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Memories of past...002

「ちゃんんんんととと――」


 レオンの声がおかしい。違和感を感じた次の瞬間、俺の視界は横転した。三脚に固定したカメラがそのまま映像を録画し続けるような視界が映る。


「ちゃちゃちゃんん……とととと……」


 再生していた視界映像とでも言うべきビデオがガタガタと音を立てて異常を知らせる。幾つもの黒い横線が視界の上から下へと流れ落ちていく。

 夢だな。こんな記憶は覚えがないし、これじゃまるでバグじゃないか。


 数秒後、視界は完全に暗闇になった。少しずつ不安が立ち込める。

 身体は……動かせない。


「……」


 声もやはり出せないままか。

 夢にしては現実的で、現実にしては非現実的だ。覚めないあたり、夢を見ている訳ではないのだろう。まさか、このまま暗闇の中で……なんて冗談はやめてくれよ。


 五体不満足とはこんなにも生き辛いのか。職場で朝方に見かける杖をついた婆さんが居たが、次に出会ったときは優しく接してあげよう。毎朝、横断歩道の無い道をのっそり進むから気が気じゃなかったんだ。


 数分経っても、特に状況は変わらなかった。

 死んだのか? あんな変な物を飲まされたんだ。死んでもおかしくはない。旧友であり悪友でもあるレオンに殺されるとはな……。まあ、いいか。


 婆さん、先にあの世で待ってるよ――


「おい、おい!」


 そんなに呼ばれても声も出ない。

 暗闇の視界がゆっくりと明るくなっていく。


「おいエド、早くしろよ!」


 なんだ、視界がぼやけてるな。レオンの声だが視界は霞んでよく見えない……。


「分かってるって」


 懐かしいな。子どもの頃の自分の声が聞こえる。手には何かを持っている感覚があった。天国に行く前に見る走馬灯ってやつか。最初にレオンが出てくるってことは、どうも俺は親不孝だったのかもな。


「バレないように行くぞ……」


 ぼやける視界の先で若い頃のレオンが呟いた。


「はいはい」


 視界が次第にハッキリとしてきた。高い棚に商品が並んでいる。ドラッグストアの一角だろう。子どもの時の記憶か、懐かしい。棚ってこんなに高かったのか。


「店員見てない隙に走るからな」


 レオンが棚の角からレジの方向を見つめているようだ。

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