ハシュリー様の駆け込みプロポーズ、からの~追撃のレモネードまで
私は全然悪くないのに
テコちゃんの一件が、尾を引きまくっている‼️
「お姉様、長らくお世話に、なりました。
また後日、改めまして、ご挨拶に伺いますご無礼を、何卒、
平に、お許し下さいませ。それでは、急ぎますので、
これにて。ペコリ。」
テコちゃんと、(止める間もなく)正式に婚約した、スズランは、リバウンドブーストバスターズの拠点を、テコちゃんの両親が、遠方の領地に引っ込んで療養中なのを、(これ幸いと)鑑みて、
テコちゃん家に定め、本格的に、活動をスタートさせた。
それが一昨日のこと、そして昨夜遅く、更なる厄介ごとに、
否が応もなく、巻き込まれて、気を鎮めるために、
昼食前のひととき、庭のガゼボで、お茶している。
私の疲れ果てた心に、爽やかな風と渋いお茶が、沁み渡る。
と、そんな、つかの間の静けさを、吹き飛ばす勢いで、
ハシュリー・ドゥコロンが、息急ききって、駆け込んで来た。
いつもの、貴公子然とした、優雅な佇まいは、見る影もない位
慌てふためいて、銀の髪も乱れに乱れているのに、
そんな有り様でも、少しも、彼の美貌が損なわれていない事実に、腹立たしさを、禁じ得ない。
あれが、もし私だったら、きっと目も当てられない姿に…‼️
‼️これだから美形ってヤツは…‼️
私は、自己都合な妬み・ひがみ・嫉みを、ハシュリーに全集中させながら、
「どうしたの❓ハシュリー‼️一体何が…⁉️あ、もしかして、
スズランのことで…」
おせ~じゃん‼️今頃来るなんて‼️もっと早く…
「まだ‼️間に合うよね‼️まだ、決まってないはずだ‼️」
私の言葉を遮って、紫水晶の瞳に、苛立ちを滲ませながら、
彼は、叫んだ。
びっくりするような剣幕で、私に詰め寄る彼に、言葉を失う。
こんなに、取り乱している彼の姿を、見たことがない。
いつもの静観の呼吸と構えは、どうした⁉️
「スズランのことだったら、もうとっくに…」
「違う‼️君だ‼️ロエラ、まだだと言ってくれ‼️まだ間に合うと…‼️」
「…ハシュリー❓…」
気がつけば、彼は、私の手を取って、跪いている。
…え~っと、これは、一体どうすれば…⁉️
私は、生まれて初めての、予測不能、制御不毛の事態に、
突拍子もなく盛大に、うろたえた。
「レディーアロエベラ・ドンナ・サイレントキラー、
私、ハシュリー・ドゥコロン・ブラッドショットは、
貴女に、結婚を、申し込みます。」
⁉️私は、目を、耳を、前頭前野を、側頭葉を、疑った‼️
どどどどうすればっ⁉️どうすればいいの⁉️落ち着け‼️私‼️
「レディーロエラ、貴女とサイレントキラー公爵家に、
未来永劫、愛と忠誠を捧げることを、誓います。
お受け頂けますか❓」
⁉️本当の本当に⁉️あり得なくなくない⁉️
まだ、ハシュリーに、手を預けたまま、もう一方の手で、
私は、すっかり冷めきったお茶に、
半信半疑と疑心暗鬼をブレンドして、飲み干した。
「ハシュリー…とりあえず、こちらに、お掛けになって。
ね❓ レモネードでも、いかが❓」
「ありがとう。頂くよ。…急に押し掛けて、すまな…」
「ロエラお義姉様‼️」
「⁉️ブハッ‼️‼️‼️」
ハシュリーは、口に含んでいたレモネードも、
持っていたグラスも、入っていた液体も、ひっくるめて、
持ち得る限りの全てを‼️ 目の前に突如現れた物体に…
…ぶちまけた‼️
「⁉️ぬらりひょん⁉️でいだらぼっち⁉️」
「落ち着いて‼️ハシュリー‼️人間よ‼️」
「ロエラお義姉様…えっと…ハシュリーお義兄様❓」
レモネードまみれのテコちゃんが、グラスを手に、
もじもじと、佇んでいる。
「誰がっ‼️姉で‼️誰がっ‼️兄だ‼️」
…あの温厚なハシュリーが、まさかの激怒⁉️
「ハシュリー‼️気を確かに…じゃなくて、どうか、落ち着いて‼️」