貴族ご一行
まだまだ素人なので精進あるのみです!
駄作ですが、どうぞ
森深い山奥を歩く数人の影があった。中肉中背の若い騎士の男―――マルク・テーミヤは後ろの2人を気遣うように振り返った。
「大丈夫ですか?」
その声は凛としていて落ち着いている声だった。その声に反応して顔を上げたのは短い赤い髪が印象的な男性だ。
「大丈夫だ。予定よりも遅くなってしまったからな。早く家に帰って心配している妻と娘に会うために、これぐらい何てことはない」
威厳に満ちた低い声でそう答え、男はマルクを安心させるようにニコリと優しく笑みを浮かべる。一見、元気そうに見えるかもしれないが、その笑みには疲れの色が見える。
それもその筈だ。彼ら3人は昨日の朝からずっとこの森を歩いている。
魔獣に襲われ、乗っていた馬も全て怯えて逃げるか、魔獣に殺された。襲ってきた魔獣は倒したものの次は、疲れが彼らを襲っている。それこそもう休まないと倒れてしまいそうな極限状態で。
だが、彼らは少ししか休憩を取らず、歩き続けている。その理由は――――
「一刻も早くこの《魔の森》を抜けましょう」
魔の森――その森は魔獣が住み着き、その半分以上が並大抵のギルドに所属する冒険者では勝てない高ランクの魔獣が存在する奥深い森の通称だ。
今、マルクたちが歩いているのが《魔の森》。
攻撃手段が無いわけではないマルク達は魔獣を一体倒すたび、かなりの疲労を感じるようになってきていた。
そのため、出来るなら魔獣と出会わず魔の森を抜けきりたい、というのが彼らの総意である。
順調よく足を進めていた3人だが、先陣をきっていた騎士の男・マルクがピタリと足を止めた。
「あれは…」
マルクの視線を辿った2人はあるものを発見し、赤い短髪の男は驚愕の表情を浮かべる。
「え、スライム………?」
白いローブを纏い、杖を手に持った女が戸惑いを露にしながら呟く。
「あんな色のスライムなんて、見たことがありませんが……」
困惑しながらマルクは言葉を返す。彼らの視線の先にいたのは白いような黄色のような色のスライム。普通のスライムは青色だ。見たことのない色のスライムに2人は瞠目する。
だが赤い短髪の男は違った。驚きの表情から一変、深刻そうな表情であのスライムをじっ、と見ている。
「…………ホーリー………スライム…」
男の呟いた言葉に2人の視線が集中する。
「あれはE級スライムから進化したA級ホーリースライムだ!!」