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迷宮の王をめざして  作者: 健康な人
一章・鉄の王編
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相棒

修正しました 1/1

 あれから人間であった頃のようにひたすら死体を捜す作業をしていた。


 どうもこの体に睡眠や休息は必要ないらしい。

 人間であった頃よりもずっと長く洞窟の中を歩くことができる。

 これは洞窟に長い間過ごすために必要な食料の問題を気にしなくていいことも大きいことがわかった。

 この体になってから当たり前のことがどれだけ生きるということに重要かがわかってきた。



 そして洞窟を歩き続けて気がついたがこの洞窟はあまり広くないらしい。


 この体になった日に食った大蛇がこの洞窟の最上位者だったらしくあとは俺を殺した忌々しい蛇やネズミ程度しか見かけなかった。


 そしてたまにガスのようなものが噴き出すということもわかった。

 このガスだが逃げた蛇が即死するほど強力なものだ。


 …蛇では何とも言えないがガスが有毒なものなのは確実であり、俺には有毒ではない。


 人間だったころにたまに見かけた人の死体はこれを吸ったせいならばこれは俺が万が一人間に見つかってしまった時に戦闘でも逃走でも確実に有利になれる切り札的なものになるはずだ。


 わかったことと言えばこの体の食事は相手が生きていても体がふれていると食おうと思えば食うことができた。


 最近では魔力を含んだ鉱石や苔なんかも食うことができることに気付いた。

 そして食いものとして意識したからなのか魔力をうまそうという感覚で感じられるようになった。


 食ってばかりだが自分で仕留めた獲物を自分のために食うというのはかなり楽しい。



 そして俺は今日新たな獲物を食うために地底湖に足を向けた。









 人間は水の中で息をするようにはできていない。

 だから水の中というのは思うように調べることができないものである。

 だが今のおれは違う。

 水の中でも問題なく生きていけることは確認済みである。

 ただ、泳ぐのではなく水の中を歩けるというものに変化してしまってはいるのだが。


 地底湖には魚らしいものはみつけることができなかった。


 見た目の割には意外に狭かった。


 それでもカニのような生き物は食えたのでなかなか満足である。


 ん?


 地底湖の中心にずいぶんとうまそうな石がある。


 やはり俺は運がいい。

 そう思い石を食い始める。

 そして石を食いつくす。


 なかなか満足できた。

 たまにはこういうのもありだろう。

 そう思い地上に戻ろうとする。


(待て)


 誰だ?


(なぜ死霊であるお前が私を助けた?)


 助けた?何の話だ?


 しかも何も見えない。

 俺は何に話しかけられているんだ?


(お前…下を見ろ)


 下?

 そう思い下を向く。


 蛇?


 水の中にか?


(蛇ではない。私は水竜だ。長い封印で力を削ぎ落されてこのような姿ではあるがな)


 竜だと!?


 竜なんて一生係わり合いになりたくない怪物の筆頭じゃないか!

 

(係わり合いになりたくない怪物か。今の貧者な姿を見てなぜそう思うかは置いておくとしてなぜ私を助けたのか、その答えを聞いていないが?)


 そもそも助けたつもりなんかないわけだが。


 というか考えを読まれてないか?


(助けたつもりもなくどのようにしてあの封印を破ったのだ。私でさえ破ることのできなかった術だぞ?)


 考えを読んでることについては無視か。


 魔力を食っただけだ。


 腹が立ったのでそう答えるだけにした。

 竜が納得したような雰囲気を出す。


(なるほど。ならば私をおまえの相棒にしてくれないか?)


 竜を相棒にするというのはすごくかっこいいと思うし、なにより竜なんかを相棒にできたらそれこそ1国の王にだってなれる。


 竜というのはそういった類の怪物なのである。

 ただ今の会話の流れでなぜそうなるんだ?


(ほう王になるつもりか。つまりお前も最初からそのつもりだったということか)


 なぜか向こうは1人で納得している。

 ほんとにどういうことだろう?

 まあ相棒になってくれるというならなってもらおう。

 竜は誇り高いらしいから口約束だろうと約束は守るだろう。

 それに変なこと言って戦いにでもなったら絶対死ぬことになるし。


(では契約を…そういえばお前の名前はなんというのだ?)


 レクサスだ


(私は水竜アリエル。

 これからよろしく頼むぞレクサス)


 そう言ってアリエルは左腕に巻きついてきた。


 竜なら空でも飛ぶのかと思ったな。


 よろしくなアリエル。


 簡単な挨拶をした後に今度こそ地上に向かって足を向けた。

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