新5.ヒロインが魅力的かは属性で決まるものではない
魅力的なヒロインはよく「ツンデレ」だとか「クーデレ」だとか「ヤンデレ」だとか枠にはめられます。
けれど、「枠に当てはまらなければ魅力的ではない」ということは決してありません。
つまり、ヒロインが魅力的か否かは「性格で判断するものではない」ということなんです。
ヒロインを魅力的にするのは一にも二にも描写です。
前回にも書きましたとおり、可愛い、かっこいい、悲しい、腹立たしい、こういう表現は文章でそのまま書いても意味はありません。
書いてもそれは説明文であって、読者は「そうなんだ」という感じです。
そうではなく、可愛いなら読者が可愛く感じるような描写を入れる。悲しいなら読者が悲しいと感じられる描写を入れるわけです。
>「美紗緒ちゃん、今なんて言ったの?」
>「え、聞こえなかったんだ……えっと、ね、あたし、藤本くんのこと、すき、かもって……」
>美紗緒は頬を赤らめ視線をそらすと、胸の前で突き合わせた指をもじもじとさせながら、とぎれとぎれに言葉を紡ぐ。
このような描写を入れますと、そのキャラクターの個性が伝わりますよね。
口調と描写で表現し続け、第1章が終わる頃には、読者にヒロインの個性が伝わるようにします。
そうしますと、地の文で多くを語らなくても「この場面、この子なら、こういうことを思うだろうな」と、読者は想像できるようになります。
そして、この「描かなくても読者に伝わる」というのは、小説の表現に大きな幅を持たせてくれます。
感動するシーンなんかがそうです。一から十まで書いていたら読者は興醒めします。でも、描かないと気持ちは伝わらない。
ではどうするのかと言いますと、小説のクライマックスに向けて、登場人物の個性を描き出しておくことです。
意図的に、個性を生かせるエピソードを盛り込むのも大切だと思います。
登場人物を生かすようなストーリーにするというのもラノベでは重要なわけです。
そして、感動を与えたいと思う場面では多くを語らせないし、地の文でも説明を入れない。(地の文は描写だけ)
これが本当にできるようになると、感動する小説に近づくんだと思いますね。
具体的な書き方は、地の文の書き方まで説明を終えてから行います。