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焼きトリ

 俺らはトリ肉と卵を近くにあったキャンプ場に持って行って料理することにした。

 うん、正しくはドラゴンの肉だがもうトリ肉でいいや。


「そういやこの卵ってギルドに納品すんだよな?」


「おう!うちのギルドで食うぜ!」


「普通に飯の材料取りに行っただけかよ!!」


 卵は使えないから、このバランス悪く大量にある肉を何とかしないとだな。

 うーんせっかくのキャンプ場だし、串に刺して焼きトリにでもするか。


「このキャンプ場って調味料とかあんの?」


「おー、あるのは適当に使って良いみたいだぜ、賞味期限とか謎だけど」


「ふつーにお店で売ってるの買うか」


 俺は焼きトリのタレに必要な調味料を、キャンプ場のクソ高売店で買うことにした。ちっちゃい醤油のボトルが400円とかすんの、マジでいい商売してる。


「たっけーなぁ、今度から自前の調味料も持ってくか。普段持ってる調味料って塩とコショウくらいしかないんだよね」


「それってキャンプでジョニーの飯が食えるって事か、いいなあ!」


 引き締まって健康的な色気を振りまいている腹を、ミタケはぐぅと鳴らす。いかんあぶないあぶない、「暴食」してますよぉこれはぁ


「とりまミタケは串作ってくれ串。食わせたるから手伝いなはれ」


「急に何語だよ。串かあ、魚とかぶっ刺す串の要領でいいのかー?」


「うん、そんな感じで頼んますわ」

「竹がいいけどここら辺にはなさそうだしな―」


「だなー、じゃあ適当にそこら辺の木で作るかー」


 ミタケは手ごろな木を引っこ抜くと、そのまま手刀で細かくしていく。


 剣使えよ!


 いやそもそも、その木って、取って大丈夫な奴?

 まあ気にしてもしょうがない。こっちはこっちでやることやるか

 

「さて、しかしスゲー量だな」


 俺の目の前には、まさに「肉の壁」がある。

 よく運べたよほんと。


 ミタケのスキル「暴食」の効果で、食材を運ぶ分にはミタケはいくらでも運ぶことができる。なんかもう食い意地とか言うレベルじゃないな。


 ちょっとしたアパートくらいあるトリニティドラゴンを解体したので、肉の壁の大きさはちょっとした家くらいある。キャンプ場でも目立つことこの上ないな。


 これを持ち運ぶ途中、トリ刺しとして多少ミタケがつまんだが、それでもまだまだメチャクチャとんでもない量の肉がある。ここで半分くらいは使うか。


 俺一人が食うならギブだけど、暴食のオニ娘のミタケがいるなら、この量の半分を一気に食わせても、なんとかなんだろ。たぶん。


 俺は布団かとおもうサイズのトリ肉を、肉の山の中から引っ張り出す。

 しかしデッケーな!!


 ホルスターから包丁を抜いて、料理開始だ。


 っても所詮キャンプ場だから、大したことはしないけどな。


 トリ肉布団を包丁で一口大に切り分けていく。

 こういう時は「漆黒の黒」で大量注文をこなしていた時の経験が役に立つな。


 俺は板前スキルを使い、十文字に真空波を飛ばしていく。


 戦闘スキルでは肉以外の物も切り裂いてしまうが、俺の板前スキルは無機物には無力なので、コンロやまな板を傷つけることなく、こういった切り方ができるのだ!


「ジョニー!串が出来たぜ!!」


「おう!おつかれ!」


 ミタケの作ってくれた串を見る。うん、いい出来だ。

 食い物に関する事なら、彼女はめちゃくちゃに能力が上がる。

 これもスキルのなせる業かー。


「ではブツ切りにしたトリを串で刺していきます」


 俺はミタケが用意した無数の串に、1本あたり4つの肉の塊をぶっさすことにした。ここでいちいち手作業でやっていたらきりがないので、ある裏ワザを使う。


 こういう時、「肉が勝手に串に刺さってくれたらいいな」と思ったことは無いだろうか?そう、じつはそれができるのだ。


 そう、ほかでもない「死霊術(ネクロマンシー)」ならそれができるのだ!


「失われし生命の輝きよ……血肉の元へと返れ、アニメイト・デッド!!」


 魔法で命を与えられ、動き出した肉が串に向かって、「ドリュリュリュ」と突き刺さっていった。俺は肉に一時的な命を与え、動かしたのだ。


「うわキモッ!!!!」ミタケの声が上がるが気にしてはいけない。


 肉とはつまり死体だ。ゾンビを動かす技術を流用できるのだ。

 ネクロマンシーは死んだ肉と骨を動かすのが大の得意なのでこういう事ができる。


 俺はこの技術を、たまたま「漆黒の黒」を訪れた死霊術師から、「サルでもできるイキのいいゾンビを作る10の方法」と入門キットと合わせて買った。


 とても役立つので良い買い物をしたと思う。


 しかしドラゴンの肉は意外と水っぽくて、けっこう鶏肉感があるな。

 肉がドリルのように回転して突き刺さるたびにドリップがこっちに飛んできてちょっとオレでもキモくなってきた。これくらいにしておくか。


「次は焼きに使うタレを作ります。このタレは肉を焼く前に味付けするためのもんだ。レシピは、醤油とみりんを1:1、砂糖はお好みの量でぶち込みます」


「ほうほう」


「そしてタレが出来たら、ガッと漬けてコンロで焼く!!」


 地獄の炎のように燃え上がるコンロの上に、おれは肉の刺さった串を並べた。

 あとは緩く回転させて、焼き上げるだけだ。


 この串に刺さった肉はゾンビとなって生きてるが、ゾンビは火属性に弱いので心配ご無用だ。かりそめの命を持っていても、焼けばちゃんと死ぬ。


「「ウォォォォン!!!!」」「「ノォォォォ!!!!」」


「ジョニー、この肉なんか喋ってねぇ?」


「板前は肉の焼ける音に耳を澄ませるっていうだろ?」


「そっかー。そうなのかー?」


「そうなのだ。」


「しかしいい匂いだな、俺も焼いて良い?」


「くぉのタワケが!!!!」


 俺はミタケが串を触ろうとする手をチョップした。


「えー?」


「串打ち三年、裂き八年、焼きは一生と呼ばれるほど奥の深い料理なのだ」


「ただ焼いてるだけに見えるけどな―?」


 ほど無くして串焼きは出来上がった。

 あとは「実食」あるのみだ


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