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MEMORY・29 危険な裏商店街

 目にも留まらない速さでリーゼントの腕を掴み取る。


【FULL SWING】


 腕を掴んだままに高速回転。 悲鳴を上げる暇すらなく、男はわたしを軸に一回転して数人の男たちに向かって投げ飛ばされた。

 遠心力で脱臼したはずだ。


【ハンドキャノ……】


 わ、わぁぁぁぁッ!? 待て待て待てッ! それはダメッ! それはダメェッ!

 わたしの必死の思いに反応したのか、狙いを付けた掌が下げられる。

 そのかわり……


【ブースター開放 突貫……】


 それもダメッ! ええい、もういいから、引っ込んでろ自動モード!

 そう思った瞬間だった。流されたはずの体の感覚が戻ってくる。

 まさか、自分の意志で制御できるのこれ? 説明しとけよクソ眼鏡!!


「おい、無事かあんたッ!」


 助けに入ってきたらしい人がわたしの元にやってくる。

 男たちはもう逃げたらしい。わたしがノした奴以外いなくなってる。

 こいつらも連れて行きなさいよ、まったく。


【??鎖無 人間 ♂ 詳細?】


 助けに入ってきた人物の詳細がでた。わたし、この人に会ってる?


【詳細 学校の階段で岸川茜と会話中、ぶつかってきたカッコイイ人】


 ああ……ってどんな詳細だッ! カッコイイ人とか書いてあるし。もうちょっと良い説明なかったのか自分。

 自分が相手に感じたままを書かれている詳細に突っ込みながら当の本人を見る。


「大丈夫、助かったわ……鎖無君だっけ?」


「は? 何で俺の名を?」


「昨日、友達と会話中に階段で押されたじゃない。その時後ろから鎖無ーって呼ばれてたでしょ?」


「……う~ん、覚えがないな。ま、いいや、とりあえずこの辺りはアンタみたいな女性が気軽にうろついていい場所じゃない。元の場所に案内するから、二度とこんな場所に近づくなよ」


 まぁほぼ一瞬だったし、覚えてないのか。わたしを突き飛ばしはしたけど大惨事になる前に引きとめたし、追われてた時だったみたいだしなぁ。機械じゃないから記憶には残んないか。


「わ、わかったわよ」


 鎖無君に案内されて、わたしは元の商店街に辿り付く。

 彼はもう何度もここに来ているのか、実に手馴れた歩きですぐに商店街に戻ってこれた。


「でもさ、なんであんなとこにいたの鎖無君は」


「アンタみたいに迷い込んでくる奴を表に導いてんだよ。そういうのほっとけないたちでさ」


「じゃあ、この辺りずっとうろついてたんだ」


「まぁ暇なときは大抵そうだけど」


 もしかしたらあのオジサンを見かけてるかもしれない。

 自動書記モードを起動して、カバンから筆記用具と紙を取りだす。

 こいつも真一が付けてくれた機能らしい。

 昨日の美術の授業の後で、「絵麗奈さん、下手下手言われるのが嫌なのでしたら自動書記モードにしてはいかがです?」とかご丁寧に教えてくれた。


 先に言えッ! と筆箱で頭を叩いてやったけど。

 まぁ、自分で描いたのと雲泥の差になるから使う気はなかったけどね。

 オジサンの顔を紙に書いて……うあ、そっくり。自分で書いたと思えない!?


「この人見かけなかった?」


「あん? この人? この人なら……」


 と、わたしを見て、


「アンタの後ろにいるぞ」


 言われて、振り向く。

 目の前にいたのは確かにオジサンだった。


「なぜ、君がここにいるのか知らないが、興味本位で探偵の真似事をするのは感心できるものじゃないな」


 オジサンがいきなり口を開く。わたしも思った以上にスムーズに反論した。


「なによ、オジサンだって似たようなもんじゃん。こんなとこに来てさ、ここに何があるの? あのモロ裏の世界ですよ。みたいな商店街に」


「……それは、企業秘密だ」


 何かを考えて、でも、オジサンは答えてくれなかった。


「それじゃ、わたしはわたし自身で調べるためにまたあの商店街に行かなきゃ」


「それはダメだ、あそこは君のような女の子が行くべきところじゃない。君だってさっきのような連中にまた襲われたくないだろ?」


「ッ!? 女の子が襲われてるのに黙って見てたのッ!」


 無性にムカついてきた。こんな人でなしだったなんて!?


「それは……」


「仕方ねェよ、あそこじゃ力のない奴が助けに入ってどうなるもんでもねェ。オッサンが助けに入ったって犬死しに行くだけだからな」


 詰め寄るわたしに鎖無君が代わりに答える。

 オジサンの肩を持つの、と反論したくなるが、確かに、このオジサン一人助けに来たところであの不良共相手に勝てたとも思えない。

 勝手に助けに入って勝手に袋叩きにあってソレで終わり、ってところだろう。下手したらそのまま殴り殺されても文句言えない。うん、確かに放置した方がいいのか。鎖無君が特殊なだけってkとね。


 そう思うと、鎖無君はあの不良相手に闘えるだけの実力があるってことでいいのかしら?

 まぁここで何度も人助けしてるらしいし、それなりの実力はあるのよねきっと。

 でも、なんか銃弾飛び交ってた気もするからあんましそういうのに首突っ込んでると死んじゃうよ?

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