出会い
「あれはA級ホーリースライム。進化するのは珍しく、その姿が確認されておらずその生態がわかってない、魔物だ!!」
魔獣(魔物)のランクはその強さによりランク付けされ、弱いランクから順にE、D、C、B、A、S、EXとなり、ランクことの強さは次のようになる。
E…攻撃すらダメージ無し。無害レベル。
D…ダメージは少なく、弱い。
C…油断していて、無防備な人間を長時間で殺せるレベル。
B…無防備な人間を殺せるレベル。
A…ここから自分で魔法が使え、かなりの実力者でも殺せるかわからないレベル。
S…災害級。その全力の力で街一つ消し飛ぶ。
EX…神級。その気があれば世界を滅しかけない存在。滅多に現れない。
このようになり、2人の表情が強張ったものへと変化する。
「と、とりあえず迂回しましょ。まだ気づかれてないし」
「違う道を行こう。マルク、頼むな」
「はい、了解しました」
白いローブを纏った女の提案に同意し、マルクは先行して、ホーリースライムから離れるように歩く。足音もたてずに、もう少しでホーリースライムから距離がとれると言う時。
―――パキッ。
静まり返っていた森に木の枝が折れる音が響く。その響いた音にホーリースライムがくるりと振り返った。
「しまった…」
枝を踏んでしまったのは赤い短髪の男。疲れているせいか、不注意だったのだ。
ずっとこちらを見てくるホーリースライムに騎士の男は2人の前にたって守るかのように槍を突きだす。
だが、ホーリースライムはその槍を気にすることもなく、3人の顔を見比べていく。それをいぶかしげに思いながらもマルクはホーリースライムに向かって槍を突きだしたままだ。
互いに動かず、膠着状態が続く。ホーリースライムはただマルク達の顔を見比べるだけで動かず。対するマルク達もホーリースライムを威嚇するだけしかできない。その時。
――――スタッ、とホーリースライムの隣にほとんど音をたてずに着地するある一つの影があった。
「なっ―――」
3人は言葉を失うほど、目の前で起きたことは驚愕だった。いきなり空から人が落ちてきたのだ。しかも音を立てずに。驚かない方がおかしいだろう。
その者は黒いローブを纏い、顔を隠していた。ホーリースライムとマルクらをみたかと思うと、マルク達3人に告げる。
「―――命が惜しければ、この森から立ち去れ」
凛と声が響く。マルクらは驚愕の表情で黒いローブの人物を見る。
告げられたその声は子供の声色だったのだ。