表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

<13>

<13>


 瑞輝が帰国した翌日は、桃の嫌いな体育の授業があった。

暑くなり、プールに入ることになったのだが、実は桃は泳げない。

嫌々プールの中を歩き回っている。

対するびとーも水は苦手だ。少し離れて桃を見守っていた。

 と、風に乗って、ある気配を掴まえる。眉をひそめた。

 放課後。檸檬が桃を迎えに、理事長室に入ってきた。

その姿を見て、びとーは光輝と玲に言う。

「少しの間で良い。檸檬と桃を頼む。それから、ロウソクを点けておいてくれるか?」

 いつもとは様子の違う炎の精に、二人は顔を見合わせた後、頷いた。

「判りました。」

 玲が言って、ロウソクに火を灯す。それを確かめてびとーが檸檬と桃に向き直った。

「俺が戻るまでここにいろ。」

 びとーが単独で外に出る。少し歩いてから、背後に向かって言った。

「…何か用か、マク。」

 ゆっくりと振り返る。

「いや、もう新たな名前に変わっているか。」

 と、何も無かった空間に、金髪の少年が浮かび上がった。

「さすがだね、フェル兄さん。気配を消していたつもりだったんだけどな。」

 面白そうに少年は言った。

「名前は、変わったよ。ノアールにね。」

「どうしてここが判った?」

「何か気になる男がいてね、ついて来たらフェル兄さんがいたのさ。」

「で?何の用だ?」

 怪訝な顔をする炎の精に、雷の精は肩をすくめた。

「ちょっとお願いがあってね。

今度の僕のマスターは世界を掌握することを考えているんだ。

それでフェル兄さんにも、今の契約を解除して、仲間になってもらえないかと思って。」

「何だって?!」

「フェル兄さんに協力してもらえたら鬼に金棒だし。

フェル兄さんにしても子守よりは働き甲斐があると思うけど。」

 びとーのこめかみに青筋が浮かぶ。桃を馬鹿にされるのが一番我慢ならないのだ。

「…帰れ。」

 静かな一言に殺気が漲っている。少年は後ずさりしながら言った。

「怒らないでよ。今日は挨拶とお願いだけだから。

…でも、今度会う時は実力行使するからね。覚悟だけはしておいて。」

 一瞬で雷の気配が消える。びとーは怒りを放出したまま、理事長室に戻った。

 びとーが姿を見せた時、光輝が情けない表情で桃と向き合っていた。

「…どうした?」

「…桃ちゃんが。」

「桃が?」

 桃がニッコリ笑った。

「びとーにもみえるでしょ?」

「何が?」

「おとこのひと。」

「は?」

「すっごくきれいなおとこのひと。」

「はぁ?」

 びとーが二度に渡って首をひねると、桃はまんまるのほっぺを更に膨らませた。

「びとーにもみえないの?

おにいちゃんもりぢちょーせんせーもゼロにもみえないんだよ。

でもね、りじちょーせんせーのうしろにいるの。おとこのひと。」

 目を凝らしても見えないものは見えない。何か妙な波動を感じるだけだ。

びとーは首を振った。

「まぁ、それは良いとして…。」

 良くない、と言う光輝を制して、びとーは話し出した。雷の精のことを。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ