブレイク  作者: 湯城木肌
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3.ブレイク

 入学式から二週間が経過した。



 高校デビューと言われるものがあるように、押し隠していた自分を曝け出したり理想の自分を演じたり、高校入学という新しい環境の始まりで新しい自分を演出する人もいるだろう。実際に同じ中学出身の人を何人かに意識をやると、大人しかった子が積極的になったり、武勇伝を騙ったりしているのを見聞きする。


 仮面を被るのか殻を破るのかどちらかは知らないが、変わろうとしているのだろう。否定はしないが、私自身はそんなことはしない。マジメにやってきた私に必要はないし、折れてしまっては今までの否定になってしまう。


 そう、私は今までの自分を変える気は無い。友達をつくろうなんて気は起きていなかった。

 だから彼女が私の机を挟んで向かい合って昼食をとっていることも私が能動的に動いたわけではなく、彼女の誘いを受け入れただけだった。


 入学式直後に他のクラスメートと仲良くなって私のことを構わなくなるだろうと思っていた。だが席の近さのためか話しかけられる頻度は高く、また入学オリエンテーションや班行動等は出席番号の関係で一緒になることが多く、結果彼女と接する機会は多かった。きっとそれが彼女の私への興味を持続させたのだろう。ただ私の人間の底の浅さを鑑みれば、興味が尽きるのは時間の問題だ。

 

 私と関わって得るものなどなにもないのだし、人に何かを与えられるほど余裕を持った人間ではないのだ。


 会話をしながら持参した弁当を広げて昼食をとる。ただ会話と言っても彼女が楽しげに話して私はほぼ相槌を打つだけではある。質問等にはしっかりと答えるが会話を広げることや話題を提示すること等は考えてはいない。考えなくとも彼女はいくつも話題を提示してくるので会話が途絶えることはなかった。

 

 私と彼女はほぼ同時に食べ終わった。喋る量から考えると彼女のほうが食べ終わるのが大分遅そうなものだが、彼女の小柄な体型に合わせて弁当も小さいためだろう。


「ゆうっちは入る部活動とか決めた?」


 弁当箱を片付けながら彼女がこちらを向く。


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