お断りします
父母が一生懸命に婚約者候補を推している。
大変申し訳ないのですが私は死にたくありません、しかも違う女性を好きな男性なんて冗談じゃないです。
「お父さま、お母さま私、あの方の婚約者になりたくありません」
「「えっ!?」」
「でも、まだ、きちんとお顔見てないわよね」
「そうだ!会ってお話ししたら彼を好きになるかもしれないよ、だから・・・」
紫の瞳から大きな涙がボロボロと溢れる。
「!!」
お父様達は言葉を失くし見つめている。
「あなた・・・」
お母様がお父様の手にそっと触れて見つめている。
「そうだな、メレディ泣かないでおくれ、メレディが嫌なことを無理矢理したい訳じゃないんだよ、わかったから、お祖父様には私から断っておくから」
なんと、この縁談はお祖父様推しだったのですね
お父様が両手を広げて待っている
これって、さぁお父様の胸に飛び込んでおいで的な事ですね。
ととととっ、お父様に走り寄り、その胸にぎゅっと抱きしめられた。
お母様は優しく頭を撫でてくれる
温かなぬくもりのなかグッと拳を握りました。
(よし!死亡回避)
その夜は安心したのか夢もなく眠れた。
「えっ?どういうことですかお父さま」
お父様はガックリと頭を垂れて小さな声で「すまん」
はい?聞こえませんけど!
「父上、この前のお約束忘れましたか!はっきりとお断りするとおっしゃいました」
ハイゼル兄さまが父に詰め寄っていく
どうしても殺される運命なのでしょうか。
「父上、お祖父様にはっきりとお断りはしたんですよね」
ソイネル兄さまも父に詰め寄っていく
「したさっ、はっきりと、きっぱりと、メレディはまだ婚約者を決めなくて良いのではと」
顔を上げて2人の兄さまを見るが、また、項垂れてしまいました、お父様・・・・2人に睨まれて少し気の毒にも思いますけど、お断りしていただかないと本当に私が困るんです。
「お祖父様が1年後メレディが12歳の誕生日に、正式に婚約を発表しようと。でも、1年あるから、それまでは仮だから、そんな悲しい顔をしないでくれ」
1年間アボット様とお付き合いしてそれでも嫌なら諦めるとの話で落ち着いたらしい