Welcome to xxx. 第一章スローライフ、ただ過ぎてゆく時の中で④
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現在は二チームに分かれて少し歩き出したところだ。
空気はちょうどよい感じに乾いていて、清々しくすらある。見える星の数が少ないと言うのがにべもない。
……塩谷さんが駅の構内へと拉致られた理由がこのチーム分けだと言うことは、考えなくても分かる。俺と彼女が一緒になれるように根回しをしたのだろう。気になるのはメールで怒り顔文字が来ていた事だ。
個人的にはこの探索?には賛成派で気のおけた塩谷さんが一緒でなくてもシカトして帰ったりしないし、そんなつもりは毛頭無い。しかし、今日の朝礼みたいに普段の行動からして山口さん的には俺は放り出して帰ってしまう奴の烙印を押されたのだろう。
昔馴染みを横に付けておけば皆倉もバッくれられない、という事だろう。
「さ、さあ、がんばろうね!!」
行きしなの怖がり様は台風通過。今は胸の前で腕を曲げ気合十分な様子だ。
「お、おう」そんな反転ぶりに、呆気にとられる俺。しかし、ここまでやる気になるとは何かいい事があったのだろうか。
うーー///。みっちゃんがあんなこと言うから気になっちゃうよぉ~。
『なんか、さっきからご機嫌だね』
『ん、そうか?』
『うん』
『まあ、お前と一緒だからな』
『えっ』
立ち止まって手を肩に乗せて、
『俺、お前が好きだ』
『……(そ、そんないきなり、しかもこんな所で!?)』
『…そうだよな、俺みたいなのにそんなこと言われても迷惑だよな』
『ううん!!おんなことないよ!全然、そんなことない!むしろ、嬉しいって言うか、わた、私もす、んっ!?』
そこで二人のくちび、キャーー!!こんなの、こんなことないよないない。あ、でも、自分でそこまで否定するのも悲しいな~~。
「おい、―」
私にだってこんなのがいいとかあるんだよぉー。
「お―、だい―」
いいじゃない。別にこのくらい考えたって。
「おいってば」
「ふぇ?」
「へ、じゃねえよ。大丈夫か、疲れたんならそこらで休むか?」
ビュンッ!!
「ううん、大丈夫。むしろ今大丈夫じゃなかったらいつ大丈夫なのかってぐらい大丈夫」
「そ、そうか。ならいいんだ」
ち、近いよぉ。思わず離れちゃったけど、変に思われてないよねえ。……うん、大丈夫、そこらへんも含めて鈍感なんだ、って言う私の希望的観測でごまかしちゃおう。
「うん、大丈夫。私たちはこっちからこの道を通って行こう」
「了解だ」
この周辺の地図をネットから印刷したものが先ほどのリュックに入っていた。
何か、あれだな、なんて言ったっけ?アトラクションじゃなくて、えーっと、ツアー、コンストラクション、モチベーション、……思い出した、オリエンテーション!!
地図には赤い線と緑色の線が描かれており、ところどころに日付とバッテンが付けられている。俺たちの緑の線上に一つ、向こうの赤線上に二つ。
どういう風に進んで行くのかと言えば、駅から南北に別れ二チームで始点を同じく東に円を書くように進み天跳駅で集合。途中で適当に曲がりを入れ、単調な散歩コースになっちゃダメよとのお達しもある。
「とりあえず、ここを真っ直ぐ行って適当なところで曲がりを入れて住宅街の奥の方に行こう。ここまでやるんだったら捕まえるのは無理でも特徴とか写真でも撮ってやろうぜ」
「うん!!」
俺の軽口に乗ってくるつゆり。いいね、昔の感覚が戻ってきたか。