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迷宮の王をめざして  作者: 健康な人
一章・鉄の王編
17/72

迷宮都市の迷宮

修正しました  1/1

 暗くなったので見通しが悪い。

 これならばれずに入ることもできるはずである。


 一気にかけ迷宮の中に入る。


 成功だ。

 というかこんなことをしなくとも見張りを気絶させてしまえばよかった気がしてきたな。

 まあいいか。

 さてここはどんな場所なのだろうか。


 中堅の探索者が利用するならそれなりにうまい獲物がいるだろう。


(地竜以来のまともな食いものか。早く食ってみたいものだ)


 確かにな。

 それにまともな迷宮の探索をやるのは俺にとって初めてである。

 以前なら迷宮に潜るなど命の危険を感じたのだが今は全く危険を感じない。

 質のいい鉱石がとれるらしいがそれは食えるのだろうか?

 どんなやつが生息しているのか。


 まあ考えるよりも行ってみるのが早いか。


(だな。早く探すぞ)


 人目があったためつけることのできなかった腕鎧を着けアリエルが巻きつきやすいようにアリエルがいつも巻きついている形に窪みを作るように形状変化の魔法をかける。

 その時に腕鎧は傷ついていないのに左肩から左胸にかけてだけ壊れたような形で鎧がないといった変な状態になるのを回避するために左腕の鎧は肘から先を引きちぎることにした。

 これで見た目は左肩に何らかの攻撃を受けて死んだ悪霊に見えるだろう。

 この作業をしている時に筆頭君を呼び出して買った剣を渡しておいた。

 これで見た目的にも筆頭っぽくなっただろう。

 とにかく迷宮探索の準備はできたな。

 






 かなり迷宮を進んだのだがこの中には期待したような生き物はいなかった。


 小さな生き物はいるのだがそれだけである。


 通路の多くの場所に魔力を多く含んだ煙のようなものがあり、その煙が出ている影響なのか少し壁から鉱石を取ろうとするだけで周りの壁が崩れ大きな岩が落ちてくる時もあった。

 おそらくだがこの迷宮が中堅の探索者にしか解放されていないのはこういった探索すること自体の難しさがあるのだろう。

 もしかしたら見張りも調子に乗った時期の探索者を止めるためにいたのかもしれないな。


 何か危険な生き物がいるわけではないようだ。

 まあよく考えてみれば危険な生き物がいる迷宮の周りに街なんか作れないか。

 しかもこの鉱石あまりうまくなかった。


 今回は迷宮核だけもらっていけばそれでいいか。


(そうだな。ここはそれ以外なにもないようだからな)


 やはりアリエルも同じようなことを思ったらしい。

 まあ中堅の探索者がよく使っているからと聞いて何かいるのではないのかと変に期待してしまったからな。

 とにかく迷宮核を探すとするか。


(こういった洞窟の迷宮は一番深い部分に核があるのが一般的だ。とにかく共振を頼りに進んでいくぞ)


『この魔力の煙みたいなのは無視していいんですか?』


(この煙は魔力を多く含んでいるが私たちにとっては無害だからな)


 アリエルから見ても多くの魔力を含んでいるのか。ならこの煙を吸ってたらお前強くなれるんじゃないのか?


(そんなわけがあるか。多く含んでいるといっても空気に比べればという意味だ。ずっと吸っていれば強くなるだろうがどれだけの時間をここで過ごさなければいけなくなると思っている)


 簡単にアリエルが強くなれると思ったのだがな。

 やはりそう簡単な話ではないのか。






 底に進むにつれて共振が大きくなる。


 いつものことだがこの迷宮の核は見えないな。


(普通こういった洞窟で魔力を多く含んだ煙は出ない。魔力は鉱石の中の方が長く残るからな。魔力を含んだ鉱石がほとんどなく、その代りのように煙が出るというのはどう考えても怪しいだろう)


 でも煙の大本なんてどうやって見つけるんだ?


 岩の中から出ている煙の大本なんて見つけようと思って見つけられるようなものじゃない。

 落石などで大きく地形が変わった時に偶然見つかることはあるらしいが。


(この迷宮を崩せばいいではないか。煙が出ている場所を適当に崩せば分かるんじゃないか?)


 まさか本当に崩すつもりだったとはな。

 絶対嫌である。


『崩すくらいなら私の形状変化の魔法を使って煙が出ている場所を進みませんか?』


 そんな方法があるとは。


 そちらの方が安全そうだしそちらの案で行くとし行くとしよう。




 近くの煙が出ている場所の近くでジズドが魔法を発動する。

 すると岩の形が変わり俺が通れるほどの穴が現れる。

 その穴に近づくと穴が奥に広がっていく。


『レクサスさんの正面に穴が開くように形状変化の魔法を発動させた。後は煙の方に向かって歩くだけでいいよ』


 簡単だな。

 言われたとおり煙の出ている方向に向かって進んでいく。


 少し進むと小さな空洞に出た。

 空洞には煙が充満しており俺が進んできた穴から煙が我先にと逃げるように出ていく。

 だがここは空洞になっているだけのようでまた別の場所から煙が入ってきている。

 どうやら弱い地盤の間にある空洞が煙のたまり場になっておりそこからまたちいさな隙間を通りいろいろな場所に出ているようだ。


 これは思ったよりも長くなるかもしれないな。





 何度か大小の空洞を見つけながら上に下にと進む

 煙の大本を探し出してそれなりの時間がたった気がする。

 共振は強くなっている。

 どうやら当たりのようだ。




 煙を出す石を見つけた。


 どうやらこれがこの迷宮の核で間違いないようである。

 核を手に取ると煙を噴き出さなくなり共振もおさまる。


(これでもうこの迷宮に用はないな。さっさと迷宮を出て湖竜でも狩りに行こうではないか)


 まあ行こうとは思っていたがとりあえずは街に戻るぞ。


 こうして迷宮の探索は終わった。


 この迷宮ではこの日を境に軽い幻覚作用のあった煙が噴き出さなくなり鉱石の採掘がずいぶんと簡単になった。だが今までより安全になったため多くの人数で鉱石を掘っているにもかかわらず鉱石が取れる量はあまり変らなかった。また今まではこの迷宮で取れる鉱石は質のいいものばかりだったが質にばらつきが出るようになりそのばらつきは年々大きくなっていった。これは今までの鉱石の採掘速度が早すぎると考えられ採掘量を決めるなどの対策をしたのだが多少ましになったというだけであった。





 迷宮の外に出た時はもう明るくなっており見張りに見つかったが金貨を一枚渡すと問題なく通ることができた。

 最初からこうしていればよかったのかもしれない。



 店に行ってみたいがまだ時間には早いだろう。

 とりあえず店に行って商品の説明でも聞いていれば時間を潰せるだろう。





「あんたかい。昼には少し早いがあんたが欲しがりそうな商品ならもう入ってるぞ。買ってくかい?」


 店に入ったとき昨日の店員…ロウが話しかけてくる。

 昼までにはまだ時間があるがすでに商品は仕入れていたらしい。

 こちらとしてはありがたいので買わせてもらうことにしよう。



「今回はほんとに珍しいもんを仕入れてな。普通なら買い手がつかねぇもんだから仕入れるようなもんじゃないがあんたなら買うと思ってな。俺が無理言って仕入れてもらったんだよ」


 歩きながら自慢げにそんなことを言い出した。

 無理を言わないと仕入れることができないほど珍しいものか。

 すごく気になるな。


「これだ。あんたなら買ってくれるって信じてるぜ?」


 見せられたそれは少し長いが標準的な形の何の装飾もないただの直剣だった。

 ただそれが普通でないのは一目見た瞬間に理解できた。

 刀身にどれほどの数を切ったのか分からないほどの怨念が渦巻いている。


 思わず店員の方を向いてしまう。


「どうだい?すごいもんだろ。どれだけ切っても歯こぼれ一つしないし鉄だって簡単に切っちまうぐらいの業物でな。もの自体はいいんだがこいつを売りに来た探索者はこの剣には大昔の魔王が宿ってるなんて青い顔で言いやがってな。よくある笑い話だって気にせずにこの街のやつが買ったんだが結局そいつは十日と待たずに死んじまった。それからも何人かが買ったんだが結果は同じってわけさ。それからは最初に言ったようにいいものではあるんだが買い手がつかなくなってな。で後はここに来るまでに説明のとおりさ。感謝しろよ?」


(魔王な。そんなものの存在は聞いたことはないが確かにこの剣は相当なものだな)


 やはりわかるものなのだろうか?俺にはすごい怨念が渦巻いている剣ということしかわからないが。


『かなり高位の悪霊が使っていた剣でしょうね。しみ込んだ怨念が普通じゃないです。もう怨念と剣が完全に同化してますよ。どれだけ殺せばこうなるのか』


 ジズドでもわからないのか。


 しかしこれは俺が使っても大丈夫なのだろうか?


『大丈夫なはずだ。かなり強力なものですがこれも持ち主を死に誘う呪具に間違いないからね。なら悪霊であるレクサスさんが使うなら問題はないはずだ』


 なら買いでいいか。

 ロウにこの剣を買うと伝える。


「さすがだね。値段はこんなもんだ」


 昨日買った三つの商品を合わせた値段より高かったがまあいいだろう。


「今回は無茶言っちまったからこんだけしか仕入れられなかったがそのうちまたおもしろいもんを仕入れとくよ。まあこういった珍しいもんはそう頻繁に取引がある訳じゃないから次が仕入れられるのは雪が降るころになるだろうがな」


 ならそのころにまた来るとするか。

 ついでなので金貨が二百枚ほど入った金貨袋をロウに渡しておく。


 これで次来るときにおもしろそうなものを仕入れておいてくれ。納得できる品を仕入れてくれたら同じぐらいの金を出そう。


「先払いか投資のつもりかい?しかもこの量の金貨を?持ち逃げされるなんて思わない訳か?」


 せっかく珍しいものを仕入れる店を知って、その店の店員が俺にあうおもしろい品を仕入れてくれることがわかったのだ。

 ならこういった投資でまたおもしろいものを見つけてくれる可能性をすこしでもあげた方がいいだろう。

 それにどうせ持っていてもこの街のような場所でしか使うことのできない金なのだから持ち逃げされても痛くない。


 思わない。あんたならおもしろいものを見つけてくれると思ったから渡しただけだ。


「俺も一応商人な訳だしそういわれちゃ弱いね。まあ今回の剣は売れたわけだし、この金があればどうとでもなるだろ」


 一瞬だけ何かを考えるような表情をする。

 無茶を言ったばかりなのに無茶な取引を推せば角が立つのだろう。

 まあそういったことを含めても無茶を推して仕入れた剣をこの値段で売ったのだ。

 金もあることだし何とかできるだろう。


 そういうわけで頼むぞ。次に来るのは言われたとおり雪が降るころにする。


「この量の金があるんだから次は期待していいぜ」




 買い物は終わったことだし巨神の足跡に行くことにするか。

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