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檸檬が桃を迎えに来た時、光輝は執務机に突っ伏して眠っていた。
「このところ、よく眠っていらっしゃらないようなので…。」
と言う玲に静かに頷いた檸檬は、小声でびとーに言った。
「…ちょっと、玲さんと話してきて良い?」
びとーが訝しげな顔をしながらも頷いたのを見て、檸檬は玲に近付いた。
廊下に連れ出す。
「…玲さん。理事長先生と瑞輝さんに、
身辺を探るような真似をしてごめんなさいって伝えてくれますか?」
玲は眉をひそめて口を開いた。
「…それは構いませんが、一体…。」
檸檬は玲の言葉を遮った。
「そして、これについて確認してもらえませんか、と。」
渡されたコピー用紙を見て、玲は目を瞠った。
「こ、れは…。」
戻ってきた檸檬は桃を連れ、びとーと一緒に帰路についた。
浅い眠りの中で、光輝は夢を見ていた。
黒髪の男は光輝をじっと見ている。
その黒い瞳が据わっていて、かなり怖い。
居心地が悪いのに、あまりに畏怖の感情が強すぎて身動きができない光輝に、
その男は口を開いた。
「名前を、付けて貰いたい。」
光輝はこの男に壮大で肥沃な土地を思い描く。
更には、できれば日本語の名前を付けたいとも思った。
何の捻りもなくて申し訳ないな、と思いつつ、
「…壮。」
と言うと、男はひとつ頷いて姿を消した。
その時、爆音と共に大きな地響きが起こる。眠っていた光輝は飛び起きた。




