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私って物語に必要ですか  作者: 那花しろ
9/21

お嬢様が消えた②

父上のセイデイル バルモティ侯爵 です

「馬鹿者!」

ドガリオの拳が振り上げられアボットは床に倒れた。

「お祖父様・・・」

殴られたアボットは自分の祖父を見上げる。


拳を震わせながら真っ赤になって孫のアボットを睨み付け、


「お前は令嬢一人守れない愚か者か!何故、一緒にいなかったのだ、仮とはいえ婚約者だぞ。」

アボットに掴みかかろうとする。

「お義父様、お止めください、アボットが悪い訳ではないのですから」

ウェルソン公爵夫人がアボットを抱きしめ庇う。



「ドガリオ・・・」前バルモティ侯爵がその手を止める。

「ロベルト、こんなことになって、何と言ったら・・・」

「我々が勝手に決めた事によって起こった事だ、我々の責任だ、ドガリオ、今日はもう帰ってくれ」






今も舟の周りや池の底を調べているが、何も手掛かりがない、メレディが着けていた髪飾りが舟の近くに浮いていただけだった。






メレディが消えてから10日がたった、池の中や船小屋、付近の森などを捜索している。12歳になったばかりの貴族令嬢が一人で動ける範囲などたかが知れている。


(おかしい、メレディの形跡がどこにもない、死体もないのだから、生きているはずだ、でも、生きているにしても、一人で何が出来る?)



誘拐、頭にその言葉がちらつく。

(誘拐なら、何かしら接触があってもいい頃だが)

ハイゼルとソイネルはメレディの机や本棚、クローゼットなど、何か手掛かりはないかと、探す毎日になった。

2人とも私と同じ事を考えているようだ。




あれから、メレディとアボットの婚約は仮のまま白紙になった。だが、ウェルソン侯爵家は我が家と繋がりを持とうと父に働きかけているようだ、ウェルソン侯爵家が衰退しているのは、知られている。



父も友を助けたい気持ちもあるだろうが、我が家はそれどころではない、情況が分からないので、まだ表沙汰にはしていない。






さらに10日が経った、池の捜索は打ち切られた。メレディが消えてから、悲しみ衰えていくミレニカの元にローデリア嬢が日参している。

食欲を無くしたミレニカにローデリアは食べやすい食事や果物を用意してくれている。そのお陰か少しずつ食事をしてくれているようだ。


メレディが消えて1ヶ月過ぎた。

さすがにこのままでは良くない、メレディの失踪を公にしなくては、書類を用意することにした。



父がウェルソン侯爵家を支援すると伝えたが、隠居した元侯爵より、ウェルソン侯爵家はバルモティ侯爵家と縁戚を持ちたいようだ。



父はドガリオ・ウェルソンに強く断れなかった。


苦肉の策だが、毎日のようにミレニカを見舞いに来てくれるローデリア嬢を養女にして、アボット殿と婚約を結ぶ事になった。


この案は、ウェルソン侯爵家からの案だった、ローデリア嬢にこの事を伝えると「大好きなバルモティ家の一員に成れるなんて、大変光栄でございます。」と二つ返事だった。ダウガード子爵家も了承した。




「ライター、これを届けてくれ・・・。」

大きなため息と共にメレディの失踪とローデリアの養子縁組の書類を執事に渡す。

「旦那様、よろしいのですか?」

「ああ。」



中庭に目を向けると、そこには、美しい妻と新たに娘になるローデリアがいた。







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