追憶のリン
さーあーて今からリンの昔話だよー
胸くそ悪くて絶望がたくさん詰まってるよー
でも、希望が最後に現れる…かもね!!
さぁ楽しんで行ってねー
この小説を見る際は気分を盛り上げて嫌な気分に飲み込まれないように見てね!!
私の名前はリン・マーシャル。
第四皇女だ。
私は明日魔王の息子に会いにいく。
町に行くことができるチャンスがいつもはほとんどない私にとってこれは楽しみのひとつだ。
今日は月が丸く明るい夜だ。
私はまどろみながら思った。
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私は、生まれつき髪が白かった。
髪が白いのは、魔力を身体強化に使ってしまい魔力が外に出ていない証拠だ。
そんな私を見た父は魔族と戦う兵士たちを鼓舞し、共に戦う象徴として使うことを決めたらしい。
人の将来を勝手に決めやがった事には苛立ちを覚える。
だけど、顔も知らない第一皇子は生まれて一年で貴族たちの争いで殺されたからまだ将来が有るだけましだった。
元々八人兄弟だったらしいが今生きている王族は第二皇子と第三皇子、私、第七皇女だけだ。
第二皇子と第三皇子は貴族で権力争いに巻き込まれてしまって毎日殺されかけている。
私も幼児期に良く殺されかけたらしい。
なんでも私を守っているリング家を守りきれなかったという汚名を着せて没落させるのが目的だったらしい。
リング家が没落するのは良いがそれに利用されるのが、私の命だというのは勘弁して欲しい。
一番初めの乳母は、最初にあった瞬間ナイフを突き立ててきたらしい。
まあ、身体強化に守られて切り傷程度だったらしいが。
そのナイフに塗ってあった毒は少しの量でも致死量に達するらしいが、私は毒は効かないらしい。
ただ下痢になって終わった。
二番目の乳母は裏があるのかと思うほど良い人だった。
「わたくしの夢はリン様が成人するのを見届ける事ですから」
これが乳母、リリアーナの口癖だった。
二歳の時の出逢いだ。
そんな出逢いがあっても、私は相変わらず殺されかけた。
有るときは、魔術師の作っあ炎球が飛んできた事もあった。
火傷ひとつしなかったが。
有るときは、騎士に襲われた事もあった。
全員私が撃退したが。
リリアーナは、私が殺されかけてもいつまでも側にいた。
そんなリリアーナを私は徐々に信頼していった。
「リリアーナぁ!!」
「何ですか、リン様?」
「遊ぼー」
「はいはい」
リリアーナはいつも笑顔だった。
そんな笑顔が私は大好きだったのだ。
そのうちに私はどんどん大きくなっていった。
大きくなるのと比例して暗殺は減っていった。
私が六歳になり何日かたったある日私の所にリング家の当主、サイモン・リングがやって来た。
リング家の当主はただ、いい意味でも悪い意味でも権力にしか興味がない男だった。
私の事を権力を得るための足掛かりにしか見ていない所が嫌いだった。
「お久し振りです。
リン様」
「お久し振りですね」
形式通りの挨拶を済ませると、彼は本題に入った。
「実は私の次男坊はあなた様と年齢が同じなのです。
同世代の友達が王宮に居ないため悲しんでいるのです。
是非仲良くなってやってください」
「いいですよ」はゆ
「ありがとうございます。
おいジェラル!!入ってこい」
そうして、入ってきたのは小さなかわいらしい男の子だった。
「初めまして。
ジェラル・リングです」
少し緊張しながら話しかけてくるのはなかなか好印象だ。
私はこういう場合が良くあるのでもう緊張なんてしない。
「こちらこそ、よろしく」
手をだすと喜んで手を掴んでくる。
今思うとこんなことをしたのが間違いだった。
「リン様ぁ。
遊びに来ましたぁ」
次の日から毎日ジェラルは遊びに来た。
最初は良かったが毎日だとウザいだけ。
「リン様ぁー」
「うるさい」
一喝するとジェラルは泣き出しそうになる。
「私泣く男嫌い」
そう言うと泣くのかこらえようとする。
「あらあら。
また泣かせたんですか、リン様」
「私はなにもしてないもん」
このごろのリリアーナは笑顔の合間に苦しそうな顔をする。
私はそれが嫌だ。
「大丈夫ですか?
ジェラル様」
「リン様がぁ~~。
泣く男は嫌いってぇ~」
リリアーナに抱きつきながらジェラルは言った。
「大丈夫ですよ。
リン様はきっとツンデレなんですよ」
「ツンデレじゃないもん」
リリアーナにちょっと怒ると楽しそうに笑った。
「その台詞、ツンデレぽいですよ」
「もう!!」
そんな下らない毎日を過ごしながら、私は大人に近づいて行った。
時がたつにつれてリリアーナはつらそうな顔をすることが増えていった。
あとから聞いた話によると、夫に先立たれて息子も病気にかかっていた時期だったらしい。
でも、突然私の十三歳の誕生日を境にリリアーナは明るくなった。
それを見た私とジェラルは喜んだ。
これが悪夢の始まりだとも知らずに。
その日は月が丸く明るい夜だった。
私は夜中にトイレに行きたくなって起きてしまったのだ。
夜中にトイレに行くのは怖かったけれど、私はトイレに向かった。
「すっきりした~」
トイレを終えて部屋に帰ろうとした所に、王宮の門の所にリリアーナの姿が見えた。
声をかけようと思ったら難しい顔で何かを悩んでいる。
何をしているんだろう。
つい物陰に隠れてしまった私はその様子をじっと見ていた。
すると誰かが王宮に入っきた。
「あっ!!」
私はつい声をあげてしまった。
なせならその誰かは尻尾がはえていたからだ。
つまり、魔族である。
「ン?ダレダ?」
魔族に気がつかれた。
「リン様じゃない」
リリアーナにも気がつかれた。
リリアーナは本当に楽しそうに笑っている。
「どうしたんですか?
おトイレ?」
「リリアーナ!!
早くこっちに来て。
魔族から逃げなきゃ!!」
私は必死に言う。
対するリリアーナは笑っている。
「オイオイ目的ヲ忘レルナ」
「わかっているわ」
リリアーナは魔族と親しげに話す。
冷たい汗が背中を流れる。
「まさか…
リリアーナ……」
「どうしました?
リン様?」
私の乳母。
私の大好きだった笑顔。
私の信頼していた人。
その人が魔族と一緒に、私の、大好きだった笑顔で、立っている。
足に力が入らなくなっていく。
そんな私を嘲笑うかのようにリリアーナは一人語りを始める。
「私はね。リン様。
夫も息子も亡くしたわ。
そこで気がついたの。
この世界でコツコツ努力をしても報われないって事に」
私は吐き気まで起こる。
それでも、リリアーナは話続ける。
「私は頑張って生きてきたつもりよ。
でも、この世界ではそんな事全く報われないの」
リリアーナはそこで顔をしかめる。
「だから、世界を壊すの。
まずは王宮を潰して世界を混乱させるの」
そう言うリリアーナは目に狂喜を宿しながら、笑っている。
私は吐いてしまう。
「オイ、早ク契約ノ事ヲヤレ」
「もう、せっかちね。
リン様も早く死んでこっちにおいでなさい」
そう言うとリリアーナは魔族に肩の肌を見せる。
白い肌が暗闇に映える。
「苦しませないでね」
「ワカッテイル」
そう言うと魔族はリリアーナの肩に噛みついた。
どんどん血を吸っているようだ。
元々白い肌が真っ青になっていく。
「あぁ、待ってて、今行く………………」
リリアーナは何かを掴むように手を上げる。
そして、腕が重力によって落ちていく。
真っ青になったリリアーナが地面に倒れる。
「リリアーナ!!」
私の大好きな、母のように慕っていた人。
最後は狂ってしまったその人は死んだ。
「ウーン、ヒサビサニ血ヲ吸ッタナ。
オイ、小娘。
次ハ、オ前…」
魔族が何を言っているのかはわからなかった。
ただ、怒りと悲しみがあっただけだ。
気がついた時には真っ赤で肉片のようなヌルヌルとした何かを殴っていた。
その物質は青い粒子になって空に溶けていく。
ふと横を見るとリリアーナも同じように青い粒子がになって溶けていった。
それを見た私はざめざめと泣いた。
視界の片隅にジェラルの姿が見えて私の視界は真っ暗になった。
起きた私は三日間ジェラルに無理食べさせられるまで、水だけ飲んで泣いていた。
四日目に父に呼ばれた。
王の間に行くとまるで盤上の駒を見るように私を見て、言った。
「良くやった。
それはそうとお前はジェラル・リングと婚約した。
つまり、許嫁だな。
おめでとう」
それだけ言うと私を見もしなくなった。
私はその場はきちんと挨拶したが、自室に帰ると部屋に有るものをすべて壊した。
リリアーナを少しでも思い出すものは全部壊した。
そして、部屋に閉じ込もって一年間ずっとそこにいた。
一年たってやっと出られるようになった私は強くなったジェラルに会って少しずつ明るさを取り戻していった。
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私は、起きた。
何だかすごく悪い夢を見た気がする。
今日は魔王の息子に会うのだ。
少し楽しみだ。
書いていて暗くなりますね。
かなり嫌な感じでしたが、なぜリンが魔族に対して泣くほどいやがるのかがわかりますね。
リンは作者のお気に入りです。
えっ?ロリコン?知ったこっちゃないですよ。