あたしの六曜【浦川 日歌里 六曜詩集】

あたしのまっかなくちびる【赤口】

　ヴァンパイアものではないので、ご安心を。

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　あたしのまっかなくちびるが

　だれかに齧(かじ)ってもらいたがってる

　あたしのまっかなくちびるが

　紡(つむ)ぎあげたいことばをさがしてる

　あたしのまっかなくちびるが

　まっしろな毒牙をかくして忍び寄る

　あたしのまっかなくちびるが

　淫靡(いんび)な蛇の舌舐(な)めずりで 湿(しめ)って光る

　あたしのまっかなくちびるが

　萎(しな)びて色を失うまえに

　このあかさをぬりたくってやれる場所をって

　ずっとさがしてたら

　たどりついたのが あなただったんだけど

　やさしいあなたは残酷にも

　やわらかくて きれいなハンカチで

　あたしのまっかなくちびるをぬぐってくれたから

　あたしのまっかだったくちびるが

　あかさをとりもどすことは

　きっと もう二度となくても

　あたしのまっかだったくちびるが

　さみしそうに かなしそうに笑うことも

　きっと もう二度とないんだろうとおもえば

　それも 悪くないって気がするよ

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　好きだけど！

　ヴァンパイア！！