Memories of past...003
「OK、何時でもいいぜ」
もう少しマシな記憶を残して欲しかったな。よりにもよって盗みに入った時の記憶なんて、恥ずかしすぎて死んでしまいたい。
「今だ!」
手には酒、コンドームなど……しょうもない物を持って入口まで駆け出した。後ろを振り返ると店員がこちらを睨みつけて駆け出そうとしている。まるで映画のワンシーンみたいで、これはこれで面白い。自信の目線が、感覚が、多分当時のまま感じられる。
追いかけてくる店員の通路にレオンがナイフで切り裂いた潤滑油をぶちまけた。つるつると滑る床で大胆にこける店員に大爆笑しながら、レオンと二人で町中を走り抜けていく。
「ハッハー、エド上手くいったな!」
レオンがガッツポーズをする。
「ああ、見たか? あの店員頭と足の位置入れ替わってたぜ」
「見た見た、あんなに綺麗にこけるとか大道芸だろ」
ドラッグストアから店員を振り切り、周囲の人に違和感を与えないように通常の速度で歩き始める。
今だから笑い話で済むが、俺が店員なら地獄の果てまで追いかけて手足を銃で撃ち抜くだろうな……。
「いやあ、やっぱりゴム並んで買うとか無理でしょ、なあエド」
「ああ、一回買ったら店ごと使い捨てになっちまうよ」
「言えてる」
レオンと俺の顔に笑みが浮かぶ。
会話の内容もやってる事も最低だが、セックスする時にゴムをきちんとしようってんだ。そこら辺でヤりたい放題の奴らとどっちがマシかって聞かれると少し迷ってしまうな。
「お、そろそろ俺の家だ。祝杯をあげようぜ!」
「その後はキャシーとセックスか?」
「ああ、何ならお前もヤるか? 3Pってどんな感じだろうな」
ニヤニヤしながらレオンが肘で俺の脇腹を小突いてくる。無駄に感覚が伝わってくる分、地味に痛いのがイライラする。
「俺はいいよ」
「あー、お前はこういう所で真面目だよなー。もう俺たちは十五になる。あっちの方だって大人だろ」
「言ってろ」
レオンの性格は昔から変わらないな……。
一軒家のレオンの家、家族にバレないように二階の子ども部屋へと急いで駆け上がる。
「酒とゴムと……なんだこれ……」
レオンが戦利品を次々と机の上に並べていく中、ふと手を止めた。
あ、あれは……。
レオンが小瓶を掴んで窓の光に向ける。
「ああ、この小瓶懐かしいな。なんだっけ……」
俺の体は小瓶をレオンから奪い取り、まじまじと見つめた。そして決め顔をレオンに向ける。
「〝Past Named Now〟今という名の過去なんて格好良いだろ?」
ようやくお出ましか。PNN、こんな時に飲んだか? それにしてもこんなにもださいセリフをよくぽんぽんと言えるものだ。昔の自分を変えられるなら変えてやりたい。




