Welcome to xxx. プロローグ①
プロローグ
1
眠ろうと思うとなぜか眠れない。そんな不思議な事があると聞いていたがまさか自分がそうなってしまうとは思っていなかった。
星の光が鈍く灯り、月が半分ほど顔を出していたのは今はもう昨晩のことである。
布団に入っても眠れずにいた私は、眠くなるまで考え事をして時間を過ごすことにした。
そうして何もせず過ごす時間と言うものに私は好印象を持っている。
世の中には放っておいてほしくても離れないものがあるから、と心の中で自分の周りでいつも騒がしく、放っておいたら死ぬまで話続けるのではいかと思う知り合いの事を考え、常夜灯すら点けていない部屋の中が月明りに照らされる様とは正反対なようだと気付き、心穏やかに窓から見える外を見ていた。
今はもう日の出を迎え、外ではちらほらと人の動く音がしている。
いつもと違う朝の迎え方をしたからと言っていきなり死んだり、誰かがこの家に襲撃をかけたりはして来ない。
聞き慣れた電子音が聞こえる―電話が鳴っている。
今でも初めて聞いた時に何かが走っているようだ、と感じたのを覚えている。
私に電話をしてくる人間は私と楽しい話をするためにかけてきている訳ではないのだから急ぎの用で、と考えれば気持ちは走っているのかもしれない。
「……ふふ」
自然と口から笑みがこぼれた。
ああ、どうやら今日の私は機嫌がいいらしい。
「岩切です。はい、……はい、……………そうですか、わかりました。え?そんなことはないです。私は私にできることをします。……はい、では」
今日は学校とやらに行かなくてはならないので、昨日は準備やその他色々で私の周りは騒がしかったが、どうやら学校に行くのはもう少し後になりそうだ。
「……」
別に悲しくはない。
ただ、昨日、世話をしてくれた人達に対し、寸前まで疎ましく思っていたのだが、不意に私に向けてくれた笑い顔が脳裏をかすめ、何とも言い難い気持ちがうずくまった。
ただ、それだけだ。