始まりは階段落ち
『えっ?何それ12歳で痴情のもつれって…』
久々に帰った実家で大学生の妹がやっていたゲームを覗き見て映っている文章に引いた。
『あっ久しぶり、コレ?ちょっぴり大人の乙女ゲーム』
悪役令嬢の従姉妹の婚約者が悪役令嬢と結婚したくて邪魔な婚約者を殺しちゃうって、どんな乙女ゲームよ
「う~ん」
「…じょうさま、お嬢様」近くで声が聞こえる
(お嬢様って何?)
パチッと目を開けると目の前に可愛らしい少女がいた
「ああっ気が付きましたか…」
口元を手で覆い涙目の少女が心配そうに見ている。
「私どうして…」
今のは夢?頭がズキッと痛んだ、身体中ズキズキする、痛みに目をぎゅっと瞑る
『悪役令嬢ローデリアって、超美人でどんな男も虜にしちゃうのよ、ヒロインをローデリア越えのステータスに育てて攻略対象者を落として行くゲームなの、目指せコンプリート』
また、夢でみた内容が頭に浮かんでくる
「………」
そうだ!思い出した。
私は米森美桜、会社員で一人暮らし、出張のためにスーツケースを実家に取りに行った帰りにトラックが突っ込んで来てたんだ、
…私はその時に死んだんだろう、たぶん
体を動かして起き上がろうとすると、全身から悲鳴があがった。
「いったぁぁぁ!」
「お嬢様、無理に動かないで下さい」
「アーニャ、手を貸してくれないかしら、少しお水を飲みたいの」
優しく体を支えて、水をゆっくりと飲ませてくれる。
私の側にいるこの少女は、アーニャだ、私が6歳の時から専属メイドになった、今まで生きてきた記憶もちゃんとある、今の私はメレディ・バルモティ 11歳 バルモティ侯爵家の長女、兄が2人の末っ子長女です
「低いとはいえ階段から落ちたのですから無理はせず休んでください」
階段から落ちて前の記憶を思い出したのかしら、でも何で思い出した内容が妹がやっていたゲームの話なの?
訳がわからないが、とりあえず体が痛いので、そのまま休む事にした。
本日のお茶会は私の婚約者候補との顔合わせ、お見合いって事なんだけれども
(あれっ、お見合い相手の顔って?お名前って?)
(まぁいっか、お名前はあとで教えてもらえば)
ゆっくり目を閉じた
その席で私は赤い髪に赤い瞳のとても美しく華のある美少女に目を奪われ階段から足を踏外し落ちたのだった。