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台風が発生した。
雷の精の桃襲撃予告があって数日が経っていたが、未だ音沙汰はない。
そこで瑞輝は、台風が直撃すると予報された沖縄へ飛んだ。
沖縄へ向かう飛行機で、瑞輝はまた夢を見た。例の銀髪の男が現れた。
「私は一緒に世界を飛び廻れる相棒が欲しいと思っていました。私と組みませんか?」
と、その男が言う。彼と飛翔する夢が快感だった瑞輝に異存は無い。
「ああ。」
頷くと、その男も頷き返し、
「なら、私に名前を付けて頂けますか?」
と言った。
これは桃と炎の精霊との関係と似てるな、と夢の中の瑞輝は思う。
意識はしてこなかったが、もしかすると自分は精霊のいる生活が羨ましいのか。
それとも、生活の中に精霊という存在があることが当たり前になってしまっているのか。
そう思いつつ、名前を考えようとした瑞輝だったが、
炎の精霊に思いを馳せたのが災いしたのか、『砂糖増量』しか頭に浮かばない。
国内のフライト時間は短い。
「ちょっと待って。今、考える。」
と言った時に、沖縄着陸のアナウンスで目が覚めた。
目覚めた瑞輝は、単なる夢に意味は無いだろうと思った。思ったが、それでも考える。絶対に『砂糖増量』にはしない!俺は日本人だから日本語の名前にしたい。
「そうだ!風のように優雅に飛翔していたのだから、風雅にしよう!」
小さく呟くと、
「了解しました。」
という囁きが聞こえた気がした。




