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デスイタマエとバフ料理の真実

 オレとミタケはデスイタマエと決闘するためにグンマーへと向った。

 あまりにも急な冒険だったので、装備は○インズと○ークマンで急ぎそろえた。


 オレはお腰につけた手榴弾に、ミニミ軽機関銃を持っている。

 ミタケの方は、ロケットランチャーを束ねたものを両肩に担いでいた。

 グンマーに行くならこれくらいの装備がないとな。


 モンスターが食えるものなら、俺の板前スキルで解体できるので特に問題はない。

 しかし石とか木とか、食えないものだとマジでどうしようもない。


 その対策として、重火器をもちこんだのだ。


 やはりというか、まだグンマーの国境地帯に辿り着いてすらいないのに、既に結構な数のモンスターに遭遇している。特に植物系が多いようで、その見た目はというと……うん、手足の生えた野菜だ。


 グンマーの国境への道に入ると、さっそくタマネギやニンジンのお化けみたいなやつがオレに弾幕を飛ばしてきたので、即座に包丁の餌食にした。


「はー、やれやれだな。ニンジン、トマト、キュウリにタマネギ、おつぎはなんだ?ピーマンかぁ?」


「なんかすげー植物系のモンスターが多いよなー?なんでだろ」


「うーん、むかしの畑が多いみたいだから、作物が野生化したんじゃない?」


「野菜って野生化すると歩き回んの?」


「しゃべる奴もいるぜ。『漆黒の黒』だと、そのダイコンが人気だった」


「そうなのかー?」


 業界が違うと、世界というは全く違う表情を見せるものだ。

 冒険者のミタケがみる世界と、板前のオレが見る世界はきっと違う。


 そう、俺の世界ではダイコンは喋るし、ニンジンは弾を打ってくるし、玉ねぎは倒すと爆発するものだった。


「いうだろ?ウチの常識は世界の非常識ってな」


「……ジョニーが言うならそうかぁ」


 野生化した野菜を倒すこと自体は、オレたちにとって難しくない。

 しかし材料を運ぶのが少し大変だな。ミタケが運ぶ野菜の量はまたしても小山のようになっている。


 これのせいで朝早く出たにもかかわらず、決闘の場所に辿り着いた時間は、お昼前の午前10時になっていた。


「遅いぞ、何をしていた」


 当然のように先にいたデスイタマエに、オレたちは怒られた。


「悪ぃ。そこいらじゅうにモンスターがいたもんで遅くなった」


「谷川岳ロープウェイをつかえば、20分で山頂まで付けるぞ」


「普通に交通手段あんのかよ、ここ……」


「グンマーとはいえ観光地でもあるからな。秋は紅葉がキレイなのだ」


「普通に観光案内みたいになってきた」


「さて……まずは決闘の内容の説明をしよう」


「決闘の内容は簡単だ。まず料理を用意する制限時間は正午までとなる」

「あと2時間のうちに仕上げろ。でなければ失格だ」


「へっ!2時間もあるのかよ!」


「フン……その意気がどこまで続くかな?」

「そして材料は現地調達だ。この地に生息するモンスターで料理を用意しろ」


「食するのは美食家で有名な名士の方々をお呼びした」


「冒険者ギルド、ワイナビのギルドマスター、ハーケン殿」

「冒険者ギルド、漆黒の黒のギルドマスター、マタミン殿」

「そして美食ギルドからは山原雄海殿だ」

「さらに味王料理会を束ねる味王殿もお越しいただいた」


「審査員は以上の計4人だ」


「えっ、4人なのか……?」


「なんだ、なにか文句でもあるのか?」


「いや、別にいいならいいんだけどさ」


「?……ならこのまま進めるぞ」


「あ、ちょっと待ってくれ」

「そもそもの話、デスイタマエってなんなんだよ?」


「ふぅん、それをいまさら我に問うか」


「おう、お前についての一切説明がないし、名前以外、悪そうなことが解らん!」


「それもそうだった、ゴメンネ☆」


「うん、いいよ♡」


「――それについては、わしから説明しよう」


 口を開いたのは、美食ギルドからやって来たという「山原雄海」だった。

 彼は静かに、かつおごそかに、これまで料理界に何があったのか?

 それを語り始めた。


「わしの知る限り、デスイタマエは味の求道に容赦の無い武闘派料理人だった」


「西にドラゴンがいると聞けばそこへ行き、東にクラーケンが出たと聞けばまたそこへ行く……究極の料理を求める、志の高い板前だったと聞く」


「また、料理にバフ効果を与えるいわゆる「料理バフ」を編み出し、まだ至高の料理を作るだけの腕前がなくても、その料理バフで客に料理を出せるようにしたという」


「あんたが……あんたが料理バフをつくりだしたってのか?!」


「うむ」


「なんで広めた張本人のあんたが、料理バフが付いた料理を否定するってんだ!」

「おかしいだろそれ!」


「それはだな――」


「それは『料理バフ 』を手に入れた料理人たちは暴走を始めたからじゃよ」


 またしても口をはさんだのは、山原雄海だった。


「暴走って……?」


「板前たちは、さらに強力なバフ効果だけを求めて、ゲテモノとしか思えない料理を作り始めたのじゃ」


「ゲテモノって、ヘビとか虫とかを?そいつは……」


 そういうジョニーに、デスイタマエは忌々しげに言い放った。


「虫系モンスターを出すならまだかわいいものだ」

「防御力を上げるために、ゴーレムのステーキを出し、魔力が上がるというなら、アンデッド族の骨の丸焼きを出した」


「食うとこねーだろそれ!」


「そう、デスイタマエが良かれと思って伝えた結果、戦いの役に立たない料理は……美食は「無駄なもの」として捨て去られようとしたのじゃ!」


「我はそのバフ料理を破壊し尽くしたのよ」

「食えない料理を作って、それの何が料理人か!」


「なんて量の説明だ……!」


「ああジョニー。まるで作者が説明をする為のストーリーがここまでに入る筈なのに、それを構成ミスで飛ばしちゃったみたいだぜ!」


「それ以上はいけない、お前たちに人の心はないのか」


「……ともかく、デスイタマエ、あんたの言いたい事はわかったぜ!」


「ならば勝負を捨て、バフ料理を捨てるか?」


「いや、あんたに教えてやるよ。バフ料理だって、うまい料理が作れるって事をさ」


「ふむ、ならばやってみるがいい」


「このグンマーにある『獣たちの礎』のモンスターで料理が作れたのなら、お前の事を認め、おまえにバフ効果のある料理を作り続けることを許そう」


「ああ、デスイタマエ、お前に最高のバフ料理ってやつを見せてやるぜ!」


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