〜はぐれ者達と行く異世界探訪記〜
「ッオラァ!」
「ぐほぉ‼︎」
「あー、なんでこうも毎日毎日絡まれなきゃいけないのかねぇ。」
いつもと同じ通り道いつものように絡んできた不良を殴りそう呟く。
彼はこの辺りでは不良として名の通っている青年で平日の昼間から当てもなく学生服で繁華街を彷徨き絡んできた不良を倒した所だった。
あまり人に絡まれるのが好きでは無い彼は「暇だしどっかの本屋でも行くか」などと考え早速馴染みの本屋に向かおうと一歩踏み出したその時、
一瞬にして周りの景色が一変した
「あ?」
あまり感情を表に出す事の無い彼も流石にこの時ばかりは驚きを隠せなかった。なぜならつい先程までコンクリートジャングルと称される繁華街に居たのが、鬱蒼とした木々が生い茂るリアルジャングルへと変貌していたからである。
「これは何か悪い夢だ」と元来た道に戻ろうと辺りを見渡しても見渡す限りの森、森、森。人の声はしないかと耳を澄ましても、聞こえてくるのは風にたなびく葉の音や昆虫や小動物達の鳴き声のみ。
そして少しの考察の後、彼は悟った。
「ここどこだ?」
迷子であると。
…
……
………
…………
……………
………………
まず自分が迷子だと気付いた彼が取った行動は周囲の探索であった。この場所が何処で自分はどうやってここまで来たのか、それに繋がる痕跡などは無いか?と一通り調べた。しかし、
「皆目見当もつかねぇな、、、」
自分が立っていた場所の足元を調べても何も見つからず、周りの植物を見たところでそもそも植物に詳しい訳でも無いので何も分からなかった。
三十分程辺りを探索しただろうか、少し喉が渇いて来たので水場を求めて適当に森の中を進むことにした。
少し森の中を進んでいくと彼の耳にチャプチャプと言う水の音と共に子供の様な甲高い笑い声が聞こえて来た。
「(子供が居るんならそいつらに帰り道でも聞くか)」
と考えた彼は音のする方へと足早に進んで行くと大きな湖が見えてきた。しかし、声の主である子供の声は聞こえるものの姿が見えない為首を傾げた。
彼は「ここからでは見えない所で泳いでるのか」と思い湖に近づいて見るとそこには
「くらえー!パシャ!」
「うわっ、やったなー!お返しだ!ザバッ!」
「私も混ぜてよー!ドボーン!」
水辺で遊んでいるお伽話に出てくる手のひらサイズの三人の妖精の姿があった。
ここに来た時と同じ様に夢では無いかと目を擦り頬を叩いて見るが、目の前には先程と変わらず水をかけあって遊んでいる妖精の姿があった為、驚きその光景から目を離さないでいると
「あ!皆見て、ニンゲンがこっちを見てるよ!」
「え!本当だ!見たことない服を着てるね。」
「でも、私達のこと見えてるのかな?」
「んー、でもずーっとこっちを見てるよ?」
「じゃあリィちょっと話しかけてみる!」
「でも悪い人かも知れないよ?」
「「んー、、、」」
此方に気づいた妖精達が何やら此方を指さして話し合っている。彼もそれに気がついたようで妖精達に話しかけようか迷っている。すると三人のうち一人の妖精が此方に近づいてきた。
「あの〜、すみません。私達のこと見えてますか?」
彼は妖精達が話している言葉が日本語であると気づきまた驚いたが、妖精の問いに対して首肯で返事をした。
「やっぱり見えてるんだ!私の名前はリィ!木属性の妖精族だよ!貴方のお名前は?」
こちらが返事をしたのが予想以上に嬉しかったのか、リィと名乗った妖精は花が咲いた様な笑顔で話しかけてきた。彼はこのまま黙っているのも悪いと思い
「あぁ、俺の名前は百地鎧だ。」
多少ぶっきらぼうではあるが妖精に対して挨拶を返した。すると、リィ以外の妖精二人も此方に寄ってきて
「本当に私達が見えてるんだ!珍しいね!私の名前はラァだよ!よろしく!」
「んー、ちゃんと返事もしてくれたし悪い人じゃないのかな?あ、私の名前はルゥだよ。」
ラァとルゥも鎧に対して挨拶をしてきた。その挨拶の中で鎧は気になった点がいくつかあったので質問する事にした。
「なぁ、ちょっと聞いてもいいか?」
「ん?なになに?」
「まず、お前らって自分で言ってけど見た目のまんま妖精って事で良いのか?」
「そうだよー!私達三人共妖精族だよ!」
「、、、あー、じゃあここは何処だ?」
「王都シェーレンの孤独の森よ。知らないでここにいるの?」
最初の質問にはラァが、次の質問にはルゥが答えた。
そしてその答えを聞いた瞬間、鎧は項垂れると同時に気づいてしまった。
「ここ、俺の知ってる世界じゃない…?」
ここが異世界であると!




