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私って物語に必要ですか  作者: 那花しろ
15/21

家族

気を失った(ふり)をしている私を、ソイネル兄さまが抱上げ、使用人たちに指示をだし、お母様もそれに続く。


チラリと目を開けてソイネル兄さまを見る。

(ソイネル兄さま、かっこいい)


前世だと中学生ぐらいだよね・・・やだ、私ってば中学生にときめいてる?


私がそんなことを考えながら、見つめられていると、ソイネル兄さまは抱上げ直し顔を近付け、耳元で囁きた。

「気が付いた?ん?熱か?」


(かっ顔が近い)

「いいえ・・・気を失ったのは演技です、なので、もうおろして・・・重いでしょ」


「いやだ、重くなんてないよ」


ニッコリ笑顔で抱上げたまま歩いている。

恥ずかしくて赤くなっている顔を両手で隠して、ソイネル兄さまに部屋まで連れていってもらう。








「おい!ソイネル待て!」

2人の後を追おうとしたとき、腕を掴まれ立ち止まる。

「?」

振り返ると、ローデリア嬢が腕に掴まっていた。


「何をしている?離してくれないか」

「お、お兄様、私とっても怖かった・・・」

腕にすり寄り、体を押し付けてくる



「おにいさま?、ローデリア嬢に兄と呼ぶことを許した事はないよ。」

冷たくいい放ち腕を振り払う。


呆然とハイゼルの後ろ姿を見ている。ローデリアの横をジョシュが冷ややかな目で見て通り過ぎる。







部屋の中にはセイデイルとローデリアだけが残った


「あーローデリア嬢・・・」

セイデイルに呼ばれ、慌てて笑顔で振り向いた。


「メレディ様が無事で何よりでした、毎日、神へのお祈りが通じたのだと震えました。」

両手を胸で組み潤んだ瞳でセイデイルを見つめながら微笑む


「本当にそうだね、ありがとう、ところでローデリア嬢・・・」

と、話し始めたその時、ノックに続き執事のライターが「お着きになりました。」と伝えてきた。



「そうか、ローデリア嬢お迎えが来たようだよ、今まで通り母上の元に戻れるから安心してくれ、悪かったね、知らなかったとはいえ、あんな男の婚約者にしようとして、しかも、親元から離してまで。」

セイデイルは立ち上がり、ローデリアを扉まで連れていく。


「えっ?」

訳がわからずセイデイルを見上げる。

「そのドレスはそのまま着てくれ、それとも、恐ろしい事を思い出して、嫌かな?」

婚約式のために仕立てた上質なドレス。



「あっあの、侯爵様と私は既に養子縁組が承認されている筈。」


「ん?確かにライターに提出を頼んだが、あの後、ハイゼルが預かっていて、提出していなかったのだよ。」

にこやかにローデリアに話しかける。


ドレスをつかんでいる手に力が入る。

ローデリアが小さく震えている。


「アボットが怪しいとハイゼルが調べていてね、ローデリア嬢のためにも養子の件は待った方がいいと、言ってね。」


「・・・・」

「どうかしたかな?」

俯いたローデリアにセイデイルが声をかける

「そ、そうですか」

やっと絞り出して答えた。


「ローデリア様、どうぞ」

ライターが扉を開けて外へと促した。






メレディの部屋の窓から外へ出ていくローデリアを見ている。

(あんな小狡い女が私の妹になるなんて、ゾッとする。)

ハイゼルは体を押し付けられた腕を払う、汚れを払うように。



「それにしても、メレディは何処でどうしていたの?1ヶ月もの間」

母が疑問に思っていたことを聞いてきた。

「メレディは市井で生活していたんですよ。」

「えっえっ!?」

侯爵令嬢として、12年間生きてきた、メレディが市井に居たことに驚き、大きな瞳をさらに大きくしてメレディを見た。








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