『さるかに』ほか　『純粋、時間』『魂を震わす』

　『さるかに』

　抜けるように青い空

　そこに、突如としてぷかりぷかりと宙を舞う橙

　─そして降りそそぐ　柿！柿！柿！

　それは燦爛たるエンドロール

『純粋、時間』

　大きく振りかぶって

　打ち下ろす

　閃光

　とび散る煌めき、歪(ひず)み、蝸牛の秒針、廻る灯籠、ちりぬるを

　知床の流氷

　白神の山々

　それより、もっと自然。

　『魂を震わす』

　わたしの横で

　ガガガガ　ガガガガ

　コンベアの音

　一方わたしは、

　幾重にも重なった絆創膏と　固く厚くなった指

　眼を開き　指先に力を入れる

　わたしを以てして　誰かの魂を震わすのだ　

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