Memory...001
赤レンガで造られた住宅が並び、人工的な芝生が敷かれた公園では、子どもたちがグループを作って遊んでいた。一人だけ、鉄棒の所で遊んでいる子はグループから外されたのか、それとも楽しく一人遊びをしているだけなのか、その真意は俺には分からない。
鉄棒で上手く回れた時の嬉しさを見せつつも、一人きりの悲しみの顔も覗かせているように思う。
俺は五年ぶりに会う旧友を公園のベンチで座って待っていた。心地良い風が吹きながら太陽が空の天井で輝いている。サングラスをして来て正解だったようだ。
あいつと最後に会ったのは何時だっただろうか。昔住んでいた近くの公園で集まろうなんて、今の自宅から車で飛ばしても三時間はかかる。あいつは未だに地元だから良いものを、集まる場所はもう少し相談して欲しかった。昔からあいつは人の扱いがなっていないんだ。
まあ、文句を言いながらも集合時間の一時間前にはこうして座って待っているのだから、やっぱり心の中では気持ちが浮いているんだろう。着いたことくらいは報告しておくか。
到着のメールを打っていた時、砂場で遊んでいた子どもたちが一斉に鉄棒の男の子へと向かって砂を投げつけ始めた。
「こっちに来るな!」
「汚い!」
「砂まみれー!」
俺は時計を確認した。
どうせあいつは時間通りに来た試しがない。子どもの争いに大人が介入するのもどうかと思うが、見て見ぬ振りをしている周りの大人よりはマシか。
「おーい、そこのガキども」
ベンチから立ち上がり、男の子を囲んでいる子どもたちへと話しかける。
「なに、おじさん」
「あー、俺はお兄さんだ。そんなことよりもだ、なんで砂を投げつけたんだ?」
俺は砂だらけになった子どもの砂を手ではたき落とした。目に砂が入ってしまったのか、男の子は頻りに目を擦ろうとしていた。