24/28
『バウムクーヘン』
『バウムクーヘン』
生まれてからのすべてのこと。
忘れられないことや
忘れてしまったこと。
大切にできたことや
大切にできなかったこと。
満たされたことや
満たされなかったこと。
向けた善意と向けられた善意
それと同じ量の悪意も。
それから、柔らかい心と硬い心、それぞれの格率と
繰り返す朝と夜と
吸った酸素と吐いた二酸化炭素と──
それらすべてが層をなして
私という実存を形作っていて
しかし、
その実、どうも内側に空洞が目立ってしまうので
寄る辺なさを感じてしまう夜があって
このスペースにあなたがいたなら、と願っている。




