Memory...007
止まります……ってなんだか変な表現だな。他には……製造会社も何も書かれていない。中に入っている個数すら記載が無いんじゃ、これはただのお菓子だな。
「悪趣味な菓子だな」
俺は小瓶を見ながらそう呟いた。
「エド、降りるぜ」
「ああ」
レオンの車から降りて玄関の前でレオンが鍵を開けるのを待つ。
「なあ、お前はこれ試したのか?」
レオンはドアノブを捻り、手前に引くと俺を中へ入るように促した。
「ああ、凄かったぜ」
「んな馬鹿な……」
「まあ、積もる話は中でしようじゃないか」
一歩家の中に入ると、もわっとした空気と鼻を突く臭いが立ち込めていた。
俺は呆れながら首を振り、玄関の戸締りをするレオンの顔を睨んだ。
「おい……ヤッたままとかやめてくれよ」
「ハッハー、そんなことするわけないだろ。ちゃんと片付けてるよ」
「それならいいが……」
レオンに先頭を譲り、俺は腕を組んで少しだけ待機することにした。
玄関を入って直ぐの右側の部屋の扉が半開きで口を開けている。左手にある扉は静かに中身を見せないように佇んでいる。多分、異臭の原因は右にある扉の向こうからだろう。
「あー確かにちょっと臭うな……ちょっと待ってくれ」
レオンがちらっと覗き込むと、自分でも預かり知らぬといった表情で扉と同じように半開きで口を開いていた。
レオンの顔の横から中の様子の確認する。
「レオン……」
「まあ、なんだ……ヤッた後って気怠くなるよな」
臭いのする寝室の扉をガチャリと閉めて、レオンは笑いながら何食わぬ顔でリビングへと案内した。
寝室が寝室なら、リビングも同様に荒廃していた。
「片付けが出来ないのは昔から変わってないようだな」
俺は足元に転がるバットを手に取り肩に重心を預けて溜め息を吐いた。
リビングにはビール瓶が散乱し、キッチンは洗い物が溜まって悲惨な状況になっていた。
「とりあえず片付けからやろう」
部屋の惨状を目の当たりにしてレオンに提案するが、レオンは特に気にした様子ではなかった。
「おいおい、多少汚れてたっていいだろ?」
「多少って……ゴミは散乱してるし猿みたいに何処でもゴムが落ちてる中で座れって言うのか?」
「アー……アハハ……。そうだな、二階に行くか?」
「片付けるぞ」
レオンの提案を一蹴し、俺はバットを部屋の隅に立て掛けた。
「あーOK……そうしよう」
さすがのレオンも折れたのか、両手を上げて降参していた。
「俺はとりあえずリビングを片付ける。お前は自分の寝室を片付けろよ」
「あ、ああ……あと、イカ臭いのは俺が担当するよ」
「……当たり前だ」
それから部屋が綺麗になるまで三時間……掃除を続けると、ゴミ袋十数個が家の外へと放り出された。




