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迷宮の王をめざして  作者: 健康な人
一章・鉄の王編
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竜牙兵と死霊兵

誤字修正しました。  1/1

 死者の都から出て大森林で食えそうな相手を探す。


 野犬を追いかけているとふと目に留まるものがある。

 野営の跡である。


 周りの草はほとんど倒されていないため少人数なのは間違いない。火の周りに何も生えていないところをみると最近のものだろう。だがこんな場所で野営をまでして何をしに来たというのだろう?ただの狩人ならこんな森の中で野営なんて選択はしないのでおそらくはこの森の何かを取ってくるように頼まれた探索者だろう。


 会うことはないだろうが見つかると面倒になるな。一度死者の都の中に戻るとしよう。


(なぜだ?)


『私も疑問に思うね』


 人間に見つかるとすぐに討伐だ浄化だと面倒だからだ。お前らだって旅の邪魔はされたくないだろう?


 二人ともわかってくれたようだ。少しの間安全な死者の都でおとなしくしておこう。



 そして死者の都に戻ったのだがどうも違和感を感じる。


 前に来た時はなんというか生きる活力のようなものが感じられなかったが今はそうではない感じがする。


(なんだそれは?)


 うまく言葉にできないが何となくこの場所に不純物が混じった感じがするのだ。

 自分でもよくわからない感覚だ。


 自分でもよくわからん。


(なんだそれは)


 だからよくわからんと言ったただろ。


『ふむ…これは以前に生きた人間が来た時と同じ感じがする。生きた人間が何らかの目的で来たのかもしれないね』


 もしかすると野営をしていた人間はここに用があったというのだろうか?だがもしそうなら命知らずとしか言えないな。


 つまり好都合じゃないか。


 以前の人口迷宮の計画はつまらないということとなにより獲物が来ないということで失敗したが、今回は最初から獲物が罠にかかった状態である。一度くらい獲物を罠にかけるということをやってみたかったが今ならすでにかかっているではないか。


 ならそいつらを探そう。


 この死者の都で悪霊どもに気づかれることなく動いているやつを逃がしてしまえば面倒なことになるかもしれないというのが本音だが。


『わかったよ。…やつらは城に行くつもりのようだがどうする?』


 そんなことまでわかるなんてな。さすがは死者の都で何年も過ごしただけはあるということだろうか?

 ジズドの言うように城に行くならあの大量の金貨を見ることになるだろう。あれを見たなら絶対にあれに気を取られるだろう。そこで奇襲するか。

 方針は固まったのでさっさとやってしまおう。





 城の宝物庫に来たのだがなにもいない。


『何を言っているんだい?あの大量の金貨の前にいるだろう』


 金貨の方向を見た後周りを見回し見るがやはり何もいない。


 やっぱり何もいないじゃないか。


(悪霊には見ることができないのではないのか?私は見えているぞ)


『レクサスだけ見えないとなるとそうかもしいれませんね。…目があった』


 だから鎧のどこに目があるのか。


『私の言うとおりに進んでくれたらいいかと。まずは金貨の前まで行ってください』


 言われた通りにに進むがやはり何も見えないな。


『そこです。手を伸ばせば触れる距離にいるよ』


 言われたとおりに手を伸ばすがその手は空を切った。


 いないじゃないか。


『少しだけ動いて避けたね。もう一度やってみて』


 やはり何も触れない。姿が見えないってのは厄介なものだな。アリエルに水弾でもぶつけてもらうか。


 そんなことを考えていたら何かを食った感覚がする。


『剣を一瞬で食うなんてすごい早食いだね。左にいるよ』


 剣を食った?攻撃されたのだろうか?そんなことを考えながら左を向くと女がいた。

 なぜ急に見ることができるようになったのかなど忘れてしまうほどの見たこともないほど美しい女だった。この女に攻撃されたということも忘れて見入ってしまう。そのとき何かを食った気がしたが完全に思考の外だった。


 見入っている間に女は金貨のほうに飛んで距離をとる。

 一息で詰めることができる距離だったが反応が遅れる。

 女はその一瞬で大量の悪霊を召喚する。

 だがよく見ると違う。

 召喚された悪霊は悪霊にあるはずの禍々しさがない。ジズド風に言うなら死の匂いが薄い。死者の骨を使っているというのにそれはあり得るのだろうか?


『竜牙兵か!ずいぶん珍しい術を使うな』


(竜牙兵?あんな貧弱な悪霊もどきが竜の牙であり兵だと?)


『竜牙兵は術の名前です。動物の牙や骨で作った操作可能な使い魔のようなものです。名前の由来は…』


 今説明するなと思うがまあいいだろう。

 先ほどの女は失敗しただの早く逃げようだのと誰かと話している。

 おそらくあと何人か隠れているのだろうが俺は女を見ることができるのだ。それはすぐに悪霊が集まってくるということだ。女たちは終わりだろう。


 攻撃を仕掛けてきた竜牙兵とやらを右手で砕きそんなことを考える。


 何の骨か分からないが歯や爪の形を見るに肉食獣のようである。ほかにも見たことのある魔獣の骨や野犬が大量に群がってくる。

 だが近くの竜牙兵は頭から遠い部分から灰になっていく。

 今まで考えていなかったが重いはずのジズドを着ても動きが変わらないというのは力が強くなっているのではないのか?食うことのできる範囲も広がっているのだろうか?

 しかしこいつら数が多い。

 耐久力はないがそれを数で補うという方法をとっているのだろう。


 そんなことをしている間に女たちは逃げてしまった。

 転移魔法を使えるほど高位の魔法使いがいたのか。


『…ということで今では竜牙兵と呼ばれているんです。おや、逃げられましたか』


(まあこんな木偶を大量に置いていかれては身動きがとれんからな)


 そう思うならアリエルも動けよ。


(こんな木偶どもに私の力を使うなどもったいなくてできんな)


 そういうと思ったよ。


『竜牙兵を何体か残してくれないか?竜牙兵の作り方が分かるかも』


 そんな簡単に分かるものなのか?


『もともと竜牙兵自体は有名ですから。人工的とはいえ悪霊を使ってるわけだしね。それをどうやって使役しているかが分からないからこそ珍しいのですが、これほど大量に使役したのならおそらく特別なのは悪霊ではなく骨のほうと考えたほうがいい。もしそうなら実物が目の前にあれば多分なんとかなるはず』


 ならとりあえず試してみるか。

 残った竜牙兵は頭蓋を割るだけにしたがこんなものでいいのだろうか?


『たぶん大丈夫だろう。一度私を脱いで竜牙兵に着せてくれないか?』


 一人で鎧が脱げるか不安だったが脱ごうと思ったら体に合わない大きさになり地面に落ちた。

 本当に便利な鎧である。

 竜牙兵にジズドを着せる。

 だが犬が鎧を着ているのは違和感がわいてしまう。


『意外と簡単な作りみたいだ。骨の頭部分はまったくわからなかったが他は悪霊と似たようなもので関節部を核からの命令で動くようにしているだけだ。頭以外の骨は竜牙兵にするために使った素材を色々よくわからない処理をして形を変えて使ってるみたいだ』


 それは簡単なんだろうか?


 しかし悪霊になって時間はあったが自分の体のことなんか考えたことなかったな。初めて聞いたようなことをいろいろ言ってたぞ。


(よくわからん部分が多いみたいだがそれは簡単とは言わんのではないか?)


『ここは死者の都ですよ?面倒なことなんて考えなくても悪霊を入れてしまえば作れますよ。実際に見せたほうが早そうですし外に出てください』


 まあおもしろそうだしなんでもいいか。

 ジズドを着ると城の外に向かった。





 外に出るとジズドが陣魔法を発動した。


『この陣の中に骨を入れてくれ』


 言われた通り近くから骨を持ってきて組み立てる。


 この陣は何なんだ?


『骨の中に死者の怨霊を入れる効果と契約の効果がある。怨霊は生きているものを呪う。それは体が欲しいってこと。欲しがってる体を与える代わりにこっちの言うことを聞けと契約してるんですよ』


 それって死者蘇生じゃないか?


『私自身が怨霊の塊だから言えるんですけど死んだ後の怨霊なんかどう考えても生きてた人とは別人でしょう?これは死者蘇生といより死者に生前の誰かに似た誰かを転生させるものですよ』


(屁理屈に近いな)


 よくわからんことを延々説明されてもどうせ分からないままだ。

 竜牙兵ができるならなんでもいいと思ったほうがいいな。


『まあその辺は置いておきましょう。要するによくわからないけど悪霊は動いているでしょう?だからよくわからなくても怨霊を入れてしまえばただの骨だって悪霊にできるはずってことですよ。でそれは自然に発生したのではなくこちらが体を与えた形になってるのでこっちの言うことを聞くってことです。まあ見ていてください』


 すると陣の中の骨が動き出す。


 ほんとにできたな。


(まさかよくわからないままこんなことができるとはな)


『必要なのは理屈じゃないからいいんですよ』


 確かに理屈なんてどうでもいいがこれなら死者の都の死体全部を悪霊にできるんじゃないのか?


『ほとんどはできるでしょうけど時間かかりますよ?』


 延々とこんなことをしなければいけないのか。

 それはつまらない。


(さっき作ったこいつを使ってほかのやつも作らせればいいではないか。契約状態なら好きな時に呼び出せるからこいつをここに置いていっても問題ないだろう)


 契約なら好きな時に呼べるのか。

 ならあの女が呼び出したのも契約状態だったということか。

 女のことが頭から離れないな。

 まあ好きな時に呼べるということだけで役に立つな。


 そういえば好きなように元の場所に戻せるのだろうか?


『呼べるんだから帰すことだってできるにきまってるじゃないか』


 なら旅先で見つけたものを死者の都に持ち帰らせておくこともできそうだ。


『ここを拠点として使うわけか。それなら私たちも好きな時にここに飛べるほうがいいんじゃないか?』


 できることならそうしたいが誰もそんなことできないだろう。


『数は少なかったはずだが転移の宝珠が宝物庫の中にあったはずだよ?転移先は城の正面門前になっていたはずだ』


 そんな便利なものがあるのか。


『この場所に戻ってくるつもりはないのかと思ったから言わなかったんだけど言ったほうがよかったね』


 たしかにこいつを作れるってわかるまで戻ってくるつもりなんてなかった。


 まあそんなことはいいとしてもいつまでもこいつじゃ言いにくいな。名前をつけないか?


(怨霊を死体に入れて悪霊もどきを作っているから死霊兵でいいのではないか?)


 それでいいか。

 転移の宝珠を貰ってから旅に戻るとするか。



 今回作った筆頭死霊兵に死霊兵の作り方を見せて軍を作っておけと命じた。

 あとは彼?がここで戦力を増やしてくれるだろう。

 陣魔法の効果が消えないように魔力供給源として迷宮核を一つ置いていくことにした。

 こんな場所まで来るようなやつがいるかわからないが今日のような例がある。苦労して見つけた迷宮核を取られたくないので城の一番上の部屋に置きここを厳重に守るようにと筆頭死霊兵に言い聞かせておく。


 こんなものか。

 ここはいろいろ発見が多かったし安全だから長居してしまったがいいかげん他の場所に行ってみたくなったな。

 やることはやったことだし外に行くとするか。



死者の都は誰も来ないことを利用した拠点だと思ってください。

今のところ主人公はここを物置と駆け込み場所くらいにしか見ていません。

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