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私って物語に必要ですか  作者: 那花しろ
17/21

準備中②

翌日の早朝、薄靄の中、店の扉を叩いた。

そろりと扉を開けたのは、この店のご主人のダン、その後ろから覗いているのは妻のメリー。

「本当に来た。」

「昨日の話は本当なんですね。」

やはり半信半疑だったようだ、まあ、相手は子供だから、しょうがない。



中に入り、テーブルにお金と小さくなったドレスなどを置いて、借金の返済と、当面の営業資金と説明しました。

「これ、全部ですか?多いと思いますが、レティ様。」


私は2人にレティと名乗っている。


このお店のオーナーになり、店の運営と、住居の一室を私の私室にして、いつでも、生活ができるようにする、と条件を出しました。



2人はチラチラと私の後ろを気にしてみている。

「ああっ、紹介しますね、こちらはアニーです、私の補佐をしてくれます。」

「アニーと申します、よろしくお願いいたします。」


「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

明らかにほっとしている、そりゃ子供よりしっかりしてそうなお姉さんを頼りにしますよね。

アニーこと、アーニャに挨拶をしている。




昨日こっそり戻って着替えていたら、後ろにアーニャが立っていた。

心臓バクバクでひっくり返って驚いた。

アーニャの顔もそりゃ恐ろしかった。

「お嬢様、ご説明願います。」


アボットに襲われて殺されるかもしれないこと、殺されずに逃げて身を隠そうと思っていると、話す


「襲われたときにその場で捕らえてしまえばいいんです。」

そうですよね

「絶対にお嬢様に傷などつけさせません!」

はい、わかっております。

ですけどね、『痴情のもつれ』があって、私が消えて、ローデリア嬢の モテモテ伝説がないといけない気がして・・・。


「アーニャが、私を守ってくれると信じてますが、私はこの舞台から降りなくてはいけないのです。」


「はぁぁ?」

眉間にシワを寄せて聞いている。

「そうしなければ、私はずっと命を狙われる。」

何言ってるんだって顔で見ている。


「あっ、あのね、これは秘密にしてほしいのだけど、階段から落ちたときに、夢の中で逃げなければ、いずれ死がやってくるとかなんとか・・・お告げがあって、その、あの・・・」


「それからも、何度か夢みて」


「えっ、ではあの時、お嬢様が気を失っているときに、ブツブツと何やら呟いていたのは、この事だったのですね!」


「・・・わかりました、お嬢様のお話を信じます。」

大きく頷いてくれた。



「あとね、お父さまたちには内緒にしてほしいの。」

アーニャは首を傾げる。

「何故ですか?訳もわからずお嬢様が消えてしまったら、旦那様や皆様がご心配されます、悲しまれます。」


「そうなのだけれど、これも、夢で言われたことなの、本当はアーニャにも言えない事だったのだけど」

チラリと上目遣いでアーニャを見る。


「・・・お嬢様お一人で背負われて消えようとしていたのですね、お労しい、お嬢様!私が側におります。」

無理矢理な話しに納得してくれたのか、それとも、私のやりたいように、やらせようと思ってくれたのか、アーニャの協力が得られた。




それからは、食堂メニューの改善、広報活動等が効を征し、お店も客足が伸びてきた。

商売も安定して、私の新生活の基盤も出来た。




そして、いよいよ運命の日をむかえた。






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