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outer-blue  作者: 福スケ
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Welcome to xxx. プロローグ②


 目覚ましが鳴ったってことは昨日という日が終わり今日という日おめでとうという事だ。なんでも無い日バンザイ。いやいや、勝手になんでもない日と消えつけないでくれ。目覚めと言うのは一日をリセットするスイッチだってこと。意識がある中で寝ていることを認識できない状況の中、ふと目が覚めると外は明るく、目覚ましが鳴り、何が言いたいかというとつまり、学生は学校に行き、サラリーマンは会社へと、ニートは変わらずお家でお留守番ってこと。時間だ時間だ、と眠い、もう少しお布団にと駄々をこねる体に鞭を打つ。

 天気は快晴、太陽サンサン、ご苦労さん。

 春先、窓を開けると体がブルンッと縮こまる。

 ピヨピヨと鳴いている雀、少し遠くの学校に通っているのだろうか息を切らせて走る女子高生、のんびり塀の上を闊歩する猫。

 なかなかどうして、世界は万事うまくいっている気がする。

 自動車の排気ガスその他もろもろの汚染物質が入り混じった空気を肺に入れ、

「さて、俺も用意するか」と眠たいとごねる体に再度鞭を打つ。

 洗面台でうがい手洗い顔を洗って意識をはっきりとさせる。そして寝癖を直す。

 去年買った少し大きめの制服は今年もちょっと大きめだ。

 筆箱しか入っていないリュックを持ち、携帯音楽プレイヤーを学ランの内ポケットに入れてイヤホンを耳に付ける。

 スマートホンが普及している今日でも音楽プレイヤー派です。

 今日から学校は平常運航開始だ。なら、聞くのはアップテンポのやつ。最初はくすぶり気味で中盤にかけてドーンと爆発するタイプの曲を選曲する。

 朝の冷たい空気が頬を撫でる。心地よさと爽快感が駆け抜ける。

 大通りに出て歩く人を見れば、春の空気には人の背中を押す特別な成分でも混じっているのだろうか、なんて思ってしまう。

 通勤するおっさんや俺と同じように学校に向かう学生は暗い顔は見えず、むしろ早く会社に!学校に!と言わんばかりのうに見える。

春だから何かが変わるとか思っているのだろうか。

朝のニュース番組では珍しく誰かが死んだとか円高円安がどうだとか、とにかく気分が下がるものを見なかった。

変わりに今年の花見事情特集をやっていた。場所取りに来た新入社員にアナウンサーが辛辣な質問をしていた。

 それだけ日本が平和なのか、あるいは気付いていないだけなのか、気付かせないようにしているのか。……まあ、たまたま見なかっただけなのだろう。

平和ボケ日本万歳ではないか。

嬉しいということはテンションも上がる。

この時期のテンションの上がり様はおそらく正月、夏休みの到来、クリスマスの次に高いと思う。

いいね新年度。

新しい年度の始まりは俺を含めた学生達にまた一歩大人に近づける階段のような存在として一種の通過儀礼的な位置に在るのかもしれない。

今日は風が吹いているのでいい具合に捲れ上がりそうで上がらないスカートがちらほらと。

男なら誰もがそんなチラリズムに、ココロトキメカセルンダ。

 まあ、なんだ、とりあえず、……。

「めんどいけど、……学校行こ」


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