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52話 責任の取り方

 俺はキリリンと二人で旅をしていた時の、つまり今いるパーティの仲間たちと出会う前の話を淡々と語った。


 あまり感情を込めてしまうと、キリリンのことを思い出して言葉をつまらせてしまいそうだったからだ。


「……すると倒すことできない雑魚モンスターが暴走していたり、ただの村人が洗脳されて奴隷になっていたりだの、常識では考えられない力が働いている事件に出くわしてさ、それらを排除して回っていたというわけだ」


「それでキリリン様と旅をしていたんですね。常識では考えられない力……。もしかしてそれは私たちを襲ったあのモンスターのことですか?」


 ククリは悲しみの感情を押し殺しながら、真摯な面持ちでそう疑問を口にした。


 きっと俺と同じように殺された民衆や城の兵士たちのことを想っているのだろう。


「ああ、だがおかしくなっているのがモンスターだけとは限らない。例えば人ととか物とかも影響を受けている場合もある。奴らはこの世のルールや物理法則とは規格外の何かに侵食されていて、この世界の攻撃は通用しない。俺はその存在のことを異端(バグ)と呼んでいる」


異端(バグ)……」


「この世の常識が通用しないとなると、なんとも厄介な奴らでさぁ」


 アイシャが真剣な想いを募らせてそう呟くと、ゼルはお手上げといった感じで両手を掲げて首を横に振る。


「そう、だから俺は希望を持って旅を続けていられる。その異端(バグ)を辿っていけば、いつか必ず愛架を見つけ出すことができるじゃないかってね」


 俺はそう言い切ると、みんなの周りに納得するような空気が流れた。


「……それでトウリ様はそれらに対抗する力を持っているというということなのですね」


「そうだ。俺がこの世に生まれ落ちた時に使えるスキルがあった。それが『異端審問(アドミンズ・センス)』だ。そのスキルを使えば異端(バグ)に冒された対象からそれらを暴いて取り除くことができる」


「そりゃあいい、旦那がいれば無敵じゃねぇですか! 心配して損しやしたぜ!」


 ゼルはパチンと指を鳴らして煽てて見せる中、俺はプ〜ンと飛び回りながらこう付け加えた。


「ただし『異端審問(アドミンズ・センス)』を使うと魔力が大量に消費されるんだ。魔力が空っぽになれば俺は気を失ってしまう。しかも異端(バグ)を暴いただけでは終わりじゃないぞ。取り除かれた異端(バグ)はモンスターになって現れるから、そいつをやっつけなくちゃならないんだ」


「そ、れじゃあ、数が多いとどうにもならないってことですかい?」


「ああ、そうなると逃げるしかないな」


「マジっすかぁ〜〜」


 残念そうに言いながら、ゼルはため息を吐くと顔を手で覆いながら空を仰ぐ。


「シスターが怪力なのもそのスキルのせいなの?」


 アイシャは目の前で無言のままじっと座っているシスターを見ながら疑問を口にする。


 当のシスターは自分の名前を告げられても、なんの反応も示さず無表情を崩そうとはしない。


 こうしているとシスターには感情がないように見えるが、その表情の下では何か思っていることがあるのだろうか。


「いや、それはだな……」


 俺はアイシャにオルサの街にいたシスターが異端(バグ)に洗脳されていて、その時点で怪力を持っていたこと、そして彼女を『霊廟の衛兵(クリプト・キーパー)』という別のスキルで操っていると説明した。


「ただ、厄介なのはオルサの住人を侵食していた異端(バグ)を倒しても、シスターだけ洗脳が解けなかったんだ。それは多分俺がかけたスキルのせいだと思うんだが、スキルの解除の仕方が分からなくてさ……」


「そ、そうなの!? じゃあもうシスターは元には戻らないの?」


「い、いや、今その方法を探しているしているところで……」


 そうしどろもどろに言い繕ってみるが、アイシャはシスターの方を抱き寄せてギロリとこちらを睨みつけてくる。


 やだなぁ、怖いなぁ……。


「あ、安心しろ! 必ずシスターは元に戻してみせるから!」


 そう説得してみるがアイシャはどうも納得していないのかム〜っと疑いの目を逸らそうとはしない。


 だがシスターを治す見込みがない以上、今の俺にはどうすることもできないのだ。


「ともかくだ、俺には異端(バグ)に干渉する能力があるんだが、それはまだわからないことだらけなんだよ! 異端(バグ)を倒せば新しいスキルも開放されていっているし、きっとシスターを直せる方法も見つかるって。分かってくれよぉ」


「……本当に?」


「ああ、もし彼女が元に戻らなかったら責任を取るつもりだ。約束する!」


「「責任をとるっ!?」」


 するとアイシャとククリは前のめりになりながらも、すごく真剣な顔をこちらに近づけてきた。


「トウリ、それってどう責任をとるつもりなのっ!?」


「私もぜひ詳しく聞きたいです!」


 ちょ、近い近いっ!


 俺はなにかまずいことを言ったのか、アイシャとククリの食いつきがヤバい。


「も、もう分かったから、もう少し離れてくれ!」


 迫り来る二人の殺意にも似た感情を一身に受けている様を、当事者であるシスターは全く意に介することなくサラマンダーの背に身を寄せて身体を休めていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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