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たーまやー
夜空に花火があがった。
色は、赤、黄、緑の三色。
一発の花火にはどれくらいの時間がかかるのか。
時間と労力がこれほど割に合わない仕事なんてない。
花火は嫌いだ、花火職人の子供が花火を嫌いになるのはダメなことなのか。
みんなからは羨ましがられる。
みんなは、綺麗なところだけ見ている。花火は火を扱うとても危険なものなんだ。
それなのに親父は、生涯花火職人として人生を終えた。おふくろお残して。
僕がまだ8歳のころ、親父はいつもどうりに「いってきます」といって家を出た。
それが僕が聞いた親父の最後の言葉だ。
夏祭りに向けて、急ピッチで大型花火を作っていた時に、事件は起こった。
従業員が持っていたライターが突然発火して、大型花火の導線に飛び火した。
親父は、その花火の火で死んだ。